鈴鹿の奥地・新緑の上谷尻谷からイブネトライアングル


- GPS
- 32:16
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 1,410m
- 下り
- 1,407m
コースタイム
- 山行
- 4:12
- 休憩
- 2:58
- 合計
- 7:10
- 山行
- 5:35
- 休憩
- 2:30
- 合計
- 8:05
天候 | 5/5 晴れ 【気温】朝明駐車場:18℃ コリカキ場:18℃ テント場に帰着:21℃ 5/6 晴れ 【気温】テント場出発時:16℃ イブネ:23℃ 根の平峠:18℃ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上谷尻谷大滝でGPSのバッテリー消滅のため、復路のログは直線になってしまいました。 |
写真
感想
昨年の紅葉期に雨で続行を中止した時から、次は新緑の頃と決めていた。当初の予定も雨のため延期し、愛知川の増水が落ち着いであろう連休の
最終日に朝明へ向かう。
【一日目】
朝明渓谷の緩い登り坂が久しぶりの重荷できつく感じる。
息が切れないペースでゆっくりと猫谷から羽鳥峰峠に出る頃、
やっと体が重荷になじんでくれたが、快晴に恵まれたおかげで
暑くなりそうだ。日焼け対策をしてヒロ沢へ下る。
湿原が広がる源流部から徐々に沢らしく成長していく谷に沿って
愛知川(神崎川)に出るコースはもう何度目になるだろう。
何度歩いても渓流の変化を楽しみながら歩けるお気に入りの道だ。
2条に分かれた豪快なナメが一気に落下する滝の高捲きを終えて
しばらくすると樹林の先に河原が覗ける。ここで左岸に渡り
絶好のテント場が広がる左岸台地を河原に降りると一気に空が抜け
眩しい光に溢れた愛知川右岸の河原だ。
白く乾いた岩にぶつかるように流れるエメラルドの流れ。
この渓谷美を眺めてゆっくしたいが、果たしてこの水量で無事徒渉
できるだろうか?
徒渉点を探してうろつくが何処の飛び石も全て流れの下だ。
これではダメだ、諦めて靴を脱ごう。
冷たい水に30cmほど浸かり右岸へ渡り終えて時計を見ると
すでに30分以上を要していた。
尾根通しでお金峠へ向かう予定を変更して今回は左岸の道を行こう。
細かい支谷を何度も横切る道は曖昧だ、踏み跡やテープを慎重に追って
お金谷出合からお金明神へ上がる。
「磐座:お金の塔」を見上げる森は搭尾大明神様の神域だ。
磐座に鎮座する天狗様にお賽銭をあげ、安全登山を誓う。
塔ノ峰と作ノ峰の鞍部になるお金峠を乗越して急なガレた谷を
西へ下るとやがて新緑に囲まれた緩やかな台地の先に
コリカキ場の二条の小滝が現れる。古来からこの滝で禊が行われた
だけに神聖な空気が漂っている場所だ。
台地に咲くフデリンドウを傷めない場所を選んで、この場の雰囲気に
酔いながらの昼食を終え、上谷尻谷の散策を兼ねて上流へ向かう。
何処でもテントが張れるような穏やかに広がる新緑の台地を緩やかに
流れる谷。聞こえるのは谷を流れる水の音とアカゲラのドラミング
だけだ。彷徨うように歩き、気づいたらワサビ谷出合だった。
さあー、まるでキャンプ場のようなこの辺りでテントを張ろう。
小枝を払い除けば整地は完了だ。さっさと設営して次の目的地
「上谷尻谷大滝」へ向かおう。
紛らわしい二股もなく、緩やかなに流れる谷に沿って行くと
徐々に谷が迫ってきて、初めて同規模の谷が分れる二股に出る。
予習ではここは左股だと観察すると、テープがクラシは左だと
教えてくれる。確信を持って左股を選ぶと再び二股に出た。
穏やかだが伏流に近い左股、いきなり険しい地形に変わったが
水量豊かな右股。地形図では南へ向かう右股が本流のようだ。
最初の小滝を越えて頭上を仰ぐと突然目の前に大きな滝が現れた。
ついに来た!これが上谷尻谷大滝か!
三段に分かれて一気に落下する滝の最上段は曙滝と同じような落差と
思われるので15〜20mほどだろうか。すると合せて30mほどかな?
これで一日目の予定は終了だ。
下部の二股を過ぎればもう散策気分だ、谷の雰囲気に誘われるままに
寄り道しながらのんびり下ると広い台地にポツンとテントが見えた。
ラジオから流れるドラゴンズの試合を気にしながら定番のおでんと
親子丼で夕食を済ませると、もうする事が無くなった。
今日のルートをメモしたり、テントの周りを歩いたり・・・。
【二日目】
目覚めたら5時だった。さすがに山中の朝は5℃とひんやりしているが
気持ちのいい朝だ。テントを撤収していると単独の青年がやってきた。
上谷尻谷大滝からクラシへ向かうと言う彼を見送りワサビ谷へ踏み込む。
今回は天気にも恵まれ計画通り歩けそうだ。
初めて踏み込む谷はいきなり岩ゴロの急登だったが、
ルートは峠を目指しての一本道だ。
峠が近づくと更に傾斜が増してきた。谷芯の直登を避けて右寄りに
小さなジグザグ登りで尾根下へ出ると微かな踏み跡があった。
戻るように急斜面をトラバースする踏み跡を慎重に踏んで峠に上がる。
標識が無くなり幹にペンキで「ワサビ峠」と書かれた小広い鞍部で
朝一番のアルバイトで上がった息を整える。
これから始まるクラシ北尾根は昨年も歩いたコースだ。
記憶を確かめながら尾根を辿る。
足元には艶々したイワウチワの葉が見られるが花には少し早いようだ。
痩せた岩稜帯に上がり、小さなアップダウンを繰り返すうちに
クラシのジャンダルムを目前にした小ピークに出た。この辺りが
北尾根の中間地点となるので小休止をとる。
行動食を頬張りながら、開花直前の石楠花や北側に連なる鈴ヶ岳〜
御池岳〜藤原岳を望み後半の核心部に備える。
尾根に突き出たジャンダルムを越え、胸を突くような肩への登りを
終えると、石楠花が密生する尾根の足元も落ちついてきて、やがて
明らかに雰囲気に変わるとクラシのエリアに到着する。
期待したクラシの石楠花はまだ硬い蕾のままだったが、五月晴には
恵まれた。台地のピーク?を順に反時計方向で周回する
イブネトライアングルを歩こう。(クラシからだとトライアングルは
描けないか・・・。)
銚子を下った熊ノ戸平で昼食を摂り、イブネの南尾根から根の平峠へ
下ったが、ワサビ谷に入って千種街道に出るまですれ違ったのは
二人だけという、珍しくも寂しい連休最終日の鈴鹿だった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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onetotaniさん こんばんは
羽鳥峰からヒロ沢、お金明神にコリカキ場。そして上谷尻谷大滝、クラジャン。
イブネトライアングルで銚子と熊の戸平のおまけ付き・・・・
GWの〆はなんかonetotaniさんの集大成というか鈴鹿の秘境の玉手箱のような山行でしたね。羨ましいです。
僕に地図読みの技術とテントを担いで歩ける体力があれば、今すぐにでも行ってみたいです。素晴らしいレコでした。
sugi-chanさん 今晩は。
紅葉した谷尻谷が新緑に囲まれたらそれもまた素敵だろうと思い、
次はこの時期だと決めていました。
青空を透かして眺める新緑の谷や台地はイメージ通り素敵な場所でした。
是非見たかった上谷尻谷大滝も感激でした。
日帰りではゆっくりできないエリアですので、山中に一泊してでも
できるだけ見どころを繋いで歩くコースを計画しました。
つらい思いをしても、楽しい記憶だけが残る。そんな二日間でした。
おはようございます。
sugi-chanさんも仰っていますが、レコを拝見していて“鈴鹿のイイとこどり”山歩きと感じました。
近江鈴鹿の集大成、レコのどの写真を拝見してもワクワクの連続でした
鈴鹿を知り尽くしているだけでなく、テン泊も含めた多彩な山の技術と経験の持ち主であるonetotaniさんならではです
豪快な稜線に絶景の広がる三重県側の鈴鹿も魅力いっぱいですが、静かな近江鈴鹿は格別ですね
秘境中の秘境、 上谷尻谷大滝も素晴らしいです
totokさん 今晩は。
昨年は雨の中をお金峠に引き返しましたが、今回は最高の天気に
恵まれました。
今回の目的は第一に新緑の谷尻谷で一夜を明かす事。その次が上谷尻谷大滝と
ワサビ谷を登る事、そしてクラシのジャンダルムをしっかりと眺める事。
愛知川の水量とクラシの石楠花は想定外でしたが、その他は計画通り歩く事が
でき、しっかりと新緑の季節を楽しめました。
谷尻谷は至る所にテントに適した台地が広がり、魅力がいっぱいでした。
こんにちはonetotaniさん
新緑を満喫するツアーお疲れ様でした。
先週歩いた場所がレコに出てきて、新鮮な気持ちで拝見できました。写真にあるコリカキ場の石のテーブル、私達もちょうど同じ場所で食事をしてました。そうそう、すぐ近くにフデリンドウがありましたね。
上谷尻谷大滝のオプショナルツアーも考えていたのですが、初日にコリカキ場に降りた時点で遅れと疲れで中止。次の機会にはぜひ滝を鑑賞したいと思います。
”重い装備を担いででも出かける価値のある場所”
実際に現地を訪れてみて、おっしゃる通りだと思いました。次このあたりを訪れる機会には、またonetotaniさんのレコを参考にさせていただきますね。
素敵なレコありがとうございました。
teppanさん 今晩は。
はい、新緑を満喫するツアーでした。
今回は愛知川の天狗滝より上谷尻谷大滝を優先しました。
先週は少し早かったフデリンドウもあちこちで見かけましたし、
ワサビ谷出合辺りにはヤマシャクヤクが多く見られました。
次に尋ねる時の楽しみが増えました。
この辺りは鈴鹿セブンでは味わえない鈴鹿の魅力が溢れていますね。
日帰りで何度も通える場所では無いだけに、どんなコース取りで歩こうか
あれこれ考えるのも楽しくなってきます。
2日目の朝にお会いした者です。まさか人に会うとは思っていなかったのでびっくりしました。10分ほど前にクラシに到着していましたが、用事があって駆け足で帰ったので残念です。しかし、谷尻谷はいいところですね。またお会いできますように。
blumfeldさん 今晩は。 コメントありがとうございます。
私もまさかの出来事で、人と会話できることが嬉しくさえ感じました。
連休最終日とは思えないほどひっそりとしたイブネ界隈でしたね。
これで紅葉、新緑と二つの季節を経験しましたが本当に谷尻谷は
素敵な場所ですね。
またどこかでお逢いした際はよろしくお願いします。
鈴鹿の秘境の醍醐味、レコで楽しませて
いただきました。
手元の、山と高原地図地図には
出ていない道ばかりで、読図と
地形読みのスキルがない僕には
ハードルが高いですが
見事な川の流れ、大滝、山上台地など
体験してみたいものです。
49枚目は、シロバナネコノメソウの
花びらが散った姿でしょうか。
komakiさん 今晩は。
県境稜線を越え愛知川へ、さらに西側へ左岸の尾根を越えると
鈴鹿の深部となり、めったに人に逢うことがありませんが、
三重県側では感じられない深い魅力を感じます。
谷に沿って広がる緩やかな台地には、至る所に生活の痕跡が残り、
「活気に溢れた時代もあったのかな」などと思いをはせながら歩くのも
悪くはないですね。
onetotaniさん、こんばんは。
コメントは初めましてなのですが、歩いている山域が似ているので、以前から参考にさせて頂いています
鈴鹿深部の素晴らしい1泊2日の山歩きですね〜。
今年のクラジャンのシャクナゲの開花具合が気になっていたので、それも非常に参考になりました。
ありがとうございます
まだ生で見たことのないヤマシャクヤクもぜひぜひ見てみたいです!
dachanhさん 今晩は。
山行記録を拝見しました。好きな山域が似ているようですね。
先日、烏帽子岳の石楠花が見頃を迎えていたのでクラシが
楽しみだったのですが、北尾根でわずかに見かけた程度でした。
もう少し後ならば石楠花もヤマシャクヤクも一緒に見られたかと思うと
ちょっと残念でした。花の時期を捉えるのはむつかしいですが、
良いタイミングで見られると良いですね。
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