大脱走ルンゼ滑走!剱岳スティープ!



- GPS
- 28:13
- 距離
- 20.1km
- 登り
- 2,532m
- 下り
- 2,564m
コースタイム
- 山行
- 1:45
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 2:18
天候 | 初日:晴れ 2日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
平蔵谷:デブリランドになっています。ヒドゥンクレバスも多数。 インディアンクロワール:下部の岩から上はきれいなもんです。 源次郎尾根:踏み抜き地獄でした。日が出ると日射が当たりやすいので、すぐ緩みますね。 大脱走ルンゼ:エントリーが一番急に感じました。10mも高度を下げれば落ち着きますが、相変わらずスティープ。45度くらいですかね。のどの入り口までは雪はきれいで走るザラメだったので快適に落とせました。 アバランチパスが中央にできており、溝になっています。そこをかわせば快適に滑れました。 喉部は幅が15〜20mほど、下部に互い違いにクラックがあり、スキーヤーズライト→レフト→ライト(または中央)のあたりを狙ってクリアしました。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
スキー(山スキー)をそれなりにやっていれば大脱走ルンゼは雪の条件さえよければ下れる(滑れるかは別問題)感じかと。
とはいえ、急斜面であることに変わりはないので、凍ってたら嫌ですね。
インディアンクロワールと源次郎尾根も、八ヶ岳の初級アイス、アルパインをリードで問題なくこなせるレベルなら問題ないでしょう。
感想
前回、はっちさん、いっしーと金山沢を滑った夜、白馬で飲んでいるときにふと『大脱走ルンゼ、行ってみたいんですよね~』と降ってみたところ、はっちさんが『じゃが行きましょうか。僕も行ったことないので興味があります』との事。
それなら自分もということで、自分、はっちさん、いっしーのメンツで大脱走ルンゼが決定!
一番経験豊富なハッチさんが富山県警への入山申請等をやってくださったおかけで問題なく、入山許可をゲット!
当日ははっちさんが大町側から、自分といっしーは立山駅側から室堂に上がり、待合室で集合。
室堂から雷鳥沢キャンプ場までは室堂山荘脇のブル道を使って移動。そこからシールハイクで雷鳥沢を詰めました。1時間半ほどで剱御前小屋に着きます。
そこで休憩と明日落とす大脱走ルンゼの確認。
写真や動画では見たことがあったものの、実際に確認した大脱走ルンゼはぶったっててちょっとビビりました。
写真を撮って拡大して確認すると、山頂から平蔵谷まで雪はつながっている様子。
ただ、喉部にクラックが見えました。
詳細を確認しると、2個のクラックが互い違いになっているようで、スキーヤーズライト→レフト→ライトの順でかわせば滑れそうとの見解。最悪は横滑りか懸垂でかわそうという判断になりました。
御前小屋でシールをはがして劔沢を滑走。剱澤キャンプ場で1泊です。
テントを張っていると剱澤の下部から人が登ってきました。
ツイッターで仲良くさせてもらってる鉄チンさんで、真砂沢を滑って剱澤を登り返し、応援に駆けつけてくれたとの事。(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1846650.html)
ありがたかったのは、剱澤からみた平蔵谷の写真を見せてもらえたこと!
デブリだらけになっていましたが、上部はきれいなもので、滑れそう!
しかも、御前小屋で見た大脱走ルンゼと印象がちがい、傾斜がいくらかわかったので、自分でも滑れそうな斜度であることが確認できたのは非常にありがたかったです。
その後、鉄チンさんを自分らのテントにお誘いして宴会して盛り上がりました!
翌朝、2時半起床、4時発。外は放射冷却で寒く、キャプリーン3、ナノエアライトフーディー、アルパインスタートフーディーを着込んで、行動開始。
初めはヘッデンで平蔵谷出合いまで滑走。
標高が2100mの出合いまで落とすと気温が上がり、出合いでシールとナノエアライトフーディーをデポ。
平蔵谷はシートラで詰めました。
谷の内側は写真で見せてもらった通りのデブリ地帯でしたが、歩くのにはそこまで支障にならず。放射冷却の影響で雪も十分しまっており、歩きやすかったです。
しっかり寝た甲斐あって序盤は体が思うように動いて、息もそこまで上がっておらず快適に高度を稼げました。
2時間ほど上げるとインディアンクロワールと大脱走ルンゼの取りつき点につきます。登りはインディアンクロワールから上がるので、目印のでかいピナクルを平蔵谷からみて右側のルンゼを詰めます。
インディアンクロワールの下部で、スキーポールトウィペットをザックにしまい、ピッケルに切り替えました。インディアンクロワールも斜度が45度ほどです。
しっかりしまっていて快適に登れましたが、斜度はそこそこあるので、途中でウィペットとピッケルの2本に切り替えました。
詰め切って源次郎尾根に出ると、日差しがあって雪がすでに腐り始めていました。
すぐに出てくる小さな岩稜(雪が少ないと消える程度です。)を突破して雪稜を詰めます。踏み抜き多発で苦労しました。トップで半分くらいラッセルしながら進んだので、さすがに疲れました。
最後の急雪壁を詰めると剱岳山頂に出ます。
残雪の剱岳をインディアンクロワールから詰めただけでも感激です。
山頂で写真を撮ってから滑走開始。
登ってきた急雪壁を落とします。確か斜度は48度とか。
雪の条件がよかったので、ここはサクッとクリア。
肩まで落とすと大脱走ルンゼの45度のステープ目なバーンが広がっています。
上部バーンはみな快適に落としました。ただ、クラックもあるので、控えめな感じ。
スラフも落ちましたが、伝搬性はなく、大きな雪崩にはならない感じでした。ただ、アバランチパスがルンゼの中央にできており、細幅(50cmくらい?)の溝が彫られていました。
大脱走ルンゼ下部の喉部は写真の通りクラックが開いていたので、横滑りで慎重にパス。幅も30〜50センチほどだったので、ノーロープでサクッとクリアできました。
平蔵谷まで落とすとこれで大脱走ルンゼは終わりで一安心。平蔵谷で2羽の来朝が出迎えてくれました。(笑)
大脱走ルンゼやり切った・・・感無量ですが、無事下山するまでが大脱走ルンゼですね。
平蔵谷出合いまで平蔵谷のデブリ地帯を落とします。雪が緩んでい入るものの、デブリで雪面は最悪・・・まぁ、ここは消化試合ですね。
剱澤まで下りたら、デポを回収してテントサイトまで戻ります。
ここで、息が上がってばて気味に。3歩すすんでは息を整えないの動けない状態。
肺の容積が1/3になったような感じです。体は動くのに呼吸ができないような状態ですね。何とかテントサイトまで登り返すと、先行していた2人でテントの回収までやってもらっていました。助かります。
そのあと御前小屋まで登り変えずも、ここでも大幅に後れを取り、雷鳥沢もなんとか滑りました。そこから室堂まで通常なら45分程度でつくのですが、1時間半もかかってしまいました。
はっちさんは最終バスの時間が迫っていたので、挨拶できず。
いっしーと合流してなんとか下山しました。
この状態、たまになることがあるので、下山後調べたら運動誘発性気管支喘息(EIA)というやつらしいです。
原因は
・低温化での運動
・気管支の乾燥
・max80パーセント以上の運動
があるそうです。そのほか、大気圧も影響があるそうなので、登山は相性最悪なのかもしれません。対策として、水分をとって気管支を乾燥させないこと、ウォームアップをしっかり行うこと。低温化での運動を避ける(マスクをする)、気管支拡張剤の使用などがあるそうです。
薬は最終手段ですが、これらとどうやって付き合っていくかが今後の課題です。
参考記事
https://supportsports.jimdo.com/%E9%81%8B%E5%8B%95%E8%AA%98%E7%99%BA%E6%80%A7%E5%96%98%E6%81%AF/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm1949/47/4/47_4_453/_pdf
あこがれだった剱岳大脱走ルンゼ、仲間のおかげで無事やり切ることができました!
富山で山スキーを教えてもらってから、いつか必ずと思っていたラインだったので、感無量です。
事故なく返してくれた剱岳に、同行してくれたはっちさん、いっしーに感謝!
剱岳、初めての岩稜峰だったり、遭難事故を起こしてしまったりといろいろ思い入れの深い山ですが、今回の山行でまた一段とそれらが深まりました。
自分が今何ができていて何ができないのか、この山に登ると見える気がします。
今後の課題も見えてきたので、次の山に向けて精進していきます。
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