北穂、奥穂
- GPS
- 56:00
- 距離
- 37.1km
- 登り
- 2,577m
- 下り
- 2,565m
コースタイム
5/4:6:20北穂小屋-6:25北穂高岳山頂-7:38涸沢小屋7:59-10:28穂高岳山荘
5/5:6:56穂高岳山荘7:42奥穂高岳山頂7:47-8:26穂高岳山荘8:41-9:47涸沢ヒュッテ10:19-11:07本谷橋-12:01横尾12:07-12:53徳沢13:02-13:40明神-14:10小梨平キャンプ場(外湯)14:35-14:44上高地BT
天候 | 稜線:終始雲の中 涸沢:晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
復路:バス、電車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地-横尾 路面に積雪なし、横尾直前は例年通り河川敷に降りる。 横尾-本谷橋 路面の雪が溶けグチャグチャの状態、大きな水溜りあり、途中ひらけた箇所は上部に石があるので落石に要注意 本谷橋-涸沢 本谷橋付近は今年もデブリが多い、例年に比べて雪面が濡れていて滑りやすいのでこのあたりからアイゼンをつけたほうが歩きやすかった。 涸沢-北穂 午後に登ったこともあり雪面が緩んでいて苦労した。途中1m幅程度ではあるものの雪崩が頻発していた。 涸沢-穂高岳山荘 こちらは午前中に登ったので雪面がしっかりしていて歩きやすかった、ここ2年小豆沢を登ったが今年はそこに雪崩が頻発しているのでザイテングラードに右から取り付いて最後はザイテングラード上を登る。ザイテングラードから落ちないように注意。 穂高岳山荘-奥穂高岳 始めのハシゴ・鎖は夏場同様に使えた。その先の急な登りも雪が安定していた。 間違い尾根への急登が高度感あって上りも下りも一番気をつかった。 最後の下りは視界が無かったこともあり「ここでいいのか?」と不安になるような急な下りだったけれど踏み跡が階段状に出来ていて見た目ほど怖くない。 視界が無くトレースが消えていた中での登頂になったのだけれど雪面が安定していた点に助けられた。雪がやわらかくなっていると難易度はかなり高くなると思う。 |
写真
感想
私にとって3年連続の挑戦となるGWの奥穂。
1年目は前年に富士山に登っただけというほぼ未経験でいきなりここにきてしまったのだから今から思えば髄分と無茶をした。涸沢で一泊、翌朝穂高岳山荘まで来た時点で霧の中、ラーメンを食べて下山した。
2年目は前年の夏に奥穂〜前穂、北穂とそこそこの経験を積んでの挑戦。
欲張って槍をはじめ目指すも下山者の情報で断念、結局涸沢で一泊のあとやはり翌朝穂高岳山荘へ登る。この年も天候悪くその後更に悪くなるようだったので一応涸沢岳には登って下山した。
そして3年目、剱岳に長次郎谷から登ったり、槍穂の縦走をしたり厳冬期の赤岳に登ってみたり一応の経験を積んだつもりで今年こそは残雪期の奥穂に登るぞ!と2泊3日で挑んだ。
今年のGWは前半と後半が分かれてしまい、期間の長い後半を選んだのだけれども
結局天気の良かったのは前半だった。
ヤマレコで登頂者の綺麗な写真を眺めながら後半の天気予報を恨めしく眺めていた。
それでも何とか最終日としていた5/5の天候は良さそうなので5/2深夜のバスで出発した。
翌朝、上高地5時過ぎの到着。準備をして小雨の降る中横尾まで。
そして横尾で小休止のあと涸沢へ向かった。
昨年に比べると雪は少ないように感じたが本谷橋のあたりから昨年同様デブリが現れる。そして連日の雨で雪面がやわらかくなっていてここでアイゼンをつける。
なんとか昼前に涸沢ヒュッテ到着、昼食をとりこの日はここから北穂を目指す。
12時出発だからどんなに遅くても16時には着けるだろう。
と思っていたのだけれどここから実に5時間もかかってしまった。
気合を入れて持ってきたカメラのレンズの重さや午後になった雪面の悪さ、そして自分の体力の無さそれぞれが原因かもしれない。
途中長野県警の山岳警備隊に追い抜かされたのでもしもの時のために少し話をした。
何とか17時目前で北穂山頂、少しだけ槍の眺望。
小屋に入りすぐに夕食、そのご外は雨。
5/4 小屋からの眺望は期待できなかったので朝食後すぐに涸沢へ下山。
登りで苦労した急勾配をシリセードを駆使して楽しく下っていく。
すべりが良く制動もスムースだったので実に楽しい下りになった。
涸沢小屋で小休止、小屋のテレビの天気予報で午後天気が崩れるとの事だったのですぐに穂高岳山荘を目指した。
穂高岳山荘への登りは前日とは打って変わって歩きやすい道のりだった。
この2年小豆沢を登っていたのだけれど今年はその小豆沢の雪崩が頻発していたこともありザイテングラードにとりつきそこを登る。雪の尾根を登っているような感覚もありなかなか楽しかった。
昼前に穂高岳山荘に到着、この2年同様霧の中、雨も降っていた。
それでも奥穂へアタックするパーティーは少なくなかったけれど私は翌日の天気を信じてこの日は動かなかった、靴が濡れてしまった事もある。
この日の夜、吹雪になった。
夕食後午後6時、宿泊者がストーブの周りで団欒しているそのガラス窓の向こうに人影が、遅れて到着した4名が中に入ってくる。
全身に氷が張り付いたその様は恐怖を感じるような様だったがそれでも彼らは自力で小屋にたどり着けた。本当の悲劇はその後に起こった。
消灯後、下階から叫ぶ声が聞こえる言葉の判別がつかなかったが「がんばれ」という叫び声が強く印象に残っている。
恐ろしくて下に降りて行く気持ちにもなれない、時計を見ると午後11時、小屋の窓ガラスを叩くような猛吹雪の中この時間。布団の中で祈ることしか出来なかった。
事の詳細は下山後知った。
http://bochiiko8.blog14.fc2.com/blog-entry-169.html
翌5/5早朝、前日なにも無かったように静かな朝、しかし天気予報の通り天候は良くならなかった。
涸沢岳側も奥穂側も岩壁が白い雪煙の中に見えるだけ、涸沢の明るさだけが期待を持たせてくれる。宿泊者が続々下山を始める。
天候は少し良くなっているようだ、そんな折二名の一組が奥穂へのアタックを開始する。その二名に便乗するように私も奥穂を目指した。
始めの岩場、急傾斜の雪面はあとからついていったので難なく過ぎる。
しかし先を行っていた二名が寒さでアタックを中止した、どうするか?
あまり悩まず私は先を行った、トレースは前日の雪と風で消えていたが登山道の形状は残っていたので所々見える○マークを確認しながら先をすすんだ、
一番のポイントはやはり間違い尾根への急傾斜、上りながら下りが不安になる急傾斜、それでも雪面が安定していたのでアイゼンピッケルの利きが良くそこを乗り越えそして奥穂山頂、この日一番乗りの奥穂山頂は真っ白な世界、静かだった。
下りの心配の方が先立って感激することも無かったが静かな達成感があった。
下り始める、視界は更に悪くなっていた、途中3名とすれ違う。
最後の人は小屋で楽しく話した年配の方、ちょっと心配になったけれどルートのアドバイスをしてすれ違う。
視界が悪くなっていたので小屋目前の下りが奈落の底へ降りて行くかのような不安になる。トレースはついているけれど。
それでも階段状についたそのトレースをたどると転落防止用のネットが見えてきたそれで安心してそして小屋に戻った。
少なくとも言えることは1年目でアタックしなくて良かったと言うこと。
1年目でこの道を登っていたらと思うとゾッとする。
そして下山、涸沢までの下りは新雪のせいかシリセードが利かずに苦労した。
涸沢からの下りはグチャグチャの雪面を下り本谷橋を過ぎてからは水溜りの中。
横尾からの帰り道はやはり長い、小梨平キャンプ場で外湯につかり外に出ると雷鳴。急いでバスターミナルへ。
遭難の話は翌朝の新聞で始めて知った。
今回の穂高山行は色々な意味で深く心に残る3日間になった。
yoginsと申します。
たぶん3日の午後、自分が北穂高から下山中にすれ違ってると思います。
無事の下山何よりです。
天候が読めなくて難儀しましたが、終わってみればいろいろと思うところもありましたね。
お互い気をつけながら山を楽しみましょう☆
3日の午後に北穂から降りてきた方は数名ていどだったのでその内のどなたかなのでしょうね。
稜線の天気は良く無かったですね、でも槍の眺望があったようで何よりです。
嫌なニュースが多かったですがお互い安全に山を愉しみましょう!
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