『豆腐メンタル はじめて槍物語』西鎌尾根de槍ヶ岳周回


- GPS
- --:--
- 距離
- 32.1km
- 登り
- 2,586m
- 下り
- 2,574m
コースタイム
- 山行
- 13:27
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 14:58
※実測よりも短く表記されてる場合多い
天候 | 晴だけどガス多し |
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過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
AM0:00頃到着するも満車。駐車スペース外にも多数駐車してい為、何とか隙間を見つけて駐車した。 |
その他周辺情報 | 深山荘 露天風呂入浴料 ¥500 ※石鹸の使用不可 ※露天風呂の解放感はGOODですが、多少の丸見え感は否めない ※水着着用可の混浴あり |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
梅雨も明け「久々にアルプスロングハイクでもやったるかぁ」といきり立つ。色々と物色していると、未だ槍ヶ岳に登っていないことに気付く。昔は憧れていた槍様だが、今はそれほどでもない。でもまぁいつまでも未踏というのも何なので、今回チャレンジすることにした。「いつか槍を目指すなら絶対西鎌尾根で!」と思っていたので、少々無茶な距離だとも思いつつ、今回も生き急ぐ中年ハイカーなのであった。
新穂高の登山者用駐車場に0:00頃到着。”鍋平駐車場には絶対停めたくないマン”の私は、既に満車状態にもかかわらず空きスペースがないかと探索。何とか隙間を見つけて愛車をねじ込むことができた。眠れぬ夜を過ごすくらいならナイトハイク。そして、時間が延びれば距離も伸ばせるという安直な発想で、すっかりデフォルトと化した秘儀”闇上がり”。
今回ルート上には、水分を補給ができる箇所が多いので、1ℓだけを積む。少しでも負荷を減らす作戦だ。雨待ちで予定よりも遅いスタートとなってしまったが、最後まで筋力&体力がもつように、ペースを整えて歩く。それでも、暗闇の中集中して歩いているせいか、想定よりも早く鏡平に着いた。そこには日の出を待つ多くの方々がいる。生憎のガスでサンライズを拝むことは叶わなかったが、やはりここから眺める槍穂はいい。
そこからペースが少し落ち始める。いつも2300m前後でプチ高山病が出始めるが、しばらくすれば回復するはずだ。朝陽に照らされる花の群生を愛でながら、行き交うハイカーさんと挨拶を交わす。素晴らしいロケーションの早朝稜線歩き、本来であれば宿泊者しか味わえない風景。これだから闇上がりはやめられぬ。そんな中、遅れを取り戻しつつ第一チェックポイント:双六小屋へ到着した。
人気の双六小屋とテン場には大勢のハイかーの姿。朝の準備を終え続々と出発し始めている。ここから始まる憧れの西鎌尾根を前に大休憩した。夏場はあまり食べ物が喉を通らないので、大量のドーピング剤、エナジーゼリー3個、大福6個を持ってきた。「これだとお腹空くかなぁ」とちょと不安だったが、いざとなれば小屋で食べればよいかのでまぁ安心。
西鎌尾根スタートは見上げるような樅沢岳への登りから始まる。既に疲労を感じ始めている足をいたわる為、ストックを出す。はやる気持ちを抑えつつペースを整えて登る...時間は十分にある、急ぐ必要は何もないのだ。西鎌尾根は想像していた通り素晴らしい稜線だった。まぁ北アの稜線は何処も素晴らしいのではあるだが、360度に見渡す名峰の峰々、それほど厳しくないアップダウンと歩きやすい登山道、そして何より行き先に鎮座する”魔王の山”の如き槍ヶ岳の姿...まるで『ロード オブ ザ リング』にでも出て来そうな風景だ。少しガスがかかった感じが、さらにおどろおどろしさを演出する。オッサンなのに厨二病な私は、「待っておれ魔王!必ずや辿り着いてみせるのだぁ」とストックを聖剣に見立て天に突き上げるのであった。
そんな感じで千丈乗越に到着、ここからが核心部だ。ここまでアップダウンがなかった分、最後にまとめてやってくる感じ。標高差360mを一気に登る。岩の尾根だが、危険個所はなく登りやすい。とはいえ、流石に疲労が溜まった足はスムーズに動かず、一歩一歩踏みしめるように歩く。あまりの殺人的登りに、途中で休んでいるハイカーさんが多数いらっしゃった。お互いを労いながら「この登り...狂ってますね...」と言葉をかけると、皆さん激しく同意されていた。
かなり時間がかかったが、何とか槍ヶ岳山荘に到着。多くのハイカーさんが休む中、私も大休憩。生憎山頂はガスっているし、そこそこ渋滞も発生しているようなので「別に登らなくていいかなぁ」とピークハントが何だか面倒くさくなってきた。とはいえ、ここまで来て登らないのも何なので、重い腰を上げる。山頂までほぼ両手を使った登り。鎖や足掛かりがあるので、見た目ほどの難易度ではないかもしれないが、それでも落ちれば巻込み大事故発生だ。手足の置き場をきちんと確保でき、3点支持になれていないならやっぱり来るべきところではないと思う。所々渋滞しながら、最後の梯子を上り切り、初槍ヶ岳登頂を果たした。
ガスに見舞われ、残念ながら展望を望むことは叶わなかったが、それでも一瞬晴れ渡り、眼下の様子や大キレットへ続く稜線を眺めることはできた。まぁ長時間滞在したところで、ガスが晴れるかどうかも分からないので、そそくさと退散することにした。槍ヶ岳山荘にて炭酸麦ジュースを購入し一人乾杯。五臓六腑に染みわたり、脳内ドーパミン出まくりである。槍ヶ岳を眺めながら、既に疲労感満載の足をゆっくり休めることにした。
さて、午後から天候が崩れる可能性もあるので、あまり長居もしてられない。CT6:25なので、例えCT通りだとしても日暮れ前には到着できるだろう。という事で、のんべんだらりと歩いていくことにした。山荘の前を通り過ぎるとテン場。なかなかアグレッシブなシチュエーションだった。飛騨乗越まで下り、キレットへと向かう稜線を眺める。南岳までは緩やかな稜線と勝手に想像していたが、大喰岳まではなかなかの登りだし、その先も険しそうだった。分岐を右に折れ、石ゴロゴロ地帯をひたすら下る。カール状の雄大な地形は花爛漫で目を楽しませてくれた。
そして、本当の核心部はここからであった。というか、めっきり肉体能力低下してしまったここ最近では、登頂まで筋力&体力使い果たし、たいてい下りが核心部となる。標高下げるにつれ気温は上昇。変化の乏しい樹林帯の登山道に飽き飽き。疲労が溜り足は思うように動かない。まさに苦行。途中で「...もうすぐ(槍ヶ岳)山荘ですかぁ?」と疲労困憊なハイカーさんの幾人かに尋ねられた。気休めを言うのもの良くないと思い「距離はそれほどないですけど、ここから先が登り本番ですよ」と瀕死にとどめを刺すようなことをしてしまった。
やっとやっと槍平小屋に到着。「ここで半分くらいだったかなぁ」などと思い込んでいたのだが、スマホで確認してみるとまさかの1/3程度の距離...折れました...心が折れました。「まじかぁ...まじかぁ...」と呟きながらトボトボと小屋を通過。もはや気持ちを立て直すこともできず、さらにペースは落ちる。ただ助かったのは、途中沢が多いので冷たい水の補給を都度できること。沢に出合う度に、水を何度も入れ替えた。長い苦行の末、最後は無我の境地(というか幽体離脱)に達し、何とか白出沢出合に到着し林道歩きへと入った。
しかし、本当の本当の核心部はここからであった。昨年の笠ヶ岳&双六岳周回の左俣林道の時と同じく、右俣林道に入ってすぐに足裏が痛くなってきた。結局この林道区間はCT通りの1:30もかかり、苦行を通り越してまさに虐待のようであった。下山でパスさせて頂いた人数と同数くらいのハイカーさんにどんどん抜かれていく。調子に乗って飛ばしたオッサンハイカーがスタミナ切れで案の定の減速後退...この恥ずかしい事態もまるっきり昨年と同じだ。「林道長い足痛い林道長い足痛い林道長い足痛い...」と愚痴(定期)を吐き続ける大人の私。今回もまた己の力を過信し、最後のキメゼリフを吐くのであった「何でこんなことしてるんだろう」。何とか新穂高センターへたどり着いたが、もし鍋平駐車場まで行かなければならなかったとしたら、タクシー呼ぶかRW乗ったかもしれない。
車でザックを下ろしたら、すぐさま深山荘:野晒し露天風呂へGO。一気に疲れが癒される。そして、先程までは「しばらく北アはもういいな」などと思っていたのだが、”喉元過ぎれば熱さ忘れる”今日の素敵な場面を思い返して、「また来たいな」などと考えるヘタレ中年ハイカー学習能力皆無なのであった。
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