【白山】カラスノ谷〜大平壁〜別山


- GPS
- 32:00
- 距離
- 21.2km
- 登り
- 2,267m
- 下り
- 2,257m
コースタイム
天候 | 両日とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
石徹白登山口に至る林道は全面舗装で通行に問題ないが,ところどころ落石や路盤陥没があるため注意。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
※ カラスノ谷での藪漕ぎ中にカメラを紛失してしまったため,前半部(カラスノ谷遡行の大半)の写真がありません( ノД`) <カラスノ谷(別山谷)へのアプローチ> ・ 石徹白道の神鳩ノ宮避難小屋から,北東方向に延びている沢(ブナゴヤ谷)を下降して別山谷に降り立つのが最も簡便なアプローチ。今回,丸山への稜線を少し進んだところにある鞍部からブナゴヤ谷に降りましたが,地形図に記載されている丸山への登山道は完全に廃道化しており,ブナゴヤ谷をある程度降りるまでは,背の高い笹と灌木の激しい藪漕ぎになります。(なお,神鳩ノ宮避難小屋のすぐ前から伸びている踏み跡は,水場への道であり,そのまま降りてしまうととんでもない方向に行ってしまうため,注意してください。) ・ブナゴヤ谷は,大き目の滝がいくつか出てきますが,懸垂下降は1回のみ(18mくらい)で,あとは小さく巻き下れます。谷をそのまま降りてしまうとゴルジュ帯に入り下降に難渋するそうなので,1250m〜1300mの間くらいにある緩斜面帯から尾根を越えて一本東にある谷に移るのがポイント。 <カラスノ谷(別山谷)> ・ 序盤は気持ちの良い平流ですが,モミクラ谷との二俣からカラスノ谷に入って少しすると,次第に両岸がV字谷状となり,厳しい滝場が始まります。 ・ カラスノ谷は、雄大なV字谷の中に高山的な明るい流れが続く美しい谷であることはもちろんですが,1つ1つの滝場の通過に頭を使わされる,スリリングで楽しい谷でもあります。特に,高巻きが厳しい(急斜面かつ猛烈な藪)ため,まずは何とか水線沿いに登れるルートがないか検討し,高巻きは最終手段にしたほうが良いと思います。実際,多くの滝は直登が可能で,結構面白いのでぜひトライを。直登不能な大滝は2つほどありますが,いずれも左岸を巻くことができ,懸垂下降なしで落ち口に降りられます(ただし藪漕ぎは大変。)。最後の10m滝は,右手の壁が直登できるそうですが,安全第一で左岸を高巻きしようとしたところ,ヤブ尾根まで追い上げられて大変な思いをしました(そしてそこでカメラなくした…)。 ・ この谷はV字谷がずっと続くためよい幕場があまりありません。タープの支柱にできるような立ち木もなく,意外に風も通るため,ある程度標高を上げてから泊まる場合は,テントやシェルターのほうがよいかもしれません。 ・ 今回,雪渓は残っていませんでしたが,雪渓が残っている場合はさらに遡行難度が上がると思われます。 <大平壁> ・ 石徹白道から見ると結構険しく見える別山直下の大平壁ですが,意外と傾斜はそれほどでもなく,岩と草付きのミックス壁といった感じです。ホールドも豊富なため,最大でも3級程度の登攀で快適に登ることができます。慣れた人であれば,ロープでの確保の必要性は感じない程度だと思います(ただし,浮石が多いので落石注意。)。途中に緩傾斜帯もあるため,止まって休むことも可能です。眼下に広がるカラスノ谷源頭部の景観を眺めながら,広大な壁を思い思いのルート取りで登り,最後はダイレクトに別山山頂に突き上げることができる,なかなか面白いバリエーションルートです。 |
写真
装備
備考 | ・ 40mロープを携行しました。ブナゴヤ谷の下降時に懸垂下降で1回使用。カラスノ谷に入ってからは使用しませんでした。 ・ カラスノ谷, 大平壁ともに, フリクションは概ね良好なため, 沢靴はラバー推奨。ただし, 岩の赤くなった部分は猛烈に滑るので注意。 |
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感想
1日目夜から2日目の大平壁のことについては写真の項で記載したため,ここでは写真が欠落している1日目のカラスノ谷遡行のことについて書き留めておきます。
<カラスノ谷(別山谷)への下降>
・ カラスノ谷(別山谷)へは,神鳩ノ宮避難小屋から北東に延びている沢(ブナゴヤ谷)を下降する。丸山の方向に延びている稜線の鞍部からブナゴヤ谷に下降しようとしたが,地形図に記載されている丸山への登山道は完全に藪に埋もれており,朝イチでいきなり強烈な藪漕ぎに見舞われる。ブナゴヤ谷を下降し始めてからも,最初は藪沢であり,灌木や笹をかき分けながらの下降が続く。
・ しばらく下降を続けると,次第に左右からの流れを集め,沢らしくなってきた。10mくらいの滝が2回ほど出てくる。最初の滝は巻こうと思えば巻けそうだったが,藪漕ぎが大変そうだったためロープを出して懸垂下降。次の滝は左岸を小さく巻いた。
・ 事前情報のとおり,1300m〜1250mの間あたりの緩傾斜帯から右手の尾根に登り,ひとつ東側の沢に乗り移る。東側の沢に降りる箇所は崖のようになっていたため,少しうろうろして傾斜が緩いところを探して下降した。東側の沢はおとなしい沢で,容易に別山谷に降りることができた。
<別山谷〜カラスノ谷・モミクラ谷出合まで>
・ 別山谷は広く明るい谷間をゆったりと流れる素晴らしい流れで,悠々と遡っていける。カラスノ谷・モミクラ谷出合までは一時間程度。通過は容易である。
<カラスノ谷の連瀑帯>
・ カラスノ谷に入って少しすると,谷は次第にV字谷の様相を呈し始め,その中に滝が連続し始める。最初は小滝ばかりで容易に通過していけるが,次第に通過に手こずる滝が出てくるようになる。
※ 以下,記録代わりにしていたカメラを落としてしまったため,滝の数や順番等が少しあいまいです。特に記憶に残った滝だけ記しているとご理解ください。
・ 谷の真ん中の大きな岩に流れが二分されたような5mほどの滝は,真ん中のスラブを直登。上に行くほどホールドがなくなり,フリクション勝負。
・ 長く深い淵の奥に3mほどの滝がかかり,その左手を丸い大岩がふさいでいる。ネットの記録ではよくその大岩の隙間を登っている写真を見るのだが,少し難しそうに見えたため,淵の手前の左手から斜面を登り,巻いていくと,うまいこと小さなルンゼから滝の落ち口に降りることができた。
・ 5mほどの滝,左手の凹状を直登。一箇所思い切りがつかない箇所があったため,クラックにカム(#C1)をセットし,スリングアブミで抜けた。
・ 右手にスラブ状の大岩のある5mほどの滝は,そのスラブ状の部分を直登。ホールドがなさそうに見えて,よく探すと必要最小限のホールドがつながっており,登っていて楽しい箇所。大岩の途中まで登るとバンドがあり,そこまで登ってしまえば簡単に滝を乗り越せる。
・ その滝の後には短いが深く穿たれたゴルジュがあり,滝が3つ詰まっている。最初の3mほどの滝は手足を突っ張るようにして直登できた。次の2mほどの小滝も簡単に乗り越せるが,最後のゴルジュ出口の5mほどの滝が登れず,引き返して登路を探す。最初の3m滝を登った後の右手のスラブが登れそうだったため,その箇所を草付きまで登ると,うまいことゴルジュを巻くことができた。
・ このほか,一見して直登できなさそうな大滝(15mほど)が2つ出てくるが,どちらも左岸から巻くことができる。懸垂下降なしで,落ち口にピッタリ降りることができた。ただし,高巻き中の藪漕ぎは相変わらず激烈。
・ 連瀑帯最後の10m滝は,右手が登れるとのことだったため,取りついてみた。最初はごく簡単なのだが,上部へ行くほど少し壁が立ってくる。しかも,不安定な岩が多く,浮石をつかんでバランスを崩しかけてしまい,集中力が途切れてしまった。ここを単独で登るにはすこし心細いと判断し,慎重にクライムダウン。高巻きを開始する。右岸は岩壁が続いており難しそうだったため,左岸の急な草付きを登り,まず岩壁の上に草付きがつながっているように見えるバンドをトラバースしていく。しかしかなりの急斜面で高度感があることに加え,回り込んだ先でバンドがつながっているかどうか確信できなかったため,引き返す。こうなると,頭上に見えている小尾根の上に這い上がるしか活路はない。灌木頼りのモンキークライムで小尾根の上に這い上がり,笹と灌木の濃密な藪に絡みつかれながら,小尾根の上を上流方向へ進んでいく(この時に藪に引っかかってサイドポケットのファスナーが開いてしまったらしく,カメラを落としてしまった)。1分間に5mしか速力を発揮できない厳しい藪漕ぎ。期を見て谷のほうへ斜面を降りていく。途中で岩壁に阻まれるのではと案じていたが,何とか灌木のつながる緩斜面を見つけて谷に降りることができた。降りた場所は,問題の10m滝の落ち口のすぐ上。10m滝にたどり着いてから,1時間が経過していた。
※これ以降の記録は写真の項に記載
コメント
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hillwandererさん、こんばんは!
ヤマレコユーザーさんだったんですね。
三ノ峰で話を聞いてスゴイな〜と思っていたけど息子とレコ見てやっぱりスゴイ!と喋ってたとこです。
カメラ紛失は痛手でしたね。
三ノ峰ではありがとうございました!ご家族での登山、楽しそうだな〜と思っておりました。鳩が湯、いいですよね。
カメラは二度と落とさないようにカラビナつけようと思っています(^^;
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