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Yamareco

記録ID: 21343
全員に公開
沢登り
剱・立山

鳶谷〜薬師岳〜黒部川ウマノ沢〜黒部五郎岳〜北の股岳〜折立

2001年08月11日(土) 〜 2001年08月14日(火)
 - 拍手
GPS
80:00
距離
33.3km
登り
2,934m
下り
2,799m

コースタイム

8月11日芦倉寺 →折立(9:00) →鳶谷出会い(10:00) →1980m二股C1(14:30)
8月12日二股C1(6:45) →2080m二股(7:30) →源流(10:00) →登山道(11:30) →薬師岳(12:00-20) →薬師沢右股2100mC2(14:30)
8月13日薬師沢右股標高2110mC2(7:40)→薬師沢中俣出会い(900)→薬師小屋(11:10〜40)→赤木沢出会い(1230)→ウマ沢標高2350mC3(14:30)
8月14日ウマ沢標高2350mC3(6:30)→源頭の草原(7:00)→夏道ザックデポ(7:40)→黒部五郎岳(8:05〜20)デポ(8:40)→赤木岳→北の股岳→太郎小屋(12:00〜30)→折立(14:30)
アクセス
コース状況/
危険箇所等
折立→鳶谷→薬師岳→薬師沢右股→黒部川本流→ウマ沢→黒部五郎岳→赤木岳→北の股岳→太郎岳→折立

大阪の片岡さん、上海の梶田さんと黒部川源流部の沢で4日間遊ぶ。

上海からの梶やんを名古屋空港に迎え、米原まで通勤電車で進む。駅前で梶やんの上海でのもと同僚の人妻中国人、曾迎春氏に連絡を取ったら買い物帰りですぐ近くにいた。そのまま飲んで片岡さんを待つ。いい気分になったところで片岡さんが車で到着、そのまま富山へ。午前0寺到着の芦倉寺では飯田さんが残業していたが奥さんが出迎えてくれ、本人は1時近くに帰宅、しばらくみんなで飲んで寝る。翌朝は二人とも仕事だというのに朝ご飯まで出してもらって出発。混雑する折立に車をおいて林道を出発する。いろんな人にあったなあ。富山にはまだたくさん挨拶する人はいるんだけど。

一日目・鳶川遡行
鳶谷を遡行する。空は曇り、時折雨。沢は広く開けているが、大きな岩が多く、さして印象に残らぬまま岩井谷本流と分かれる。その後も滝という滝でもなく、あっても簡単に通過する感じのアクセントの無い沢だ。今年は雪渓も少ないようでなんとなく1980mの二股に到着。ガスガスのヌレヌレではあるがたき火。二股は傾斜が急だが、岩の庇の近くに快適なスペースが整地してある。

二日目・薬師越え
出発してしばらくは巨岩積み重なる急傾斜の沢。記録によれば例年は雪渓べったりらしいが、今年はさっぱりない。「雪渓のあるべき所に無い年は浮き石が多いので気を付けよう」と片岡さんが言った10分後、直径2mほどの岩がゴスン!と崩れ、僕の左足をかすめ、片岡さんの上で止まった。足は擦り傷と打撲で済んで助かったが、あまりの緊張にしばらく息をし忘れた。

雪渓にべったり埋まった2080mの二股を左にとると、やっと沢がおもしろくなってきた。連瀑帯はおおむね中を突破。途中2回トップが登ってお助けひもを垂らすピッチあり。核心部の最後に両岸カベ、正面ハング滝の行き詰まりがあり、左岸のルンゼを使い、大きく捲く。降り口はブッシュ付きのルンゼから。懸垂なしでいけた。沢の源流はのどかなのどかな花畑、遠く稜線までのんびり歩く。時折雨が降る中、藪漕ぎなしで薬師小屋の下の夏道へ。そこにザックをおいて山頂を往復。お盆の最中なので視界も無いのに登山者は多い。山頂の薬師増に梶やんが念入りにお参りして、「これで当分悪さをしても大丈夫や」。

ザックにもどって薬師沢右股へ。下降点は薬師平の南の緩やかなコルになっているところ。ここを目指して夏道を外れる。はずれるときはハイマツに遮られて見えないが、1分も漕ぐと、大草原に変わる。黒部源頭の花畑はこうして登山者からカモフラージュされているのだ。そのコルには小さな池があり、うきうきするようないい場所だった。このあたりで初めて日を浴びる。正面に雲ノ平の台地を見て下る。よく開けた明るい谷だ。本流に合流ししばらくして良い天場を見つけ、たき火。夕方を過ぎても何度も雨が激しくなったが、たき火は消えなかった。

3日目・黒部川源流部を堪能
朝から秋空のような快晴。しばらく降りると、小滝や釜も現れる。用意してきた釣り竿を垂らしたりしながらのんびり下ってゆく。日当たりの良い、いかにもイワナのいそうな淵があったので、二人は糸を垂らし、僕は用意してきた水中めがねとシュノーケルで、裸になって水中遊泳する。水は結構冷たいが、透明に見える水中の広がりが感動的だ。泡立つ滝の水泡の柱の傍らに、魚群が見える。こんな山奥の、限りのしれた一角なのに地上では知ることのできない世界がすぐ近くにあることを知った。深く潜れば立体的に舞い、自由な気分になれた。水からあがると思いのほか体力を使っていて、足下がふらつく。

薬師沢左股の出会いで、梶やんがヤマメを一匹つり上げる。持参のミミズではなく、やっぱり石の裏にいたチョロ虫でかかった。薬師沢を下りゆくと思いがけず右岸の高台の上に薬師沢小屋。ここから黒部本流を上る。さすがに人が結構いる。赤木沢を目指すとおもわれるパーティーもあり。沢で他パーティーに会うのは珍しい事なのでなんだか落ち着かない。追い抜いて赤木沢出会いまで進み、ウマ沢出会いまで進んでしまう。赤木沢出会い付近は評判通りに美しいトロだ。ウマ沢二股までのナメ滝帯もサスガに人気のあるのが分かる。赤木沢は他の二人が行っているので、今回は左股のウマ沢をゆくことにする。

沢はやがて連瀑帯になり。トイ状、チムニー状と姿を変え、標高をぐんぐん上げて楽しませてくれる。最後に10mほどの滝を右岸から捲いたら穏やかな源流の趣になる。適当なところに天場を探し、またまた沢のたき火をこしらえる。毎日毎日炭のにおいをかいでうれしい限りだ。きょうのたき火は雨なし。樹林に埋ずもれた緩やかな谷の中を煙が立ち上ってゆく。ヤマメを焼いて、米を炊く。「こんなに贅沢な遊びはないなあ」と梶やん。

四日目:黒部五郎を超えて稜線
ウマ沢はすぐに水が切れ、源流のお花畑に。朝の輝く青空の下、稜線には縦走の登山者が早くもたくさん歩いているのが見える。夏道へは10分ほどのハイマツの藪こぎで到達。運動靴に履き替え、ザックをおいて黒部五郎を往復。空身だと早い。山頂からは遠く剣から白馬、槍、笠、乗鞍、御岳まで眺望。来春のスキー縦走のもくろみを相談する。黒部の上流部は広くてのどかなところなのだ。これを楽しむのに最適な4日間だったと思う。あとはひたすら夏道を折立へ。沢ペースでじゃんじゃん飛ばして帰ったので、時間は早い。太郎小屋前では、登山道の浸食を研究テーマに、登山者が道のどっちをあるくか一日中観察している静岡大山岳部の学生に残った食べ物をお供えしてきた。ああいう学生とはまたどこかであいそうな気がするのだ。富山でタンタン麺を食べて米原で解散。

感想

大阪の片岡さん、上海の梶田さんと黒部川源流部の沢で4日間遊ぶ。

上海からの梶やんを名古屋空港に迎え、米原まで通勤電車で進む。駅前で梶やんの上海でのもと同僚の人妻中国人、曾迎春氏に連絡を取ったら買い物帰りですぐ近くにいた。そのまま飲んで片岡さんを待つ。いい気分になったところで片岡さんが車で到着、そのまま富山へ。午前0寺到着の芦倉寺では飯田さんが残業していたが奥さんが出迎えてくれ、本人は1時近くに帰宅、しばらくみんなで飲んで寝る。翌朝は二人とも仕事だというのに朝ご飯まで出してもらって出発。混雑する折立に車をおいて林道を出発する。いろんな人にあったなあ。富山にはまだたくさん挨拶する人はいるんだけど。

一日目・鳶川遡行
鳶谷を遡行する。空は曇り、時折雨。沢は広く開けているが、大きな岩が多く、さして印象に残らぬまま岩井谷本流と分かれる。その後も滝という滝でもなく、あっても簡単に通過する感じのアクセントの無い沢だ。今年は雪渓も少ないようでなんとなく1980mの二股に到着。ガスガスのヌレヌレではあるがたき火。二股は傾斜が急だが、岩の庇の近くに快適なスペースが整地してある。

二日目・薬師越え
出発してしばらくは巨岩積み重なる急傾斜の沢。記録によれば例年は雪渓べったりらしいが、今年はさっぱりない。「雪渓のあるべき所に無い年は浮き石が多いので気を付けよう」と片岡さんが言った10分後、直径2mほどの岩がゴスン!と崩れ、僕の左足をかすめ、片岡さんの上で止まった。足は擦り傷と打撲で済んで助かったが、あまりの緊張にしばらく息をし忘れた。

雪渓にべったり埋まった2080mの二股を左にとると、やっと沢がおもしろくなってきた。連瀑帯はおおむね中を突破。途中2回トップが登ってお助けひもを垂らすピッチあり。核心部の最後に両岸カベ、正面ハング滝の行き詰まりがあり、左岸のルンゼを使い、大きく捲く。降り口はブッシュ付きのルンゼから。懸垂なしでいけた。沢の源流はのどかなのどかな花畑、遠く稜線までのんびり歩く。時折雨が降る中、藪漕ぎなしで薬師小屋の下の夏道へ。そこにザックをおいて山頂を往復。お盆の最中なので視界も無いのに登山者は多い。山頂の薬師増に梶やんが念入りにお参りして、「これで当分悪さをしても大丈夫や」。

ザックにもどって薬師沢右股へ。下降点は薬師平の南の緩やかなコルになっているところ。ここを目指して夏道を外れる。はずれるときはハイマツに遮られて見えないが、1分も漕ぐと、大草原に変わる。黒部源頭の花畑はこうして登山者からカモフラージュされているのだ。そのコルには小さな池があり、うきうきするようないい場所だった。このあたりで初めて日を浴びる。正面に雲ノ平の台地を見て下る。よく開けた明るい谷だ。本流に合流ししばらくして良い天場を見つけ、たき火。夕方を過ぎても何度も雨が激しくなったが、たき火は消えなかった。

3日目・黒部川源流部を堪能
朝から秋空のような快晴。しばらく降りると、小滝や釜も現れる。用意してきた釣り竿を垂らしたりしながらのんびり下ってゆく。日当たりの良い、いかにもイワナのいそうな淵があったので、二人は糸を垂らし、僕は用意してきた水中めがねとシュノーケルで、裸になって水中遊泳する。水は結構冷たいが、透明に見える水中の広がりが感動的だ。泡立つ滝の水泡の柱の傍らに、魚群が見える。こんな山奥の、限りのしれた一角なのに地上では知ることのできない世界がすぐ近くにあることを知った。深く潜れば立体的に舞い、自由な気分になれた。水からあがると思いのほか体力を使っていて、足下がふらつく。

薬師沢左股の出会いで、梶やんがヤマメを一匹つり上げる。持参のミミズではなく、やっぱり石の裏にいたチョロ虫でかかった。薬師沢を下りゆくと思いがけず右岸の高台の上に薬師沢小屋。ここから黒部本流を上る。さすがに人が結構いる。赤木沢を目指すとおもわれるパーティーもあり。沢で他パーティーに会うのは珍しい事なのでなんだか落ち着かない。追い抜いて赤木沢出会いまで進み、ウマ沢出会いまで進んでしまう。赤木沢出会い付近は評判通りに美しいトロだ。ウマ沢二股までのナメ滝帯もサスガに人気のあるのが分かる。赤木沢は他の二人が行っているので、今回は左股のウマ沢をゆくことにする。

沢はやがて連瀑帯になり。トイ状、チムニー状と姿を変え、標高をぐんぐん上げて楽しませてくれる。最後に10mほどの滝を右岸から捲いたら穏やかな源流の趣になる。適当なところに天場を探し、またまた沢のたき火をこしらえる。毎日毎日炭のにおいをかいでうれしい限りだ。きょうのたき火は雨なし。樹林に埋ずもれた緩やかな谷の中を煙が立ち上ってゆく。ヤマメを焼いて、米を炊く。「こんなに贅沢な遊びはないなあ」と梶やん。

四日目:黒部五郎を超えて稜線
ウマ沢はすぐに水が切れ、源流のお花畑に。朝の輝く青空の下、稜線には縦走の登山者が早くもたくさん歩いているのが見える。夏道へは10分ほどのハイマツの藪こぎで到達。運動靴に履き替え、ザックをおいて黒部五郎を往復。空身だと早い。山頂からは遠く剣から白馬、槍、笠、乗鞍、御岳まで眺望。来春のスキー縦走のもくろみを相談する。黒部の上流部は広くてのどかなところなのだ。これを楽しむのに最適な4日間だったと思う。あとはひたすら夏道を折立へ。沢ペースでじゃんじゃん飛ばして帰ったので、時間は早い。太郎小屋前では、登山道の浸食を研究テーマに、登山者が道のどっちをあるくか一日中観察している静岡大山岳部の学生に残った食べ物をお供えしてきた。ああいう学生とはまたどこかであいそうな気がするのだ。富山でタンタン麺を食べて米原で解散。

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