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Yamareco

記録ID: 2234285
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

【過去レコ】奥穂高岳

1995年09月07日(木) 〜 1995年09月09日(土)
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
15:18
距離
21.6km
登り
1,905m
下り
1,893m
歩くペース
標準
0.91.0
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
2:17
休憩
0:00
合計
2:17
12:35
12:35
5
12:40
12:40
120
14:40
14:40
5
14:45
宿泊地
2日目
山行
6:22
休憩
2:07
合計
8:29
6:06
141
宿泊地
8:27
8:50
88
10:18
10:31
11
10:42
12:00
31
12:31
12:44
36
13:20
13:20
65
14:25
14:25
10
14:35
3日目
山行
6:35
休憩
0:00
合計
6:35
9:00
87
10:27
10:27
98
12:05
12:05
54
12:59
12:59
146
15:25
15:25
10
15:35
ゴール地点
天候 1日目 薄曇
2日目 曇時々雨、後晴
3日目 快晴、後小雨
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
新宿 ← 中央本線 → 松本 ← 松本電気軌道 → 新島々 ← バス(乗車整理券が必要) → 上高地
コース状況/
危険箇所等
コース状況は普段通り。鎖場で初級の岩登りの技術を要する以外の危険箇所はない。
岳沢のキャンプ地到着。
霧がかかってきました。
岳沢のキャンプ地到着。
霧がかかってきました。
2日目、重太郎新道の急な登り。
すごい高度感です。
2日目、重太郎新道の急な登り。
すごい高度感です。
吊尾根を突破し、奥穂高山頂付近から前穂高岳を望む。
登山道がかすかに見えます。あれを登ってきたのかと思うと感慨深いですが、下りには使いたくないコースです。
吊尾根を突破し、奥穂高山頂付近から前穂高岳を望む。
登山道がかすかに見えます。あれを登ってきたのかと思うと感慨深いですが、下りには使いたくないコースです。
奥穂高岳山頂にて。
日本で3番目に高い所で思わず万歳三唱した後の著者。
奥穂高岳山頂にて。
日本で3番目に高い所で思わず万歳三唱した後の著者。
奥穂高岳山頂からジャンダルムを望む。
急に晴れてきました。
奥穂高岳山頂からジャンダルムを望む。
急に晴れてきました。
槍ヶ岳。
この尖った頂は、どこから見ても登高意欲をそそられます。
槍ヶ岳。
この尖った頂は、どこから見ても登高意欲をそそられます。
槍ヶ岳から涸沢岳までの縦走路。
まるで巨大な龍の下顎のようです。
槍ヶ岳から涸沢岳までの縦走路。
まるで巨大な龍の下顎のようです。
穂高岳山荘から涸沢岳方面を望む。
空の青さはまるで成層圏?
穂高岳山荘から涸沢岳方面を望む。
空の青さはまるで成層圏?
振り返ると光の頂・奥穂高岳がそびえています。
振り返ると光の頂・奥穂高岳がそびえています。
吊尾根北東壁
頭上には肋骨巻雲?
雨天の兆しらしい。
頭上には肋骨巻雲?
雨天の兆しらしい。
花や鳥を見ながらザイテングラード経由で涸沢へのんびり下ります。
花や鳥を見ながらザイテングラード経由で涸沢へのんびり下ります。
憧れのライチョウ(♀)が至近距離に来てくれました。
憧れのライチョウ(♀)が至近距離に来てくれました。
まもなく涸沢のキャンプ地です。
まもなく涸沢のキャンプ地です。
3日目の Morgenrot
北穂高岳から涸沢岳が真紅に染まりました。
3日目の Morgenrot
北穂高岳から涸沢岳が真紅に染まりました。
涸沢岳から奥穂高岳の Morgenrot
あっという間に黄色みを帯びてきます。
涸沢岳から奥穂高岳の Morgenrot
あっという間に黄色みを帯びてきます。
屏風ノ頭との鞍部から
居並ぶ3000m峰の懐から外に出ます。
屏風ノ頭との鞍部から
居並ぶ3000m峰の懐から外に出ます。
槍ヶ岳
名残惜しいです。
槍ヶ岳
名残惜しいです。
梓川付近まで下りてきたところ、徳沢付近だと思いますが、槍ヶ岳が見えるところを見ると違う場所かも知れません。
梓川付近まで下りてきたところ、徳沢付近だと思いますが、槍ヶ岳が見えるところを見ると違う場所かも知れません。

装備

個人装備
長袖シャツ Tシャツ ズボン 靴下 防寒着 雨具 日よけ帽子 着替え ザック 昼ご飯 行動食 非常食 ガスカートリッジ コンロ コッヘル 食器 ライター 地図(地形図) コンパス ヘッドランプ 筆記用具 ロールペーパー 保険証 時計 タオル ナイフ カメラ テント テントマット

感想

 古い手記から起こした今は昔の物語。第2弾は奥穂高岳です。自分の登山力がピークに達した時期と言えるでしょう。ただし、ほとんど入門書を読んだだけの独学なので、技術的なことで皆さんの参考になるかどうかは保証致しません。

 北アルプスの夏山は言わずと知れた人気の場所。残雪期ですら涸沢のキャンプ地はテントの花盛りで、山小屋はすし詰め状態になることが予想されます。この登山にあたっては、夏山でも極力人の少ない時期に、平日に行くように計画しました。
 何故人混みを嫌うのかって?山に来てまで都会の雑踏みたいなものは見たくもないし、第一うるさい。大声のおしゃべり、宴会、ラジオの音、いびき・歯ぎしり、夜中の用便。ヘタすれば安眠妨害で翌日の登山に差し障る恐れも有ります。今回は人混みを避けてテント持参としました。
 テントを持つからには荷が重くなります。仕事柄船に長期間乗ることが多く、どうしても足腰が衰えがちだったので、登山の数カ月前から20kgの荷重訓練を行うことにしました。が、詳細は割愛します。

 1日目は朝4時半に起床。6時半に新宿駅に着きました。7時ちょうどの「あずさ」に乗って私は旅立ちます。隣に貴女の知らない女(ひと)はもちろんいません。特急列車では座れたので、充分に体力を温存し、上高地発は12時半。岳沢登山口への入口がわかりにくかったものの、快調に歩きます。予定より45分早い14:45に岳沢ヒュッテに到着。余裕を持ってテント設営。
 夕飯は例によって炊き込みご飯。多少の焦げは諦めて充分に加熱したので食べる部分は美味しく出来たけれども、後で鍋を洗うのに苦労しました。
 夜は静かなること、まさしく深山。小石が多いテント場では背中に当たる物があって寝苦しく、記憶がないのはほんの数時間。小屋にしてもテントにしても寝苦しいとは・・・。次は整地を徹底すべし。

 2日目は朝4時半に目覚ましをセットしていましたが、どうせよく眠れないのだからと4時に起床。岳沢の出発予定は遅くとも6時半。朝飯とテント収納の時間を考えると5時起床では遅いと判断。今日は行程10時間の長丁場の予定。睡眠不足が気になります。
 06:06出発。やや急な坂を快調に登っているうちは良かったのですが、手も使って攀じ登るようになると歩調は鈍ります。それでもあまり長時間休みきらずに、約30分ごとに小休止をとり、何箇所かの鎖場を3点支持法で通過して紀美子平に到着。時刻はなんと08:27、予定よりも1時間43分も早いじゃないか。ガイドブックのコースタイムに余裕がありすぎるのか?それとも春からやってきた荷重訓練の効果か?あるいは普段は無用の長物の身長(186cm)が登攀では有利なのか?同じコースを歩いていた山岳パトロールの人は「このペースなら北穂高岳にも行ける」とおっしゃっていました。
 紀美子平から前穂高岳には登らず、直ちに奥穂高岳へ向かいました。なだらかなトラバースと急な登りが混在したコースで、ペースがつかみにくかったです。標高3000mを超えた場所での薄い空気のためか、それとも疲労のためか、脚の動きが鈍くなりがちでした。それでも20分間隔で小休止をとりながら、奥穂高山頂には10:42到着。思わず万歳三唱。日本で3番目に高い所からの眺望は格別で、槍ヶ岳が良く見えました。登りの間、雨が降ったり止んだりを繰り返していましたが、山頂に着いた途端晴れてきました。昼飯を食べながら360度の大パノラマを存分に楽しんで、穂高岳山荘へ向かいます。山荘への下りは鎖場の連続で、一瞬も気が抜けません。本当にこれが一般コースか?岩壁にへばりついたまま動けなくなったおばちゃんを尻目に、でも救助に行くほどの技術を持ち合わせているわけでもなく、慎重に下り続けて山荘着は12:31。
 山荘からは鳥を見ながらのんびり下ることにしました。結局、北穂高岳に立ち寄るのは省略。憧れのライチョウを探します。下ること約40分、草のしげみの中を動く20cmくらいの生き物。最初イタチかと思いましたが、姿を見せたのは紛れもなくライチョウ。至近距離2mで撮影成功。涸沢には14:35到着。テント場の整地を充分にやることにしました。

 3日目。昨夜は寒くて眠れませんでした。整地はしっかりやったし、ウレタンマットを2つ折りで使用したので、石の凹凸はあまり気になりませんでしたが、顔が火照って体が寒いという、山でよくある症状が再発しました。テントの中で真夜中なのに妙に明るく感じて、外を見ると地面が真っ白でした。「ゲッ、雪が降ったのか、どおりで寒いわけだ」と一瞬思いましたが、紅葉も始まっていないのに雪とは妙だ、と思いつつ朝まで横になっていました。
 朝焼けに染まる山を見ようと、5時半に外に出ました。夜中に雪かと思ったのは白い岩でした。が、寒いことに変わりはありません。夜明け。最初はあまりパッとしない赤色に奥穂高の岩肌が染まりましたが、隣のテントの男と駄弁りながら待っているうちに涸沢岳が真紅に染まりました。まさにMorgenrot。夢中でシャッターを切るうちに、20枚ほど撮影していました。露出データベース用の記録はしそびれましたが、あの紅色は目に焼き付いて離れないでしょう。帰宅後に見た写真も満足できる出来栄えでした。
 隣のテントの男と一緒に朝飯を食べて、出発準備が整った頃、事件発生。爆発音、悲鳴とも怒声ともつかない声、メラメラと音を立てて燃えるテント、服や髪に火がついて悲鳴を上げながら転げまわる人。しばらく呆然と眺めていましたが、火傷の手当のために水を持って駆けつけました。大面積の水ぶくれ、呼吸もせわしい大やけどの重傷者を目の当たりにして、頭よりも体が反応して応急手当の水かけ部隊に参加しました。近くの山小屋にふもとと連絡をとってもらい、救助を要請。幸いだったのは荷揚げ用のヘリコプターが上高地に来ていたこと。重傷者3名を担架で山小屋まで運んで、ヘリで救急搬送することになりました。被災メンバーのその後は、後日丁寧なお礼と共に詳細な報告を頂戴しており、全員無事退院されたとのことです。後で知ったのですが、出火原因はガソリンコンロ。使用後にガス圧を抜く必要がある(1995年当時)そうですが、熱いうちにやると発火するのだそうです。
 事故の負傷者を見送って、出発したのは09:00。予定の2時間遅れでしたし、作業で少々疲れたので、アップダウンが少ない横尾谷コースで下山することも考えましたが、結局予定通りパノラマコースとしました。快晴の下、屏風岩の頭との鞍部へ登ります。涸沢は音の反響が良く、手を打つと「鳴き龍」が現れます。今日同行することになった隣のテントの男と一緒に久々にこだまを楽しむことにしました。「ヤッホー」。屏風岩の頭との鞍部から見る槍ヶ岳を存分に楽しんで北アルプスの3000m峰に別れを告げます。「さよならお山よ、ご機嫌よろしゅう、また来る時には笑うておくれ」思わず口ずさみます。
 痛くなり始めた右膝を気にしながら、定期的に休みをとりつつ、小幅の足取りで下ります。中島新道が近くなると、しばしば谷を渡ります。地図上で現在位置の確認を頻繁に行いました。
 梓川の近くで、環境庁(当時)の腕章をした人に出会いました。蝶にペンでマークをつけて放し、移動経路の調査をしているとのこと。岩登り事故などの貴重な話をしていただきました。
 梓川の川原で昼食をとり、予定より遅れていたペースを取り戻すため、急ぎ足で徳沢、明神と通り過ぎ、上高地へは15:32到着。バスの乗車整理券をもらって、帰途に就いたあたりから雨がぱらつきました。電車に乗ってびっくり。中央本線で脱線事故があり、一時不通になったとのこと。幸い運行再開していましたが、ダイヤが乱れていました。18:19松本発予定、18:50発の特急に乗って東京へ。自宅のある町へは22時過ぎに到着。髭面のままラーメン店に入り、下界の飯を楽しみました。

 初めてのテント装備縦走。体力の不安を克服し、初級の岩登りの技術も一応使えるようになったという点で、今回の山行は大きな自信となりました。

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