梅雨明けはここと決めていた…尾白川本谷〜日向八丁尾根
- GPS
- 32:00
- 距離
- 20.2km
- 登り
- 2,087m
- 下り
- 2,088m
コースタイム
- 山行
- 7:23
- 休憩
- 1:32
- 合計
- 8:55
- 山行
- 9:27
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 11:05
天候 | 8/16 晴れ /17 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・日向山林道の土砂崩れは、沢屋にしたら問題なし。どれだけ人が通ったのかトラバースの踏み跡がばっちりだった。 ・むしろ終点の下りが数年前より悪かった。ほんの数十メートル手前の尾根状からはどうだったのか? ・梅雨が長かった割にかなり減水していたのでは? ・大岩の乗越で空身からのお助け引き上げが多かった。両岸の樹林帯をうまく使えばそれはなかったかもしれない。 ・詰めは獣道多いが一番低いへと思われるところを適当に歩けば登山道。 ・日向八丁尾根は思いのほか時間かかった。 |
その他周辺情報 | 白山温泉に行きたかったが、時間の関係でベルガへ |
写真
感想
今年はしょっぱなから地球規模で大変なことから始まり、陽気もなんだかおかしかった。ここまで梅雨明けが遅くなったのは記憶がない。自分が大学3年の時も立山〜新穂高の10日間合宿も7月中に明けた記憶はなかったけれど…
『沢シーズンがどんどん短くなる』気持ちは焦るが、単独で増水には勝てず、焚火がつかない沢登りも魅力半減だ。コロナ蔓延で人に合わない場所を選択すると『沢』で『平日』であればそう人に会うこともないだろう。この夏の開幕戦は尾白川本谷と決めていた。尾白川のあの水の色が見たいと思っていた。それと黄連谷に行く人は多くても、本谷なら巨岩とガレで真夏っていう感じではないとみんなが思うかなぁなんて…
もう1日早く行って出合の河原で泊まって釣りをするのもいいと思っていたのだが、眠さが勝り前日には出られず、結局自宅を当日6:30に出る。途中、マスクを忘れ自宅に引き返し、矢立石Pに到着したのは8:50。日曜日なので当然Pは満車。一旦荷物はゲートに置き、つづら一つ下の退避スペースに停めさせていただいた。
ゲートに戻ってみると『土砂崩れ、通行止め』の張り紙…コンプラのこの時代、これでもあえて進んで事故でもあれば『それ見たことか』になる。でも沢ヤからすればきっとそんな所でも巻き道作って越えてるはずだろうし…見て帰ろう!出発だ。
錦滝の少し手前が土砂崩れ現場。しっかり踏み跡ができており難なく通過。TN3個を越え河原への降下地点に来ると、数年前に来たときよりも崩れており、さっきの土砂崩れ現場など比にならないくらいのザレ場と化していた。補助ロープを駆使して河原に出ると、花崗岩の白と水のグリーンの対比が素晴らしかった。幸い水は少なめ、冷たさも感じない。
今日の遅れを挽回するべく装備替えして出発。入渓してすぐの大釜は左側を登る。減水の影響で水中はぬめるが乾いたところはグイグイである。その後はおおむね左側を高巻いたりしながら越えてゆく。大きい滝が連発して出てくるが名前がついているのかも知らないが、どれもこれも素晴らしい造形美だ。迫力もすごい。巻きにFIXがあったりするとこはろもある。西沢の七ツ釜巨大バージョンのような滝もある。これは本当にすごい滝だ。右岸を巻くが少し大きめに巻くように踏み跡が続いている。次の大岩滝は左岸から。雨だと滑りそう。巻き終わると噴水滝のすぐ下で、素敵な幕営地である。今日の天気でこの噴水滝の景色を切り取ると、まさに夏の風景である。噴水滝は左を中間まで登り、そこから樹林を巻く。上の河原に出るとナメ床帯、さらに進むと大釜出る。当然今日の陽気で飛び込まない理由がない。ゴーグル忘れが痛かった。思いの外、時間がかかって二俣に到着した。
本谷に入るといきなり7m、5mと続く。左岸を登る。残置があった。これを越えるとナメ床ベースのゴーロとなる。一体どっちなんだって感じだ。水流中の薄茶色部分が妙に滑る。水量が減った沢を進むと右岸大岩の脇を通る。先のナメ小滝を登っていると足元に動くものが…大変申し訳ないと思いつつも、イワナ君は手づかみにより自分の夕飯となった。
この先すぐに右岸から北坊主沢がスラブ滝合流、遡行図に出ている岩小屋は見つからなかった。そして巨岩帯が始まる。一段が大きく、巻く場合は基本左岸しかない感じ。一か所、絶対ここだというところが崩れており、岩と岩をつなぐところが宙に浮いた木の根の束というところがあった。根を信じ隣の岩に飛び乗った感じだ。飛び乗った先の岩から上流側をのぞくと、いったいどう使う支点なのかよくわからないが、岩のど真ん中に打たれたピトンにシュリンゲが束になってかかっていた。流れ側を苦心して登った産物なんだろうか。そのビレイ点のあるところから、左岸の垂壁クラックに直径5センチほどの木がしっかり根を張っているところを空身で登り、お助けで荷揚げした。この区間の巨岩CSは相当荷揚げした。
ラストがいわゆる核心部の岩小屋手前CSだ。右岸クラックから登ってる人がいるのか?と感心するほどヌルヌルでてがかりなし。右岸登るのはもっと下の滝だったのか?とにかく実力のない私はクラッシックな左岸から登る。30年近く前に来た時にぶら下がっていた残置は岩が崩壊し、抜けてしまう岩に注意して登れば階段状で楽に登れた。当然空身で…そして岩のトンネルを抜けると岩小屋が…ってどこまで登っても現れない…そんな目印的なものをスルーしてしまう失態を犯してしまった。というかそもそもこれを逃していい天場があるのかっていう話だ。
もう結構陽も傾き、もう戻るにもという感じだったので、上流にあるといわれている天場を探すと、荷揚げをしたすぐ先に砂地の河原と焚火跡を発見!当物件に即決定。タープ設定、焚火・夕飯準備が終了したのは20時前だった。朝のさぼりがこういう形で跳ね返ってくる。この天場はV字谷の三角形の中に下界の夜景が望めて、なかなかいいところだった。
/17 甲斐駒には快晴が似合う…最高の天気の中、出発。ただ少し遅めか?まぁ、黒戸尾根じゃないし平気だろうとタカをくくっていたのが後に裏目になろうとは。ほんの5分くらい上流に左岸の樹林に、これまた最高の天場を発見。こちらの方が需要が高いようだ。すぐ先で二俣となり、その先に本当の核心だった30m滝が見える。
とりあえず巻き道を探ってみる。右俣のガレを登り、ガレが途絶えたところから岩の隙間を登り、この二俣の中間尾根に乗ることができそうなのを確認した。ただ、やはり足元はグズグズで注意は必要だった。一旦下り、本流側の下部ナメを悪いルンゼ基部まで登った。確かにスッキリはルンゼ、事故がないだろうは高巻き。2往復くらいして迷いに迷い、空身でルンゼチャレンジに。滑るのか滑らないのか微妙な感じのところを、中段のたされて2m弱になったシュリンゲに届く位置まで何とか登り、グラグラ動くハーケンを刺激しないようにシュリンゲをつかんで、岩の隙間にうまくゴム底が入るように足の角度を調整し、ややチムニー登り的にずり上がり、流水側のリッジへ逃げるとテラスに出る。一旦ここまで荷揚げし、その先落ち口まではぬめり必至な感じだったので、さらに空身で流れに近い側の乾いたスラブに移動して登り切った。今年一番の緊張、荷物を引き上げて長めの休憩をとった。右岸から出合う滝は2140mのもの。
あとはひたすらガレ登り。各二俣を間違えないように詰め上がればいいが、今年の陽気か2264mで水が枯れた。樹林に入ると獣道が多く、木が密なところを避けるように、うまくそれを拾いながら鋸岳方面に斜めに登ってゆくと登山道に飛び出した。
装備替えはせず烏帽子岳まで行くことにした。しばらくして稜線の切り開きかやや山腹を巻くように進む踏み跡か選択するところが出てきた。下の方がはっきりしているように見えたが、テープは稜線伝い…下を選択したがこれが失敗。その道は次第に鹿道になってしまい、片斜面で歩きにくかった。結果、三ツ頭をショートカットし日向八丁尾根に出た。烏帽子岳からは普段と違う顔の甲斐駒、仙丈、北アが望めた。
装備替えの後、大岩山へ向かう。はじめの下りはマイナールートだし…といった感じ。補助ロープなんかも当然ある。急激に下ったのち緩い下りがしばらく続く。あまり人が歩いているわけではないので、落ち葉クッションがかなり効いていて、とても足にやさしいみちだったが、最低鞍部まで来てビックリ。大岩山への登りはハシゴの後に補助ワイヤーや鎖がベタ張りで、これがないと登れない道になっている。これらはきれいなものなので、整備されているといえばそう解釈できなくはないけれど…
鞍掛山の展望台までは来たことがあったので、大岩山まで来ればあとはなんて思っていたがそこからも結構長かった。日向山の登り返しは足に効いている状況であの砂浜チックはつらかった。足をとられながらやっとのことで日向山到着。いつも人がいるイメージだったけれど17時を回っていれば貸し切りだ。水場はなくともここに泊まって夜景を見るのもいいんじゃないか?
頭は温泉モード、八ヶ岳に別れを告げて車まで急いだ。本当は白山温泉に入りたかったが、コロナによる営業時間短縮の可能性も嫌だったので、近場で『べるが』で入浴した。ここだって風呂が広くて最高。ここで泊まっていきたい衝動を抑え、明日から仕事なんて信じられないと思いながら帰宅した。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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これまで何度も沢の記録を参考にさせていただきました。尾白本谷へは8/15、16で入っており、憧れのkakichocoさんに一日ずれていたらお会いできたのかなと思うと残念でなりません。でもきっと、お互い人のいない沢を狙いながら入っているのでしょうから、このニアミスこそが沢を愛する人間の一番の距離なのでしょう(^^)記録これからも楽しみにしています!
大変恐縮です😅わたし如きの山行記録で…
あんな長文読んでいただき、どうもありがとうございます。ほめられたこともあまりないので、どうリアクションしたらいいのか困ってしまいます😅😅
ということはあの足跡はsueさんのものだったのでしょうか?単独で行かれたのでしたら、すごい登はん能力ですね。私はかなりビビりながら遡行してました。
どこかでお会いできることを期待しております。
秋山はどちらへ?行かれるのであればお互い安全登山でいきましょう🥾🥾
では失礼します。
恐る恐る初めての沢に踏み出す者にとっては、情報量の多いkakichocoさんのレコは、みちを照らす灯りです(^^)
私の入った日には、もう1組強々組が入って、颯爽と先へ抜けていかれました。私たちの踏み跡はその後を右往左往荒らしたものだったかとw
尾白へは勿論パートナーと共に入りました!私も2度は空身で上がり荷揚げをしましたし(^^)
ですが、恥ずかしながら、その後の沢にて相方怪我に泣き、今は私のみにて沢歩きの中に心を鎮めています。安易なソロを勧めるものにはありませんが、訳あってソロでしか入れないという方などには、何らかのお役に立てるかと、これまでの恩返しにも情報発信してみようと思い立ちました。
耳に痛い言葉ではありますが、「安全」には十二分に配慮し、沢納めの焚き火をしに行こうと思います。
kakichocoさんも愉しい山を!
相方さん、大変でしたね😫
おそらく何を気をつけていても事故って起こると思います。
私もこれ以上のグレードはあまり単独で入ろうとは思いません。でもそうしないと山もつまらないですし…
今年の紅葉はもしかしたら今ひとつかもしれませんが、ラス焚火、堪能してきて下さい!
私も稜線ですが明日から行ってまいります。
お気をつけて!
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