北アルプス 西穂高岳、乗鞍岳
- GPS
- 30:40
- 距離
- 16.4km
- 登り
- 1,261m
- 下り
- 1,913m
コースタイム
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 10:10
天候 | 1日目:雨 2日目:雨のち曇 3日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
写真
感想
20代の頃、友人と2人で3月の西穂高岳に挑んだが、荒天と経験不足のため独標付近で引き返し、上高地から沢渡に下山した。
その頃は次の山しか見えておらずいつしか記憶に埋もれてしまったが、秋季計画で「西穂高独標往復〜上高地散策」を目にした時忘れていた記憶が蘇り、無理を言って「西穂高岳往復〜乗鞍岳」に計画変更していただいた。
【10/8〜9 西穂高岳 編】
◆7:20 新大阪駅出発時天候は安定していたが、高山駅からバスで新穂高温泉に向う途中で雨が降り出し、14:40ロープウェイを乗り継いで西穂高口から久しぶりにレインウェア着用の出発となった。
ガスに包まれたシラビソの登山道を登って行くと、数m上に付けられた道標が冬季の雪の深さを物語っている。
◆16:10 西穂山荘到着。 宿泊手続きし案内された部屋は約10帖。
壁には16と20の区分け表示があり、混雑時は20人が宿泊するようだが、本日は私達2名のほかは親子2名だけ。(悠々)
夕食時、小屋のスタッフから翌日の天気の説明があり、
「朝6時頃寒冷前線が通過、9時頃雨が止み午後から回復」
とのこと。当初の6時出発を遅らせ、雨が止んでから出発することとし就寝 (-。-)zzz
◆10/9 4:30 起床 外はまだ暗く雨、風の音がすごい。
5:00 朝食のあとは何もすることがない。次第に明るくなってきたが、外では飛び去るようなガスの中でシラビソが大きく揺らいでいる。8時過ぎには雨が小振りになり出発する人が出てきた。
8:20 ようやく雨が上がったので荷物の一部をデポして私達も出発。しかし相変わらず風は強い。
稜線に出てガスに覆われると強烈な水滴に叩き付けられ、身体半分が痺れるように冷えて来る。
◆9:40 独標(11峰 2,701m)に到着。ここから登山道は一変して岩稜帯となる。
10峰の下りから9峰への痩せ尾根に差し掛かった時、かつての光景が鮮明に蘇った。
[回想1]
吹雪の10峰の急斜面は雪で覆われ、手掛かりとなる岩も埋もれて見えない。
万一滑落すると、下は痩せ尾根のため停止できないかもしれない… 撤退を決意した私達の横を、ザイルで結ばれた3人のバーティが慎重に下って行った。
◆無雪期の今は問題なく通過し、ピラミッドピーク(8峰)に到着。
しばらく休憩していると、目の前を2匹の雷鳥が横切って行った。
ピラミッドピークから7〜5峰ピークを巻くように進んで行くと、次第にガスが晴れて正面に西穂高岳の頂上が見えるようになった。
更に4〜2峰の岩場をアップダウンしながら進み、西穂高岳直下に到着。
最後の30m程の岩場を三点確保で直登して11:50西穂高岳(2,909m)に登頂。
◆頂上からは、奥穂高岳へと続く北アルプス屈指の急峻な縦走路が一望で、ガスの切れ目からは時折槍ケ岳の穂先も見える。
決して良い天候とはいえないが、若干あきらめていただけにこの眺望は十分満足である。振り返ればピラミッドピークからここまでの越えて来たピーク群が見える。
…またあそこを帰って行くのだ…
◆12:30 長居をし過ぎた・・・
より良い絶景を求めて頂上で粘ったが、時間がない! 今日の行程はまだ半分以上残っている。
再びピラミッドピークから独標を越え、西穂丸山付近まで戻ると天気はすっかり回復し、広がった青空の下に西穂高岳への稜線、西の方角には笠ケ岳も見えるようになった。今日西穂山荘に宿泊する登山者が、明日の下見を兼ねてか大勢登って来るが、私達はこれから更に上高地まで下山せねばならぬ。
◆15:30 西穂山荘に戻り、宿泊先の西糸屋に「今から下山する」と電話すると、「お止めになったほうが…」と心配そうな返事が返ってきた。 西穂山荘から上高地まで2時間。遅くとも18時までには西糸屋に到着と見込んでいたが、これが大間違い。
(後日調べると、最新の地図では2時間半となっていた。)
シラビソの森は17時を過ぎると薄暗く、ヘッドランプを点けての歩行は極端に遅くなるので、時間の割になかなか距離が稼げず、暗さで道も不明瞭なため迷っているような感覚になってくる。
暗闇の下山道の右奥から玄文沢の沢音が聞こえてきた…
[回想2]
西穂山荘から下山途中で、雪上トレースが分かれていた。
すぐに合流すると思いそれぞれの道を行ったが、一向に合流せず、やがて声も届かなくなってしまった。
私の選んだトレースはやがて玄文沢に迷い込み、デブリ(雪崩の跡)だらけの中を緊張しながら通り抜けたが、いつの間にかアイゼンの片方がなくなっていた。
上高地に下山して不安なまま友人を捜し、梓川を隔ててようやくお互いを見つけ安堵した。
友人もまた、雪の急斜面を木々をたよりに下ったという…
結局どの道が正しかったのかはわからないままである。
◆どうもこの下山コースは相性が悪いようだ。
結局3時間かかって田代橋に到着。心配した西糸屋の主人が車で迎えに来てくれた。m(_ _)m 本日の行動時間約10時間。長い一日を終えて泥のように眠った。
【10/10 上高地〜乗鞍岳 編】
◆一夜明ければドピカーン! 昨日の荒天が嘘のようなこの上ない快晴である。
6:30 食事前に河童橋まで散策に行くと、既に大勢の人がモルゲンロートの穂高連峰に歓声を上げている。
8:00 バスターミナルから平湯温泉に向う途中に見える大正池は、上高地の自然の中で常に変化してきた。
大正池を代表する神秘的な水面の立枯れの木々は、今やほとんど見当たらない。
もうかつての風景を知る者も少なくなりつつある。
[回想3]
小梨平で1泊した私たちは大正池に立ち寄った。
一昨年初めて上高地を訪れた時、無数の立ち枯れの大正池は今まで見たこともない絶景だったが、その年の台風で多くの木が土砂で埋もれてしまい、ずいぶん少なくなっている。 この景色もいずれ見られなくなるのかと思うと寂しい限りだ。
今、しっかりと心に焼き付けておこう。(1982.3)
◆9:40 畳平到着。 次々とバスが到着し大勢の登山客が降りてくる。今日はおそらく1000人以上が頂上を目指すのだろう。
ターミナルから肩の小屋への道を登ると東側の眺望が開け、雲海の先に八ヶ岳や南アルプスが見えた。
肩の小屋は既に閉鎖されていたが、小屋の前では大勢の登山者がこれからの1時間の登り行程に備えて休憩している。私達も小休止のあと、数珠繋ぎの登山道を頂上へ向った。
◆登るにつれて北側の視界も開け、昨日は部分的にしかみえなかった槍〜穂高連峰だが、今日は感動的なパノラマを見せてくれる。
頂上が近くなると登山道が渋滞してきた。 どうやら頂上での記念撮影の順番待ちのようだ。
◆12:00 待つこと15分。乗鞍岳(剣ケ峰3,036m)登頂。久しぶりの3,000m峰である。 しかしあまりにも人が多いので、記念撮影のあと5分ほどで下山開始。
◆13:30 午後になってガスが出てきた畳平に下山。
再び満員のバスに揺られ、乗鞍岳を後に色づき始めた乗鞍岳スカイラインをほおのき平に下る。
荒天の峻嶮な西穂高岳と好天のたおやかな乗鞍岳
対照的な2つの峰をめぐる印象深い秋の山旅でした。
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