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Yamareco

記録ID: 30280
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
塩見・赤石・聖

南アルプス南部縦走(聖岳−赤石岳−悪沢岳−三伏峠)

1998年07月24日(金) 〜 1998年08月03日(月)
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okawari その他11人
GPS
248:00
距離
40.9km
登り
4,879m
下り
4,509m

コースタイム

1日 東京(新宿バスターミナル)−便が島
2日 便りが島にて、停滞
3日 便りが島−聖平
4日 聖平にて停滞
5日 聖平−聖岳−百間洞
6日 百間洞−赤石岳−荒川小屋
7日 荒川岳−悪沢岳−高山裏
     2日停滞
10日 高山裏−三伏峠
11日 三伏峠−塩川
天候 荒川岳、悪沢岳、中盛丸山以外は全て雨かガス。
アクセス
コース状況/
危険箇所等
とにかく天候には恵まれない山行でした。
この年は梅雨明けがはっきりしない年だったと思います。
まともに晴れたのは、荒川岳と中盛丸山付近ぐらい。
常に雨具を着ていた記憶があります。
中盛丸山。
なぜ、ここで晴れる?
中盛丸山。
なぜ、ここで晴れる?
荒川岳から富士
撮影機器:

感想

父から、学生時代悪沢−赤石を単独で縦走したときの話を
幼い頃から聞かされていました。
小屋泊まりながら30KGの荷物をしょって歩いたそうです。
(同行予定者からは、「逃げられた」、らしい。)
所属していたサークルにおいて、南アルプス合宿(聖岳−北岳)は、
もっともキツイとされていた山行でした。(雪は岩は、やらなかった)
天候不順で残念ながら三伏峠から下山しましたが、
先輩方や同期5人と悪天候の中、南アルプスを歩けたことは
学生時代のすばらしい思い出になったとともに、
次は北岳まで縦走するという「目標」ができました。

           以下記憶文
1日目
新宿のバスターミナルで、OBの方々も含めた多数のメンバーに
見送られつつ、バスに乗る。
おそらく飯田駅でおり、タクシーに乗った。
荷物の詰め込みに難儀した記憶がある。
便りが島に着いた。
話は聞いていたが、小僧のとき泊まった小屋は朽ちた床を除いて
無くなっていた。
この時は、給水施設は残っていた。

先輩が西沢渡りの様子を見に行った。
前日食べたカレーの代償を払ったりした後(謎)、
それなりの水を飲んでテントで寝たが、
ものすごく暑く寝苦しかった。
何度もテントの中で目を覚ました。
また小僧のときにもいた虫に何箇所も刺され、きつかった。

2日目 停滞日
沢に下りて同期と遊んだ。
私も含めて勘違いをしたものもいて、後の南のCLはサバイバルスーツ
を着ていた。
正直カレーのダメージもあり、この日の停滞はありがたかった。
かなり日差しは強く、上半身裸で遊んでいた先輩は日焼けに悩まされた。
沢遊びは本当に楽しかった。
ヒルが出なかったのもラッキーだった。

三日目
未明(2時頃か?)出発するが、すぐリンデワンダリングし入り口に
戻る。
冷静に進んだところ、順調に沢沿いの道を歩き始める。
道脇は崩れていて、ロープを伝って歩く箇所は足元も暗く怖かった。
西沢渡についたころは、薄っすらと明るくなっていた。
ゴンドラを使って荷物を渡し、沢を渡る。
その後は、針葉樹の中の急登だった。
3年前に登ったコースとはいえ、今回は荷物が多く勝手が違う。
日焼けに苦しみながらも登る先輩の姿が印象的だった。
薊畑に着いたときは、周りはガスに包まれていた。
聖平におり、テントを張る。
山なれぬ同期たちは、下界が恋しくなったのか
「下界に下りたら、白玉ぜんざいを腹いっぱい食べる」
をスローガンに掲げだした。

四日目
当日未明、たしか小雨が降っていた。
今日の停滞が決定し、聖平で遊んだ。
UNOやトランプなどをした気がする。

五日目
今日は、合宿の最大の山場と聞かされていたので覚悟していた。
たしかに3年前の聖平から聖岳までの登りも楽ではなかった。
この日も深いガスで、先が見えない。
小聖岳から見えた聖岳は、頂のみえない瓦礫の塔のようだった。
苦労の末、山頂に着く。
山頂はガスで、行く手も見えない。
山頂で準校歌を歌う。(サークルの伝統?)
同期と肩を組み歌うが、歌の効果か少しガスが飛んできた。

聖からの大下りの途中、ついに行く手のガスが飛んだ。
巨大な山々が連なっていて、とくにほぼ真ん中に位置する山の
形がおかしい。
百間洞と思われる場所は、直線距離では遠くないが、
稜線は大きくアーチを描いていて遠く感じた。
日焼けした先輩が「アレが中盛丸山か!」と大声で叫んだ。
兎岳、小兎岳のアップダウンを経て(名前はかわいいが、きつい)
目の前に日本昔話のご飯のような形をした中盛丸山が立ちはだかった。
このころ、頭上のガスは飛び夏の日差しが容赦なく突き刺さっていた。
取り付いてみると、傾斜がきつく登りにくい。
その傾斜のため、山頂が見えない。

山頂に着くと、赤布の巻いてある朽ちた木の棒がたっているだけだった。
ここを下り大沢岳に登り返す。
ここでリーダーの指示で班を二つに分け、先発隊が
大沢岳の巻き道を進んでいった。
我々は大沢岳を登った。
山頂からはほぼ真下に、百間洞のテント場が見えた。
同期もみんな疲れており、ゆっくり石畳を下っていく。
確か私はここで鼻血をだした。
何に興奮したかはわからない。緊張が緩んだのか?

ようやく百間洞に着いた。きつかった。
袈裟丸山での経験が生きたと本当に思った。
同期と先輩はとんかつを食べに行ったが、私は水の
飲みすぎで食べるのを止めた。
(2年後もほぼ同じことをした。学習能力ゼロ。
いつかとんかつ目当てに逆コースを歩いてみたい。)

6日目
百間洞をでて、しばらくはキツイのぼりだったが
百間平まであがると傾斜は緩んだ。
目の前には赤石岳の巨体が真っ黒な笠雲を頭にかぶって
立ちはだかっていた。
名前どおり赤い山肌にとりつき、登りはじめる。
次第に強風が吹き始める。
山頂はガス。しかも、風が吹きとてつもなく寒い。
5分も山頂にいられなかったと思う。
赤石岳での好天を期待していただけに、残念だった。
山頂から荒川小屋に降りた。

7日目
未明に出発。今日は星も見え好天の予感がする。
次第に荒川小屋の光が小さくなり、空が薄っすらと赤みを帯びてきた。
荒川岳への強烈な九十九折を登っていくと、
ついに荒川岳の稜線にでた。
雲海の中に日は昇り、遠く富士が美しかった。
ただガスは多く、ときおり目の前は真っ白になった。
ここに荷物をおき、悪沢岳を往復した。
残念ながら同期の女の子は相当疲弊していて、医療係の方と
残った。

一度大きく下り悪沢岳の山頂に着いた。
ガスが多く悪沢岳の姿をみることはできなかったが、
山頂にはガスはなかった。
同期4人と喜びの雄たけびを挙げた。
若気の至りで、公序良俗に反しない程度で、
「コマネチ」写真を撮ったりした。
ただ30分もたたぬうちに山頂はガスに覆われ、その後は
天気は回復しなかった。

待っている同期の女の子のところまで戻り、
高山裏への大下りにかかる。
この下りは長く本当にきつかった。
ようやく傾斜が緩み、霧のシラビソ林を歩く。
水場を経てしばらくすると、避難小屋に着いた。
初めて「オヤジさん」と対面した。
オヤジさんは、学生には本当に優しかった。
どうやら毎年我々が来るのを楽しみにしていたようだった。
シラビソの中のテント場にテントを張った。

8日目 9日目 停滞
天気も悪く、同期の女の子の疲労が著しいこともあり停滞。
多少日も差し、テント場付近でシュラフを干したりした。
オヤジさんは、我々のパーティーのことを心配してくれた。
かなり疲れていた我々にとって、オヤジさんの気使いは
本当にうれしかった。

翌日は本格的な雨のため停滞となった。食料も乏しくなり
物理的にも三伏峠から下山しなければならなくなった。

10日目
雨が降っていたが、食料も少なくなっていたためか三伏峠
まで歩いた。
目の前は雨混じりのガスで見えない。
たいしたアップダウンはなかったが、きつかった。
同期の女の子もよく頑張って歩きとおした。
小河内岳を越え烏帽子岳山頂にて、先輩より預かってきた
手彫りの「北岳プレート」とともに写真を撮った。
山行最後のピークになったのだ。
三伏峠下のテント場に下りテントを張った。
ガスで塩見岳は見えなかったが、せめてその姿は見たかった。
同期にその旨をつたえ、しばらく一緒に北の空を見ていると
ガスが一瞬晴れ、塩見岳の姿が霧の上に浮かび上がった。
その姿を見て、「我々が引退するまでに必ず北岳まで歩こう」
と誓った。

11日目
今日は下山だ。
三伏峠まで登り、歩いてきた南アルプスの稜線と別れを告げる。
急な下りをゆっくり下っていく。
沢におりてしばらくあるくと、そこには広い駐車場と
バス停があった。
伝統かしらないが、ポリタンの水掛をやった。
袈裟丸にいった同期の頭にかけたら、15秒ほどの沈黙の
あと許してくれた。
ものすごい戦闘力と怒気を感じた。

バスに乗り伊那大島駅に着く。
その後甲府へいき、駅ビルでとんかつを食べる。
ここは、ご飯が食べ放題で私は7杯お替りした。
といである白いご飯が本当においしかった。
ただ私は食べすぎで「白玉ぜんざい」も食べられず、
打ち上げの宿のおいしそうな夕食もほとんど食べられなかった。
久々のお風呂が本当に気持ちよかった。

悪天候の中、山登り経験者ながら何の役にも立たなかった私や新人達
をリードされ山行を無事に終了させた先輩方、
また南アルプスの主脈を頑張って歩きとおしてくれた同期の女の子。
そして、2年後に再訪の約束を果たしてくれた同期に
心から感謝します。


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