【大清水から鬼怒沼〜尾瀬沼周回】湯沢出合の渡渉と倒木帯の通過に手古摺りました


- GPS
- 16:59
- 距離
- 30.9km
- 登り
- 1,756m
- 下り
- 1,737m
コースタイム
- 山行
- 8:14
- 休憩
- 1:34
- 合計
- 9:48
- 山行
- 6:03
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 7:10
天候 | 二日間とも快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・ 駐車場は午前6時すぎの到着時点で8割ほど埋まっていて、後から入ってくる車は駐車スペースを探すのに苦労していました。駐車できないときは、500mほど戻ったところにある第三駐車場に駐車することになります。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・ 湯沢出合の渡渉ポイントは、梅雨明け直後のためか、水量が多く、飛び石での渡渉ができませんでした。倒木を投げ込んだり、大きめの岩を5〜6個投げ込んで足場を作ろうと試みましたが、焼け石に水。結局、靴を脱いで裸足で渡渉しましたが、水がものすごく冷たくて、わずか数メートルの渡渉でも足の感覚がなくなりました。 ・ 渡渉ポイントから登山道を7〜8分登ったところに、別ルートで沢に降りる明確な踏み跡があったので、別の渡渉ポイントがあるのかもしれません。 ・ 湯沢出合(1330m)から物見山(2113m)までの標高差は783m。かなり傾斜の急な登りが続くので、焦らずじっくり登らないと、息があがります。 ・ 鬼怒沼湿原は開放的な別天地。ワタスゲやタテヤマリンドウ、サワラン、キンコウカなどの高山植物が見ごろでした。快晴の下、日光白根山の姿が池塘の水面の上に浮かび上がって、ナイスビューです。 ・ 鬼怒沼山から先は、倒木帯となります。特に小松湿原分岐水場の手前一帯がひどい状況で、倒木の下をくぐるたびに、ザックを降ろす作業を強いられました。ザックを担いだままでは、倒木を通過できない場合が多いです。時間がかかりますので、要注意です。 ・ 小松湿原分岐水場では、冷たくておいしい湧き水を採水することができます。水場のすぐ隣にはフラットな一張分のテントサイトもあり、ビバークに最適です。そこから5分ほど進んだところにも、平坦なビバーク適地があって、こちらのほうが広いです。 ・ 水場はこのほか、黒岩山分岐手前の黒岩清水と、赤安山を降りた鞍部の赤安清水があります。 ・ 赤安清水と電発記念碑の中間付近で、登山道から10~15m離れた藪の中をクマが歩いているのを見かけました。持っていたストックをたたいて音を出したところ、遠ざかってくれました。出合頭での鉢合わせをせずに済み、幸いでした。 ・ 電発記念碑を過ぎると、これまでの鬱蒼とした樹林帯を抜け、開放的な登山道となります。小淵沢湿原に足を踏み入れれば、整備の行き届いた尾瀬エリア。指導標も完備され、危険なところはありません。ただし、水の豊富な山域なので、いたるところで登山道がドロドロの泥濘状態のため、スパッツ必携です。 ・ 大江湿原のニッコウキスゲ大群落を楽しみにしていましたが、シカの食害なのか、キスゲの花は寂しい限りでした。以前のような一面ニッコウキスゲの花で覆われた大江湿原をもう一度見てみたいものです。 |
その他周辺情報 | 尾瀬沼キャンプ場入り口付近に建つ長蔵小屋別館は,おしゃれなカフェの趣。午前9時から営業しており,コーヒーやケーキのほか,ピザ,スパゲティ,ピラフなどの軽食も食べられます。窓辺からは燧ヶ岳の絶景が眺められ,なんとも贅沢な時間を過ごすことが出来ます。 |
写真
感想
・ 大清水登山口から鬼怒沼〜尾瀬沼と1泊2日で周回縦走をしてきました。このエリアは,2013年10月に女夫淵温泉から入山して鬼怒沼湿原〜黒岩山〜尾瀬沼〜七入と縦走したことがありますが,高山植物の花咲くこの時期は初めてでした。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-355578.html
・ 7月半ばは,大江湿原がニッコウキスゲの大群落で埋め尽くされるシーズンなので,その様子を確かめてみたかったことと,前回縦走時に鬼怒沼山に登頂していなかったこと,大清水ルートを歩いてみたかったことなどからこのルート設定としました。
・ 今回の縦走で最も苦労したのが,なんとスタート直後の湯沢出合渡渉でした。梅雨明け直後ということで,梅雨末期の大雨の影響が残っていたのか,沢が増水。飛び石伝いに渡れません。水深は膝下くらいまであるので,そのまま渡れば登山靴水没は確実です。近くにあった倒木を投げ込んでみたり,大きめの岩を5〜6個放り投げて足場にしようとしましたが,焼け石に水,糠に釘といったところで役に立ちませんでした。しかたなく,登山靴とソックスを脱いでザックにくくりつけ,裸足で渡渉しましたが,水がものすごく冷たくて,わずか数メートルの渡渉で足の感覚がなくなりました。結局,渡渉を終えるまでに30分近くかかってしまいました。渡渉ポイントから登山道を7〜8分登ったところに、別ルートで沢に降りる明確な踏み跡があったので、別の渡渉ポイントがあるのかもしれません。
・ 鬼怒沼山から先、小松湿原分岐水場手前までの倒木帯の通過にも苦労させられました。2013年に縦走したときは、小松湿原分岐から黒岩山分岐までの区間が最も倒木が酷く迷いやすい状況でしたが、今回は様変わり。2019年10月の台風19号による被害でしょうか、倒木帯が何度も現れ、行く手を阻まれました。特に小松湿原分岐水場手前付近の倒木帯は規模が大きく、倒木処理もなされていないので、何度も倒木の下をくぐり抜けるのですが、テント泊装備の大きなザックを背負ったままでは通過が困難でした。そのたびに重いザックを降ろして先に倒木を通過させ、そのあと体を折り曲げて通過する作業の繰り返しでした。ただし、テープの目印は豊富にあったので、迷うことなく進むことができたのは有り難かったです。
・ また、登山者の少ない原生林の中を歩くので、クマなどの野生生物を見かける機会が多いエリアです。今回も、登山道近くの藪の中をガサゴソと歩き回るクマを見かけました。幸い10〜15mくらい距離があったので、慌てずに持っていたストックをたたいて音を出してこちらの存在を示したことで、遠ざかって行ってくれました。クマ鈴を持ち歩いていたのですが、小さい鈴なので音が聞こえなかったのかもしれません。
・ なお、ビバークポイントは数多くありますが、いわゆるキャンプ場とは異なり、水道もトイレもない手つかずの自然の中です。しかもまったくの単独キャンプ。コロナ禍もあって、最近はこういう山行が多くなってきました。好みでない限り、お勧めはできませんが、一度味を占めると病みつきになりますね。
・ 最後に縦走しての印象ですが,物見新道のアスナロ茂る急登や,天国のような美しい鬼怒沼湿原,さらにはシラビソやコメツガ,ダケカンバなど原始の森を彷徨し,ところどころにある甘露の水場に舌鼓を打ちながら歩いた前半部分がとても味わい深かったです。もちろん,小淵沢田代や大江湿原,尾瀬沼から眺めた快晴の燧ヶ岳など,後半部分も素晴らしかったのですが,原生林の中にどっぷりと浸かり,たった一人テントで過ごす一夜のなんと贅沢なことでしょうか。本当にこのエリアは,奥深く,私の感性にマッチした山行を実現することが出来る素晴らしい山域だと感じました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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お褒めの言葉をいただき,恐縮です。また,「大変参考になりました。」とのコメント,
記録を公開した者として嬉しい限りです。
さきほど hituzoさんの山行記録を拝見させて頂きましたが,2019年11月16日の皇海山の
クラシックルートなど,自分も同じコースを歩いたことがあり,シンパシーを感じました。
奥日光の山域では,栃木・群馬・福島県界周辺は,登山者が少なく,味わい深い山歩きが
できるので私も大好きなエリアです。2017年10月に私が歩いた松木渓谷〜皇海山〜庚申山の周回縦走ルートも面白いですので,もしよろしかったらの私のレコをご覧下さい。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1285224.html
今後とも,どうぞよろしくお願いいたします。
先週末に黒岩山周回に行きました。情報が大変役立ちました。
ありがとうございました。
また、過去のレコも拝見しました。以前なんどか、お邪魔しているので
趣味が一緒だなあと、常に嬉しくなります。私事で恐縮ですが、最近はブログに記録が傾いていて、ヤマレコにあげる余裕はないのですが、私のブログにrikimaruさまのレコをリンクすること、お礼の弁を記すことの二点をお許しいただけますでしょうか。
ちなみにこんなブログをやっています。https://ameblo.jp/hituzou/
許可頂けますよう、よろしくお願いいたします。
台風一過の晴天の下,このルートを縦走し黒岩山にも登頂されたとのこと。
私のレコがお役に立ったとしたら,何よりの喜びです。
また,hituzoさんのブログを拝見いたしましたが,詳細なルート情報や多くの写真など,豊富な情報が記載されていて,訪問者にとっては大変参考になりますね。素晴らしいと思いました。
私のヤマレコにつきましては,自分としては恥ずかしいぐらいですが,リンクされるということでしたらお任せいたします。
ただし,私の登山記録のスタイルはあくまで自己満足ですので,hituzoさんのブログへの書き込みなどは期待しないで下さい。おそらく,時々覗きに行く程度だと思います。それでも,hituzoさんの山行記録は自分にとって,大いに刺激になるものと期待しております。ではでは。
了解いただきありがとうございます。
但し書きの件もOKです。
僕の計画が、ひとさまの貴重な情報のおかげで成り立ったということを記したかっただけなので、
よこしまな期待は毛頭いたしません
これからも素晴らしい山行、期待しております。では
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