遠敷端の高〜百里ヶ岳〜小栗☆錦繍の遠敷川源流域を周回
- GPS
- 06:21
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 1,429m
- 下り
- 1,417m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・遠敷端の高への尾根;今回歩いた尾根の北西の尾根に取り付く方が歩きやすいと思われる。法面の擁壁は北西の端から上がることが出来る。尾根にはテープ類はないが極めてどうも快適な歩きやすい尾根が続く。 ・遠敷端の高〜おにゅう峠;尾根上には薄い踏み跡あり、最近つくられたと思われる真新しい林道が深い切り通しとなっており、ここの通過が核心部 ・おにゅう峠〜桜谷山;良好に整備された高島トレイルの一般登山道 ・桜谷山〜小栗:踏み跡は薄いが歩き易い自然林の尾根 ・小栗からの下山路:下根来に下るのであれば問題ないが今回辿った中ノ畑への最後の急斜面は藪はないものの難路と思われる。尾根を戻ってp547を経て上根来に下降する方が無難 |
写真
感想
紅葉も終盤のこの時期、訪れたい山が多く、休日がいくらあっても足りない感じだ。山々の紅葉はかなり下まで降りてきている。見頃なのは標高が500mから700mのあたり、800mを以上では終わっているだろう。
しばらく前から調子の悪かった左脚の調子もよく、ほぼ完全に快復した感じがする。少し長めのルートでも大丈夫だろうと思うので遠敷端の高からおにゅう峠、百里ヶ岳を経て小栗までの周回コースを考えることにする。
遠敷端の高はおにゅう峠からp820を経て北西に伸びる尾根の先にある△748.3mの三角点ピークであるが、人口に膾炙しているとは言い難い山だろう。そもそも読み方からして難しい。「おにゅうばなのたか」と読むのだが、知らなければ読めない山名に思われる。
以前、おにゅう峠の北西にあるp820に登った時のこと、稜線にたどり着くまで楓の多い自然林の尾根が延々と続いていたのだった。ほぼ同様の林相が期待出来る遠敷端の高へと続く尾根を紅葉の時期に訪れてみたいと考えていたのだった。
この遠敷端の高を訪れるのはもう一つ目的があった。上述のp820のピーク一帯はブナの美しい樹林が広がっているのだが、北西に伸びる尾根上のどのあたりからブナが広がっているのか確かめてみたかったのである。
未明の針畑川流域を北上する。桑原から古屋のあたりでは霧が出ていたが、それも終わる。おにゅう峠に向かって峠道を登ってゆくと徐々に周囲が明るくなってなってゆく。
このおにゅう峠は平仮名で記されているのは興味深い。峠を挟んだ若狭側は遠敷、朽木側も小入、すなわちどちらも「おにゅう」なのだ。どちらか一方の字を充てるを避けて敢えて平仮名にしているらしい。
驚いたのことに朽木側の小入谷を見晴らす展望地が近づくと狭い道沿いに何十台と路駐された車が現れる。展望地にはガードレールに沿って人が密に並んでおり、まさに立錐の余地もないといったところだ。
ガードレールの下からも谷を展望することが出来るので、下に降りてみると三人の若者が気前よく「どうぞどうぞ」と場所を空けてくれる。大阪から来られたそうで朝の3時半にここに来たがガードレール沿いの一等地はもう既に人でいっぱいだったとのこと。しかし先週はさらに多くの人がいて今朝はかなり少ないとのこと。どうやら毎年のように来られているらしい。日本語を流暢に操られるが外国人訛りがあるので出身を聞いてみるとインドネシアのバリ島であった。
眼下には古屋のあたりにわずかに霧があるばかりで、この日は雲海は大したことはないようだ。日の出の時間が近づいてはいるが、東の空には雲がかかりご来光も期待できないだろう。インドネシア人の若者達に礼を云って退散する。紅葉を眺めるのであればおにゅう峠までの間にも展望地は他にもあるのだが、人気のポイントに人が集まるのにはそれなりの理由があるのかもしれない。
おにゅう峠の反対側からはこれから辿る桜谷山、小栗にかけての稜線が見事な錦繍に染まっている。彼方では張り詰めた晩秋の空の下に日本海が見えている。福井県側に入ると峠の直下で車一台とすれ違っただけであり、すっかり静かな雰囲気となる。
上根来の集落を通り過ぎて、中ノ畑で遠敷川にかかる橋を渡ると広い道路余地がある。すぐにも尾根に取り付く。後で確認すると300mほど先に進んだところでピンクテープがあり、ここから尾根に取り付く方が良かったかと思う。
しばらくは植林の急斜面ではあるが、最初の100mほどを登るとすぐにも植林は終わり、期待通り下生えのない自然林の疎林が始まる。国土地理院の地図では北側の小尾根と合流するあたりは等高線が混んでいるので急登を覚悟してはいたが、実際には緩やかな尾根が続いていた。紅葉の盛りの尾根を徐々に高度を上げてゆく。途中、わずかに西側から植林が登ってくるが、それもそう長くは続かない。
尾根の先が明るくなっているかと思うと尾根まで林道が登ってきているのだった。真新しいキャタピラーの跡があるので林道を新たに作っているのだろうか。西側の尾根の東斜面にもガードレールのついた舗装林道が作られているのが見える。
遠敷端の高の山頂は樹林に囲まれた小さな広場に三角点の柱石があるばかりの地味な場所であった。尾根伝いに西に進むとわずかに八ヶ峰方面の展望が開けている。稜線をおにゅう峠に向かって進む。尾根上には薄い踏み跡とテープがついている。
まもなく二重尾根となり、右手の尾根を進む。
南側から植林が登ってきたかと思うと唐突に尾根が途切れ、高さは20〜30mほどあろうかと思われる深い切り通しが現れる。地図にはない真新しい林道が尾根を越えているのだ。よくぞこんなに尾根を切り取ったものだと呆れるのを通り越して感心するほどだ。
斜面の左手に踏み跡があり、林道に着地することが出来るが、問題は登り返すための踏み跡が見当たらない。固められた法面の端を登るが、気分のいいものではない。紅葉の尾根を縦走する楽しさに水を差された感じだ。
しかし尾根を先に進むと早速にもブナの樹林が現れて、気を取り直すことが出来る。正面から朝陽が差し込むと疎らに生える楓の紅葉がブナの樹林を明るく輝かせる。尾根の南斜面では色とりどりの紅葉から透過光が溢れていた。
ca730mで向きを北東に向きを変える。このあたりは樹々が疎らであり、尾根からは随所に好展望が広がる。南には三国峠から三国岳へと続いてゆく江丹国境の稜線、西には芦生演習林の北縁を辿って八ヶ峰に至る若丹国境稜線が続いている。
p820が近づくとやはりこの一帯のブナの樹林は前半のハイライトといえるだろう。箒のようなすっきりとした樹形のブナの高木が多い。壮麗なブナの回廊を辿る悦びに浸りながら緩やかに尾根を登ってゆく。
高島トレイル、すなわち江若国境稜線とのジャンクション・ピークが近づくと唐突にブナの樹林は終わる。高島トレイルを辿る限りはジャンクション・ピークから北西に伸びる尾根の先に素晴らしいブナの尾根が続いていることなど想像できないのではないだろうか。
おにゅう峠にたどり着くとやはり多くの人が訪れている。根来峠を経て百里ヶ岳に至る尾根に入ると春は満開のイワウチワが登山道を彩るが、植林も多く、地味なところだ。百里ヶ岳から降って来られたご夫婦とすれ違う。
百里ヶ岳の手前の展望地に至ると東側の麻生谷の展望が広がり、南には蓬莱山から蛇谷ヶ峰に至る比良の山々、彼方には伊吹山、金糞岳が見える。百里ヶ岳の山頂直下はブナの大樹が素晴らしいところなのだが、この日は既に存分にブナの樹林の中を歩いているので、むしろブナの樹林の区間が短いことに物足りなさを感じる。百里ヶ岳には他にも登っている人がいるかと思っていたが、山頂には人影はなかった。
静かな山頂を満喫すると桜谷山を目指して尾根を北上する。ブナの樹林はまもなく終わり、植林へと入ってゆく。木地山峠に差し掛かると尾根の西側斜面の広葉樹は葉が散った樹が多いせいだろうか、峠が明るく感じられる。何度も通っているつもりではあったが、晩秋や冬にはここは訪れたことがなかったことに思い至る。
木地山峠からはわずかにひと登りで桜谷山の山頂に至る。この山頂に立ち、三重獄を中心とする野坂の山々や若狭駒ヶ岳に向かって蛇行しながら東に伸びてゆく江若国境を眺めるのは今年は4回目だ。
桜谷山からはいよいよ小栗にかけてブナの回廊へと入る。山頂のあたりではブナは既に葉を落とした後ではあったが、標高が下がるにつれてブナの梢には琥珀色の紅葉が現れるようになる。前日の南越前の野見ヶ岳から日野山にかけての稜線の雰囲気からすると標高700mあたりではブナの紅葉が残っていることを期待していたが、ブナは期待以上に綺麗な色合いの紅葉を見せているように思われた。
鞍部に至るとブナの姿は少なくなるが楓が多くなり、色とりどりの尾根は華やかな雰囲気に包まれる。尾根上には「上根来→」の道標が現れるが、p547を経て集落へと下るルートだと思われる。
小栗の山頂へと近づくと再びあたりは再びブナの疎林となり、山頂一帯はなだからな台地となっている。ここは樹林の中に下生が全くないおかげで三角点の柱石も容易に見つけることができるが、そうでなければ山頂を同定することが困難であっただろう。
昨年の今頃、下根来からこの小栗を周回したのだったがその時よりもブナの紅葉は残っているように思われる。広々とした樹林で一息つくと下山の途につく。
下山は先ほどの上根来への下降路まで戻るという選択肢も考えられたが、p555を経て南西に伸びる尾根からダイレクトに中ノ畑へと下降することを考える。西尾根にはしばらくの間、ブナの若木の回廊が続くが、ca700mのあたりでp492を経る下根来へのルートとの分岐を過ぎると急に姿を消す。
遠敷端の高への登りの尾根おと同様、こちらの尾根でも相変わらず下生のない紅葉の樹林が続く。p556を過ぎて尾根を南西に進み最後はca450mのあたりから中ノ畑にかけて南側の急斜面を下降する。藪が全くないのはいいのだが、ざれ気味の斜面はかなり滑りやすい。この日はハイカットのトレッキング・シューズだったのでグリップがあまり効かないので足元に注意しながら慎重に下る。檜の植林が現れようやく歩きやすくなるのは尾根のかなり下の方であった。
植林の端に有刺鉄線が一本あったが問題なく乗り越えることが出来る。この有刺鉄線は果たして何の役に立っているのかと疑問に思うが、薄暗い時間帯にここを通過する時は注意を要するだろう。難なくおにゅう峠からの車道に着地すると遠敷川にかかる橋を渡り、すぐに出発地点に戻ることが出来る。
小浜から朽木を回って帰路につく。坊村の紅葉が綺麗だったので寄り道してみる。市民センターの駐車場には武奈ヶ岳からと思われる登山者が続々と下山して来られる。駐車場の日曜市では地元の野菜を売っていて、菊芋と万願寺唐辛子に原木栽培のなめこを手に入れることが出来た。紅葉につられて寄り道をすると意外ないいことがあるものだ。
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