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Yamareco

記録ID: 4253388
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
妙高・戸隠・雨飾

澄川〜火打山東稜〜濁俣川(矢代川上流域の廃道を巡る)

2022年05月04日(水) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
27.8km
登り
2,014m
下り
1,995m

コースタイム

日帰り
山行
14:54
休憩
0:36
合計
15:30
1:50
60
スタート地点
2:50
2:51
82
4:13
4:15
77
900m(水槽小屋)
5:32
5:40
196
澄川・黒菱川出合
8:56
67
1400mコーナー
10:03
10:07
78
1760m出合(裏鬼ヶ城)
11:25
11:38
66
2091mコル
12:44
12:46
46
1720m出合(鬼ヶ城)
13:32
13:35
137
1130m(左岸台地取付)
15:52
15:54
30
950m(水槽小屋直下)
16:24
16:25
55
17:20
ゴール地点
(参考文献)
・越後の山旅(下巻)藤島玄 著
・「日本登山大系」後立山・明星山・海谷・戸隠 〜妙高山・火打山周辺の沢〜

(アクセス)
現在は矢代川第一発電所分岐にゲートあり、ゲートまでは車両可。
(今回は他に現実的なアクセス手段がないため登山目的として通過させてもらう。矢代川コース(廃道)は地元新井市が拓いたコースであったことを尊重して。)
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車 自転車
コース状況/
危険箇所等
雪質の変化する急な雪渓の登下降あり。雪渓の割れ、クレバスの通過や沢の渡渉あり。落石、ブロック雪崩のリスクあり。アイゼン、ピッケル必携。
(参考)今回のルートVer.1(点線) (元サイズ)
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(参考)今回のルートVer.1(点線) (元サイズ)
未明の矢代川第三発電所の吊橋を渡り、ツバクロ尾根の作業道に沿って登る。途中の凍結した残雪のトラバースでは緊張。
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未明の矢代川第三発電所の吊橋を渡り、ツバクロ尾根の作業道に沿って登る。途中の凍結した残雪のトラバースでは緊張。
水槽小屋とタンク
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水槽小屋とタンク
綺麗なブナ林の中を一直線に延びる作業道(残雪の下)。ブナの殻が敷き詰められ絨毯のよう。
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綺麗なブナ林の中を一直線に延びる作業道(残雪の下)。ブナの殻が敷き詰められ絨毯のよう。
1010m付近より尾根から外れ、北西斜面をトラバースで作業小屋を目指す。
1010m付近より尾根から外れ、北西斜面をトラバースで作業小屋を目指す。
時々作業道が現れるが残雪ですぐに見失う、辿るのは困難。
時々作業道が現れるが残雪ですぐに見失う、辿るのは困難。
残雪の少なくなった大毛無山
残雪の少なくなった大毛無山
モルゲンの黒菱山を見ながらトラバース中 ガリガリ
モルゲンの黒菱山を見ながらトラバース中 ガリガリ
正面に鬼ヶ岳(鬼ヶ城ノ峰)と黒菱山を望む
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正面に鬼ヶ岳(鬼ヶ城ノ峰)と黒菱山を望む
作業小屋と澄川黒菱川方向(元サイズ)
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作業小屋と澄川黒菱川方向(元サイズ)
水路を管理する作業小屋
水路を管理する作業小屋
澄川の下流は全くスノーブリッジは無い
澄川の下流は全くスノーブリッジは無い
黒菱川・澄川出合。黒菱川の上流でスノーブリッジを渡る(右岸の崖の高巻き必要)
黒菱川・澄川出合。黒菱川の上流でスノーブリッジを渡る(右岸の崖の高巻き必要)
澄川へ入渓。この取水口を過ぎると安定した幅広の雪渓に覆われる。ちなみにここで取水された水はトンネルで水槽小屋へ送られる。
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澄川へ入渓。この取水口を過ぎると安定した幅広の雪渓に覆われる。ちなみにここで取水された水はトンネルで水槽小屋へ送られる。
(参考)1年前の取水口の様子。明らかに積雪量が少なく渡渉に苦労した記憶あり
(参考)1年前の取水口の様子。明らかに積雪量が少なく渡渉に苦労した記憶あり
取水口を過ぎ振り返る。奥に横たわるのが下って来たツバクロ尾根。なかなかの急斜面。
取水口を過ぎ振り返る。奥に横たわるのが下って来たツバクロ尾根。なかなかの急斜面。
容雅山の足元に最接近。この辺りで沢はカーブ
容雅山の足元に最接近。この辺りで沢はカーブ
沢が西に向きを変えると正面に黒菱山が聳える。
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沢が西に向きを変えると正面に黒菱山が聳える。
沢は分厚い雪渓に覆われているが側壁からの落石、落雪が多い。
沢は分厚い雪渓に覆われているが側壁からの落石、落雪が多い。
垂直な壁に囲まれて沢は左右に蛇行する
垂直な壁に囲まれて沢は左右に蛇行する
側壁の境は暗黒のクレバス、5m以上ありそう。
側壁の境は暗黒のクレバス、5m以上ありそう。
次第に開けてくる
次第に開けてくる
沢床が広く開放的な雰囲気に(元サイズ)
沢床が広く開放的な雰囲気に(元サイズ)
右岸側壁からは何本もの滝が落ちている
右岸側壁からは何本もの滝が落ちている
左岸に現れた三角の峰(1380m)。この稜線(新建尾根)の裏側は全く別の能生川水系(イカズ谷)。
左岸に現れた三角の峰(1380m)。この稜線(新建尾根)の裏側は全く別の能生川水系(イカズ谷)。
澄川が西から南へ向きを変える地点。次第にアルペンチックな風景になってくる。
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澄川が西から南へ向きを変える地点。次第にアルペンチックな風景になってくる。
振り返ると容雅山が見守ってくれている
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振り返ると容雅山が見守ってくれている
潅木の生えたまま、ちぎれて落ちてきた島
潅木の生えたまま、ちぎれて落ちてきた島
島を横から見ると
島を横から見ると
島の上をよく見るとカタクリが生えている
島の上をよく見るとカタクリが生えている
(参考)今回のルートVer.2 (点線)(元サイズ)
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(参考)今回のルートVer.2 (点線)(元サイズ)
澄川は緩やかに蛇行しながら南下。再び険しい岩壁に囲まれ廊下状になってくる
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澄川は緩やかに蛇行しながら南下。再び険しい岩壁に囲まれ廊下状になってくる
裏鬼ヶ城が近づくと一気に急勾配になる。澄川は突き当りを直角カーブしている。
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裏鬼ヶ城が近づくと一気に急勾配になる。澄川は突き当りを直角カーブしている。
直角カーブ地点(1680m)で進行方向(左上)を望む。無雪期はこの下に約30mの滝が数段になって落ちているという。
直角カーブ地点(1680m)で進行方向(左上)を望む。無雪期はこの下に約30mの滝が数段になって落ちているという。
直角カーブ(1690m)を振り返る。この辺りが裏鬼ヶ城のようだ。
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直角カーブ(1690m)を振り返る。この辺りが裏鬼ヶ城のようだ。
左岸側壁は灰色の地層
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左岸側壁は灰色の地層
この先、澄川から分岐して左上の雪渓の谷へ進路をとる。(元サイズ)
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この先、澄川から分岐して左上の雪渓の谷へ進路をとる。(元サイズ)
分岐より澄川本流を望む(矢印参照) BCスキーヤーはこの狭くて急な谷を滑ってくるようだ。
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分岐より澄川本流を望む(矢印参照) BCスキーヤーはこの狭くて急な谷を滑ってくるようだ。
かなりの斜度の雪渓登り。コルは見えていてもなかなか近づかない。
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かなりの斜度の雪渓登り。コルは見えていてもなかなか近づかない。
北斜面、アイゼン装着でも緊張する。
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北斜面、アイゼン装着でも緊張する。
コル手前より登って来た雪渓を振り返る
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コル手前より登って来た雪渓を振り返る
2091mコルより鬼ヶ岳方向。本来、火打山まで往復するべきだが、ここで昼なので計画通り進む。
2091mコルより鬼ヶ岳方向。本来、火打山まで往復するべきだが、ここで昼なので計画通り進む。
コルより兎平、妙高山〜茶臼山パノラマ(元サイズ)
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コルより兎平、妙高山〜茶臼山パノラマ(元サイズ)
兎平へ降りて下りて来たコルを振り返る(元サイズ)
兎平へ降りて下りて来たコルを振り返る(元サイズ)
下り続けていくとすり鉢の底へ吸い込まれそうな気分(元サイズ)
下り続けていくとすり鉢の底へ吸い込まれそうな気分(元サイズ)
濁川源頭部、鬼ヶ城のゴルジュをのぞき込む。一気に緊張が高まる。
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濁川源頭部、鬼ヶ城のゴルジュをのぞき込む。一気に緊張が高まる。
地形図で確認していた以上に急勾配。一時は撤退し別ルートを検討しようかと思うが。(線がルート)
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地形図で確認していた以上に急勾配。一時は撤退し別ルートを検討しようかと思うが。(線がルート)
下って来た方向(元サイズ)
下って来た方向(元サイズ)
それでも落ち着きを保つように努力し、一歩踏み出せば、雪質は緩んでおり、なんとかなりそう。高い緊張感の中、トラバースで進み続ける。
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それでも落ち着きを保つように努力し、一歩踏み出せば、雪質は緩んでおり、なんとかなりそう。高い緊張感の中、トラバースで進み続ける。
下る方向、鬼ヶ城への入口(元サイズ)
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下る方向、鬼ヶ城への入口(元サイズ)
なんとか鬼ヶ城へ降り、振り返る(線がルート)(元サイズ)
なんとか鬼ヶ城へ降り、振り返る(線がルート)(元サイズ)
鬼ヶ城へ、初夏でも雪渓が残る場所
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鬼ヶ城へ、初夏でも雪渓が残る場所
左岸側壁から落ちる険しい滝
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左岸側壁から落ちる険しい滝
この辺りが一番側壁が高く核心部か
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この辺りが一番側壁が高く核心部か
振り返る
何度も鬼ヶ城を振り返る
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何度も鬼ヶ城を振り返る
次第に開けて明るくなる
次第に開けて明るくなる
ブナの新緑と広々とした谷、右奥は鬼ヶ岳(元サイズ)
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ブナの新緑と広々とした谷、右奥は鬼ヶ岳(元サイズ)
1130mあたりで左岸台地へ上がる
1130mあたりで左岸台地へ上がる
ガランノ沢上流方向(元サイズ)
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ガランノ沢上流方向(元サイズ)
濁川の左岸台地を下る、ブナの点在する広い雪原
濁川の左岸台地を下る、ブナの点在する広い雪原
妙高外輪山(神奈山〜三峰)とブナ林(元サイズ)
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妙高外輪山(神奈山〜三峰)とブナ林(元サイズ)
丸く融けた水芭蕉の湿地
丸く融けた水芭蕉の湿地
水芭蕉やリュウキンカが見られる
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水芭蕉やリュウキンカが見られる
湿地とブナ林と残雪の山
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湿地とブナ林と残雪の山
下って来た雪原を振り返る
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下って来た雪原を振り返る
しばらく踏み跡沿いに水芭蕉の湿地は点在する
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しばらく踏み跡沿いに水芭蕉の湿地は点在する
神奈山とブナ林
水槽小屋の下で作業道と合流
水槽小屋の下で作業道と合流
水圧鉄管沿いに下りてきた
水圧鉄管沿いに下りてきた
作業道をたどり第三発電所の裏に飛び出す
作業道をたどり第三発電所の裏に飛び出す
濁俣川に架かる吊橋を渡る
濁俣川に架かる吊橋を渡る
第三発電所を振り返る
第三発電所を振り返る
デブリが覆う車道を登り返す
デブリが覆う車道を登り返す
第三発電所と容雅山(右)、黒菱山(中)
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第三発電所と容雅山(右)、黒菱山(中)
道路を上り切ると通信施設とゲートがある
道路を上り切ると通信施設とゲートがある
積雪の無い道路を下るのみ
積雪の無い道路を下るのみ
スタート地点のゲート(第一発電所は右方向)
スタート地点のゲート(第一発電所は右方向)
矢代川沿いから望む妙高山、火打山
矢代川沿いから望む妙高山、火打山

感想

◆はじめに
矢代川流域は明るく開けた沢が多く、本流である澄川は長大で火打山山頂にダイレクトに達する。夏もなお、4kmを越える大雪渓が続き「裏鬼ヶ城」の大ゴルジュが魅力である。現在も残雪期には火打山からBCスキーで滑走する記録が散見される。
また濁俣川右俣(濁川)は古くから猟師に歩かれており昭和30年に新井市が沢沿いに火打山への登山道を拓いた。しかし「鬼ヶ城」など自然地形を通る区間が多く、荒廃して不明瞭となりやすく、人気のない難コースだった。

藤島玄氏は「越後の山旅」の中で澄川と濁俣川からのコースを紹介しており、笹ヶ峰(表コース)にない魅力と将来性がある。初夏に豊富に残る雪渓、その間に咲き乱れる高山植物のお花畑、人に荒らされぬ自然のままの美しさを残している、と記している。

◆山行概要
自分はこの魅力的な先人たちが拓いた登山道(廃道)に思いを馳せ、今まで何度か矢代川上流域へ足を運んできた。今回はその集大成として澄川を登り雷菱の直下(2091mコル)を越え濁俣川右俣へ下降する山旅にチャレンジすることにした。ただ「越後の山旅」の世界を堪能するためには無雪期がベストであるが日帰りでは厳しいので残雪期に決行した。

◆山行状況
第三発電の吊橋から水槽小屋(900m)までは地図上の破線(管理歩道)をたどるが早朝はカチカチの残雪に覆われる区間が多い。水槽小屋から澄川出合までは残雪の多い急斜面をトラバースで下る。出合は黒菱川を少し遡りスノーブリッジで越える。澄川に入ると広い雪原状の河原が安定して続く。しだいに狭い廊下状の谷へと変貌し側壁からの落石やブロック雪塊などのデブリが多くみられる。

緩やかで単調な雪渓歩きがひたすら続く(裏鬼ヶ城まで6.2km)。やがて明るく開けアルペンチックな火打山北方の山並みが視界に入ってくる。谷は左に右に蛇行を繰り返し火打山の懐深くへ入る。1650mあたりから一気に勾配は増し裏鬼ヶ城と呼ばれる大岩壁の迫る谷へ出る。昔の登山道は澄川の雪渓を最後まで詰めて火打山へ達しているが、今回は日帰り計画である。ショートカット的に澄川から分岐し左の谷を詰めて雷菱直下のコルを目指す。想像以上に急な雪渓登りでスタミナと時間を消耗する。ようやくコルに到着すると兎平と呼ばれる広大な雪原が広がっている。夏は手付かずの高山植物が咲き乱れるエリアだ。妙高山に向かって尻セードを交えて急降下。ダケカンバを縫うように雪原を下っていくとすり鉢地形の縁に出る。

地形図で入念にシミュレーションしていたが実際は想定外の急勾配に見える。もし凍結していたら無理だったが、雪質は緩んでおり一歩踏み出すとなんとか進めそう。恐る恐る一歩ずつ蹴り込み、ゆっくりトラバースで下降。斜度が緩み最後は尻セードで谷底の雪渓に着地、大迫力の鬼ヶ城の大岩壁を見上げながら廊下状の谷をしばらく下る。しかし疲労と緩んだ雪質で足取りは重くなる。

やがて谷は開け1140m付近で破線の延びる左岸台地へ上がる(ここまで雪渓歩き2.7km)。台地は一面の雪原だが新緑のブナの林の背後には雄大な妙高外輪山が聳え絵になる風景。足元には残雪に丸く開いた穴に水芭蕉とリュウキンカが咲き始めている。手付かずの自然の絶景を堪能しながらゆったり気分で歩く。さらに惰性で歩き続け水槽小屋の下で管理歩道に合流し、あとは発電所へ下るのみだ。

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