澄川〜火打山東稜〜濁俣川(矢代川上流域の廃道を巡る)


- GPS
- --:--
- 距離
- 27.8km
- 登り
- 2,014m
- 下り
- 1,995m
コースタイム
- 山行
- 14:54
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 15:30
・越後の山旅(下巻)藤島玄 著
・「日本登山大系」後立山・明星山・海谷・戸隠 〜妙高山・火打山周辺の沢〜
(アクセス)
現在は矢代川第一発電所分岐にゲートあり、ゲートまでは車両可。
(今回は他に現実的なアクセス手段がないため登山目的として通過させてもらう。矢代川コース(廃道)は地元新井市が拓いたコースであったことを尊重して。)
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雪質の変化する急な雪渓の登下降あり。雪渓の割れ、クレバスの通過や沢の渡渉あり。落石、ブロック雪崩のリスクあり。アイゼン、ピッケル必携。 |
写真
感想
◆はじめに
矢代川流域は明るく開けた沢が多く、本流である澄川は長大で火打山山頂にダイレクトに達する。夏もなお、4kmを越える大雪渓が続き「裏鬼ヶ城」の大ゴルジュが魅力である。現在も残雪期には火打山からBCスキーで滑走する記録が散見される。
また濁俣川右俣(濁川)は古くから猟師に歩かれており昭和30年に新井市が沢沿いに火打山への登山道を拓いた。しかし「鬼ヶ城」など自然地形を通る区間が多く、荒廃して不明瞭となりやすく、人気のない難コースだった。
藤島玄氏は「越後の山旅」の中で澄川と濁俣川からのコースを紹介しており、笹ヶ峰(表コース)にない魅力と将来性がある。初夏に豊富に残る雪渓、その間に咲き乱れる高山植物のお花畑、人に荒らされぬ自然のままの美しさを残している、と記している。
◆山行概要
自分はこの魅力的な先人たちが拓いた登山道(廃道)に思いを馳せ、今まで何度か矢代川上流域へ足を運んできた。今回はその集大成として澄川を登り雷菱の直下(2091mコル)を越え濁俣川右俣へ下降する山旅にチャレンジすることにした。ただ「越後の山旅」の世界を堪能するためには無雪期がベストであるが日帰りでは厳しいので残雪期に決行した。
◆山行状況
第三発電の吊橋から水槽小屋(900m)までは地図上の破線(管理歩道)をたどるが早朝はカチカチの残雪に覆われる区間が多い。水槽小屋から澄川出合までは残雪の多い急斜面をトラバースで下る。出合は黒菱川を少し遡りスノーブリッジで越える。澄川に入ると広い雪原状の河原が安定して続く。しだいに狭い廊下状の谷へと変貌し側壁からの落石やブロック雪塊などのデブリが多くみられる。
緩やかで単調な雪渓歩きがひたすら続く(裏鬼ヶ城まで6.2km)。やがて明るく開けアルペンチックな火打山北方の山並みが視界に入ってくる。谷は左に右に蛇行を繰り返し火打山の懐深くへ入る。1650mあたりから一気に勾配は増し裏鬼ヶ城と呼ばれる大岩壁の迫る谷へ出る。昔の登山道は澄川の雪渓を最後まで詰めて火打山へ達しているが、今回は日帰り計画である。ショートカット的に澄川から分岐し左の谷を詰めて雷菱直下のコルを目指す。想像以上に急な雪渓登りでスタミナと時間を消耗する。ようやくコルに到着すると兎平と呼ばれる広大な雪原が広がっている。夏は手付かずの高山植物が咲き乱れるエリアだ。妙高山に向かって尻セードを交えて急降下。ダケカンバを縫うように雪原を下っていくとすり鉢地形の縁に出る。
地形図で入念にシミュレーションしていたが実際は想定外の急勾配に見える。もし凍結していたら無理だったが、雪質は緩んでおり一歩踏み出すとなんとか進めそう。恐る恐る一歩ずつ蹴り込み、ゆっくりトラバースで下降。斜度が緩み最後は尻セードで谷底の雪渓に着地、大迫力の鬼ヶ城の大岩壁を見上げながら廊下状の谷をしばらく下る。しかし疲労と緩んだ雪質で足取りは重くなる。
やがて谷は開け1140m付近で破線の延びる左岸台地へ上がる(ここまで雪渓歩き2.7km)。台地は一面の雪原だが新緑のブナの林の背後には雄大な妙高外輪山が聳え絵になる風景。足元には残雪に丸く開いた穴に水芭蕉とリュウキンカが咲き始めている。手付かずの自然の絶景を堪能しながらゆったり気分で歩く。さらに惰性で歩き続け水槽小屋の下で管理歩道に合流し、あとは発電所へ下るのみだ。
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