花便りfrom南八ヶ岳(天狗・硫黄・横・赤岳)
- GPS
- 27:12
- 距離
- 19.4km
- 登り
- 1,652m
- 下り
- 2,006m
コースタイム
11:20渋ノ湯-12:58黒百合平13:17-(天狗の奥庭)-14:18東天狗岳14:20-14:32西天狗岳14:34-14:48東天狗岳15:00-15:24根石山荘(泊)
7/12(日)
6:51根石山荘-8:00硫黄岳8:05-8:20硫黄岳山荘8:40-9:16横岳9:20-10:19赤岳展望荘10:24-10:49赤岳11:02-(文三郎尾根)-12:00行者小屋12:27-13:52美濃戸山荘-14:32美濃戸口
天候 | 両日とも曇り時々晴れ 12日はにわか雨あり。 |
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過去天気図(気象庁) | 2009年07月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
バス:茅野駅→渋ノ湯1100円、美濃戸口→茅野駅900円 登山道: 渋ノ湯から黒百合平までは最初は急な坂道が続きます。後半は岩ゴロの中を登ります。 黒百合平から天狗の奥庭経由で天狗岳への登山道も岩ゴロです。 硫黄岳から横岳を経て赤岳展望荘まで、赤岳から文三郎尾根分岐までは岩場が続きますが、難しいところには鎖やハシゴが設置されていますので、慎重に行けば大丈夫。 文三郎尾根は階段が続く結構な下りです。 花便り: ズダヤクシュ、オサバグサ、ゴゼンタチバナ、ギンリョウソウ、ミツバオウレン、マイヅルソウ、コイワカガミ、シナノキンバイ、イワベンケイ、イワツメクサ、イワウメ、イワヒゲ、コマクサ、オヤマノエンドウ、タカネシオガマ、ヤツガテケキスミレ、キバナシャクナゲ、ハクサンイチゲ、ウルップソウ、ムシトリスミレ、チョウノスケソウ、ミヤマオダマキ、ミヤマカラマツ ウルップソウ、チョウノスケソウは終わりかけ。 コマクサはこれから。 コイワカガミはあちらこちらで咲いています。 |
予約できる山小屋 |
黒百合ヒュッテ
|
写真
感想
○プロローグ
昨年の海の日の連休に1泊2日で南八ヶ岳を歩きました。途中、コマクサが咲いていましたが、少しだけ盛りを過ぎていたのと、3連休の晴天となれば人もそりゃ出ますよって感じで、岩場でのすれ違いに時間がかかった記憶があります。
そんな訳で、今年は1週間早く南八ッに行きたいと思っていました。週の半ばまでは週末の天気は「う〜ん?」。でも、木曜、金曜とだんだん予報が良くなって、金曜日の昼に決行決定。急な話なので今回は(も?)ソロです。
○7/11(土)
いつものあずさ3号の前の臨時特急で茅野駅へ。特急の指定席も、去年は大混雑だった渋ノ湯行きのバスも、今日はガラガラ。1週間違いでこんなに差があるとは。やったね!今回はゆっくり歩けそうです。
天気は曇りながら時々日が差すような状況。上はロングTシャツ、下は短パンでスタート。渋ノ湯から黒百合平を目指します。歩き出しからしばらく急な道が続きますが、辰野旅館から伸びる尾根道に乗ると緩やかになります。
苔むした林の中の道は花は少ないものの、緑や苔が綺麗。黒百合平に近づくに従って、水量の少ない沢の脇や中の大きな石を歩いていくようになります。コイワカガミも出てきます。
林をとおして前方に空が見えてきたら黒百合平へ到着。ここまでほとんど休まずにきたので、黒百合ヒュッテ前でおにぎり休憩。
この先は森林限界を超えるので、短パンの膝から下を付けて登り始めます。
今日は中山峠経由で東天狗岳を目指すのではなく、天狗の奥庭経由で登ります。黒百合平からちょっと登れば、すりばち池越しに東・西天狗岳が目に飛び込んできます。
このコースも岩がごろごろです。ペンキマークを拾って進みますが、あっちキョロキョロ、こっちキョロキョロとよそ見をしながらなので、時々ルートを外して、そのたびに修正です。また、足をフラットに置けない岩の上でのよそ見も危険ですね。おっと!と思って手でバランスを取ること数度。ぐんぐん高度を上げると背後に蓼科山も見えてきます。
やがて中山峠からの道に合流し、しばらく登れば東天狗岳山頂です。曇りながら遠望も利いてまずまず。南八ヶ岳の盟主、赤岳・阿弥陀岳がにょっきり稜線の上に頭を出しています。
今年は阿弥陀岳はパスして、西天狗岳を追加することにしました。西天狗岳へは一度下ってからまた大きく登ります。燧ケ岳の俎鞍と柴安鞍の間もそうですが、見た目より案外近いものですね。
西天狗岳へ向かう道からはこれまでにないアングルから南八ッを眺められるので新鮮です。時間に余裕があるならば寄り道する価値があると思います。最後に少し急登をこなせば、西天狗岳山頂。ここも展望は360度です。
今日泊まる根石山荘も谷を隔てて結構近く見えます。なだらかな鞍部を少しだけ下ったところにへばりつくように建っています。風がよっぽど強いと見えます。
東天狗岳へ戻り、根石岳へ向かいます。山頂直下の急斜面を過ぎれば白砂の輝くトラバース道。そこを過ぎれば一登りで根石岳。山頂では青空がのぞき、頭上には飛行機雲が2本。いい気持ちです。
ここまで来れば根石山荘はすぐそこ。コマクサが多く見られる砂礫の道を写真を撮りながら行けば、今日のお宿、根石山荘に15時半に到着です。
昨年はここの水場で冷たくて美味しい湧き水(4℃だそうです)をいただきました。おまけに展望風呂もあるとのことでした。それが、今年この小屋に泊まってみたかった最大の理由です。
風対策の石を屋根にたくさん載せた素朴な小屋です。1泊7500円。受付で混雑具合を聞いてみると予定では9人とのこと。結局その後1人加わり、計10人のゆったり宿泊でした。
自家製味噌で作った味噌汁をはじめ、食事は美味しいし、なんといってもこの標高2500mを超える稜線で、湯船に浸かれる贅沢。もちろん石鹸の類は使えませんが、サッパリします。
愛知県や島根県から来た方と話をしながら食事をしましたが、高速1000円効果で今年の山のぼらー、全国大移動がありそうですね。
小屋番のお兄さんの話によれば、今年は雨が多く気温の低い日が続いているため、コマクサの開花は遅れているが、一日いい天気の日があれば一斉に開花しそうとのこと。来週がベストかもしれません。
消灯は20時半。しかし、今日はなんだか少し疲れぎみだったので早々と就寝。静かな夜です。標高に弱いので、いつもの事ながら少々頭痛を感じていましたが、まあまあ良く眠れたほうでした。
○7/12(日)
2日目の朝。この時期は早く明るくなりますが、どうやらご来光は拝めそうもなさそうなので、5時過ぎまで二度寝です。
6時からの食事後、準備をして6時50分に出発。天気は曇り。風は強いながら、小屋前からは北アルプスの大キレットや槍ヶ岳も遠く見えています。ちょっと寒いので雨具の上を着て歩き始めました。
今日はまず夏沢峠へ向かいます。最初は箕冠山へのプチ登り。そこで左に折れて夏沢峠へ向けて緩やかに下ります。朝のウォーミングアップにちょうどいい歩きです。
夏沢峠から硫黄岳に向けては急な登り。暑くなって上着を脱ぎ、長袖のTシャツ1枚で登りますが、風が直接当たるようになると寒くてまたすぐに上着を着ます。
背後に昨日登った天狗岳や蓼科山、さらには遠く浅間山も見えてきます。この登りは息が切れるけど結構好きだなぁ。
やがて巨大な爆裂火口のふちを行くようになれば、いよいよ高山植物が多く見られるようになってきます。ケルンに導かれて行けば、だだっ広い硫黄岳山頂に到着。横岳への稜線と赤岳・阿弥陀岳の雄大な景色が見えます。
北に目を移せば、霞んではいるものの、あちらは日が差しているのか、乗鞍岳や北アルプスの屏風に雪が輝きます。
ここも吹きっさらしで「さむ〜。」早々に硫黄岳山荘に向かいます。
昨日の小屋で話題に上った硫黄岳山荘のトイレ。私もちょっと立ち寄ってみました。
建替えられたばかりのようで木の香りが漂います。おおっ、ホントに街中と同じウォッシュレット!。山の中だというのに、すごいことです。
いよいよ横岳へ向かいます。最初は普通の山道を登っていきます。やがてコマクサが咲く(今年はまだ早かったですが、一つだけ白いコマクサが咲いていました)砂礫の道を過ぎると、いよいよ本日のメインイベント、横岳通過です。今回のルートの中では、花もすごいが、道もすごい(楽しい?)。ある意味核心部です。
花はといえば、コイワカガミ、シナノキンバイ、イワベンケイ、イワツメクサ、イワウメ、イワヒゲ、オヤマノエンドウ、タカネシオガマ、ヤツガテケキスミレ、キバナシャクナゲ、ハクサンイチゲ、ウルップソウ、ムシトリスミレ、チョウノスケソウ etc。そこかしこに群落を作っています。
岩のほんの隙間に小さな花が咲いていたりすると、ここでずっと頑張ってきたんだなぁって、なんだかその健気さに感じ入ります。
道はといえば、足元の切れ落ちた岩場を行くところがあると思えば、大きな岩の間の登り降り、鎖に掴まってのトラバース、梯子の上り下り。所々にこれらをつなぐ歩きやすい道という感じです。
足場もしっかりしていますし、くさりや梯子ももちろん使いやすく整備されています。慎重に歩けばそれほど心配することはないと思います。私も梯子の下りは基本的には後ろ向きで降りました。
やがて正面に赤岳がどーんと見えてきます。一度下って赤岳展望荘から山頂に突き上げています。展望荘で風をよけながらエネルギー補給。山頂に向けて一気に登ります。途中の鎖場では足場も使いながら、腕力も使って体を引き上げます。昨晩で高度順応が上手くいったのか、呼吸もそれほど苦しくありません。
やがて赤岳山頂小屋を過ぎて、2899m赤岳山頂到着。昨年はガスガスで何も見えませんでしたが、今日は全方位OK。富士山も見えます。いい気持ちです。ここも風が強いので少し休んで下山にかかります。
今日は文三郎尾根を下るので阿弥陀岳方面へ向かいます。阿弥陀岳へは権現岳方向へ岩を少し降りてから、右に折れて、急な岩の斜面をぐんぐん下っていきます。やがて権現岳への巻き道と合わされば(←ここは花のいいポイントです)、砂礫の道になります。
中岳・阿弥陀岳の道を正面に見送り、右に折れて文三郎尾根を下っていきます。この道は金属の階段も多く、斜面も結構急。登って来る人は、かな〜りきてます。
樹林に入ってしばらく行けば行者小屋のテン場。広場に出れば正面は行者小屋です。ここで休憩と思って一気に赤岳山頂から下ってきてしまいましたが、これが大正解。屋根のあるテラスに入ったとたんに、大粒の雨がざ〜っと降ってきました。
ここからは南沢を下るだけ。私はこの道は初めてですが、美濃戸からのアプローチルートということだけが頭の中にインプットされていました。距離はありそうだけど、沢沿いだからそんなに厳しくないだろうと、たかをくくっていました。
行者小屋のテラスには生ビールとおでん2品のセット1000円という魅力的なお誘いが。また、外の冷たい水場には缶ビールがたくさんプカプカ。
近場の低山以外では下りるまではビールは飲まないのですが、「たくさん歩いてきたご褒美」と勝手に理由を付けて、積極的にビールの誘惑に負けてしまうことにします。
30分ほど休憩して、雨具を付けて出発。南沢を下ります。これが、なかなかどうして結構な山道じゃありませんか。地図を持っていたのに緩やかだと思い込み、標高差をチェックせず。これじゃ地図を持っている意味がありません。
林の中に入れば、緑の綺麗な道ですが、まだかな、まだかなと思いながら下ります。ようやく美濃戸へ到着し、そここらは車も走る林道を、2箇所のショートカットコースも使って下ります。
最後の大敵はアブの大群。顔といわず体といわず、しつこくまとわりつきます。根性のあるヤツは服の上からも刺してきます。「こんちくしょ〜」とタオルや畳んだ傘やらを体の前で振り回しながら林道歩きをおよそ40分ほど。後ろからきた車には危ない人に見えたかも知れません(汗)。
美濃戸口に着けば、30分もしないうちに茅野駅行きのバスが発車。今回も八ヶ岳に楽しませてもらいました。
いつものように茅野駅近くのビジネスホテルで入浴し、千葉駅直行のあずさ30号で帰路につきます。進行方向右手の窓側の席で、ビール片手に夕方の甲斐駒や鳳凰三山を眺めながらゆっくりします。
韮崎辺りから「剣岳 点の記」を読み始めたら、これが止まらなくなりました。すっかり、夢中になって読んでいたら、千葉駅はあっという間でした。
山どっぷりの、いい2日間でした。
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