GW後の静かな涸沢・奥穂高岳(テントで雷にヒヤヒヤ)
- GPS
- 51:26
- 距離
- 37.7km
- 登り
- 2,079m
- 下り
- 2,076m
コースタイム
上高地・河童橋9:22-10:00明神-10:42徳沢10:50-11:40横尾11:53-13:02本谷橋13:13-15:43涸沢テント場(泊)
5/8
涸沢テント場5:14-6:59穂高岳山荘7:17-7:56奥穂高岳8:08-8:49穂高岳山荘9:17-9:32涸沢岳9:40-9:49穂高岳山荘9:54-10:43涸沢テント場(そのままマッタリ泊)
5/9
涸沢テント場8:02-8:35本谷橋8:51-9:40横尾10:04-10:57徳沢11:23-12:03明神12:11-12:46上高地・河童橋
天候 | 5/7 終日晴天 5/8 夕方まで晴天、徐々にガスが降りてきて、夜8時頃から吹雪&カミナリ 5/9 未明に雪は止むものの強風で雪がテント周りに吹き溜まる 小康状態の朝にテント撤収下山(横尾までは日も出て快方かと思えば逆に強風悪天になり上高地ではミゾレ・豪雨&暴風) |
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過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
※足湯近くのバス乗り場は廃止(降車のみ)されて、新設された徒歩5分ほどの「さわんどバスターミナル」まで歩くことになったようです。ターミナルは大きくて立派な建物 沢渡地区から上高地まではシャトルバス(往復2,050円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山ポストは、上高地バスターミナルのトイレ横の建物にあります。 道の状況(今後の天候・気温でドンドン変わるので参考までに) ●上高地〜横尾 すっかり雪も溶けて夏道です。但し、徳沢から横尾への後半部分はまだ道が雪で埋まっているため、河原歩きとなります(でもちゃんと道になってます)。 ●横尾〜本谷橋 融雪で若干ぬかるんだ部分が出てきて、やがて残雪道が始まりますが、ツボ足で問題ない程度でした。融雪で雪の下から出てきた枝などがだんだん邪魔な感じになってくるところです。 ●本谷橋〜涸沢テント場 本谷橋近辺は例年よりも積雪が少ないらしく、もう橋を渡ることになってました。 (GW前半はそのまま左岸にルートがあったようですが、今は橋を渡って右岸にルートが出来てます) 広くて長い雪原を地道に涸沢目指して歩くんですが、けっしてキツイ斜面があるわけでも足元に気をつける箇所があるわけでもないのに、いつも途中でバテバテ状態になってしまい、ペースダウンしてしまいます。特にヒュッテらしきものが見えてからの近づきそうでなかなか近づかない感じに精神的に参ってしまうんです。 涸沢テント場は1泊1000円でした。GWに多数のテントサイトが作られたようで、GW明けのテントサイトは壁が築かれ整地された良さげなサイトから選び放題でした。 ●涸沢テント場〜穂高岳山荘 ちょっと前に降雪があったこともあって、雪崩の危険性を避けるためにザイテン寄りを登りました。朝は適度に締まった雪面にアイゼンが効いて登りやすかったです。日が高くなると雪も緩みまくって、登るのも一苦労だと思います。登るにつれそれなりの急斜面になっていきますが、広大なカールのスケールで斜面ほどの怖さを感じずに登れます。もちろん下りも。 下りは下半分(ザイテンの岩稜脇通過後)を一気にシリセードで快適に下れました。 穂高岳山荘では、ホットレモンをいただきました。奥穂に登って冷えた身体が温まりました。 ●穂高岳山荘〜奥穂高岳 念願の積雪している奥穂に3度目にしてようやく登ることが出来ました。 核心部は山荘前の取付きのすぐ上、ハシゴを登ってからの岩稜横の急斜面直登部分。 滑落者を止める網が張ってありましたが、数日前の降雪で網がかなり埋まっていて、滑ったら網に引っ掛かる確率はなかり低い感じでした。 登りは、踏み跡(ステップ)に確実に前爪を蹴り込んでピッケルをダガーポジションで使って、サクサク登れましたが、下りは足元を一歩づつ3点支持状態で確認しながら、時間をかけてゆっくり下りました。 この核心部を抜ければ、山頂までは稜線とおしの見晴らしよいルートです。涸沢側に近づきすぎての雪庇踏抜きと、横風にバランスを崩さないように気をつければ、問題なく山頂まで行けます。日本第3位(今は間ノ岳と同点タイなんですね)の標高からの眺めはやはり圧巻でした。 ●涸沢岳 山荘からすぐ登れるので、時間に余裕があればぜひセットで登りましょう。 奥穂へ登るのが難しい人でも涸沢岳なら大丈夫だと思います。奥穂ルートが丸見えなので、確認するために先に登って奥穂への様子伺いをするのも良いでしょう。 下山後、お風呂は沢渡足湯の向かいにあったシンプルな露天風呂(温泉山小屋ともしび)を利用しました。駐車場から近く300円とリーズナブル(但し、シャワーなどは無く湯船の湯で洗う)。食事は松本市内に向かう国道途中の洋食屋・十字路(これまでもよく利用してます)。 |
写真
感想
世間がGWを終えて仕事モードに戻る、私の今年のGWはそこからはじまりました。
さすがに大型連休明けはどこもガラガラ、静かな山行が出来るんですが、寂しすぎるのもなんだし、過去に2度GWの涸沢雪上テントを満喫しながら、何れも雪の状態不安定で登頂を諦めた奥穂高岳に今回は3度目の正直で登ろう。と計画しました。幸い、ヤマレコ仲間がGWに涸沢に行くので、直前情報もバッチリ把握できるし(^^)
そして消費税上げ直前に駆け込み購入したテント泊装備用の大型ザック(オスプレー・イーサー70リットル)のデビュー戦でもあります。テント泊は昨秋の薬師峠以来、雪上テントは2010年GWの涸沢以来じゃないかなあ。久々の重装備ではたして涸沢まで歩けるのかしらんとの不安も抱えつつ、まあ夕方までに涸沢に到着できればGWでテント整地されたサイトは確実に再利用できるはずだし、ノンビリゆっくり登れば大丈夫だろう。初日は涸沢テント設営まで、2日目に奥穂ピストンして、3日目はもし元気があれば北穂ピストンしてからテント撤収して下山、なんて贅沢な計画。
前日の仕事を早めに切り上げ(支店メンバーには感謝)、さっさと荷造りして3時間ほど仮眠して朝3時前に自宅を出発(ホントはもっとゆっくりでも良いんですが、ETC割引のため)。まあ朝一番で上高地に入らなくても涸沢まではいけそうだからと途中SAで仮眠してたら、予定よりも大幅に遅れて沢渡には7時半到着。いつもの足湯の駐車場に車を停めて装備を準備していつものバス停まで行くと...行きのバス停ではなく下車専用バス停に変わってる!...
GW明けでしかも朝一番じゃないので、ほかに観光客や登山客らしきものがいないので、どこへ行ったら良いのやらと迷ってると、空身のアルピコバスが目の前を通過して新しい道路を登っていきます。 その方向に坂を登っていくと5分ほど先に今までなかった巨大なターミナル基地が出来ていて、そこがバス停でした(それにしても立派な施設だ)。
往復チケットを購入し、バス停で待つこと30分近く。
入山が遅れれば遅れるほど涸沢入りが遅れるし、ペースが上がらなかったらつけないかもしれないと焦りつつ、9時半前に河童橋をスタート。さすがに久々の重装備は肩にズッシリです。それでも横尾までは予定よりも快調に歩けて午前中になんとか横尾大橋を渡れました。本谷橋を通過し、しばらくは雪上をツボ足で登りましたが、登りが増えるにつれて装備の重さが辛くなり、装備を軽くするためにまだツボ足で歩けるけど早々にアイゼン装着。それでも延々と続く涸沢への緩い登りがドンドン体力を消耗させて、ちょっと歩いてはその場でゼーゼーしてはでペースはみるみるダウン。
それでも何とか夕方4時前にテント場に到着。前日までのGWであちこちにテント設営で整地されたサイトがあり、良さげなサイトを選び放題。涸沢ヒュッテに近いサイトを一つチョイスしてテント設営。
すぐ下のサイトには愛知からの60歳過ぎの単独男性がテントを設営してて、いろいろ情報交換。初日はテント設営後、ヒュッテで買った缶ビールと晩飯でお腹を満たし、翌日に備えて19時過ぎには就寝。
雪上テント泊用に防寒対策装備をいろいろ持ってきたけど、それほど寒くならずに翌朝3時半起床。
2日目の快晴(^^) でも予報では午後から悪化のようなので早朝行動。モルゲンロートを堪能し、出発準備を整えて朝5時過ぎにまずは穂高岳山荘に向けて出発。すでに周囲は昼間の明るさで、先行者をおいかけてアイゼン&ピッケル装備の軽身で登ります。前日とは打って変わって装備が軽いのでサクサク登って先行者をパスし、2時間かからずで穂高岳山荘のあるコルに到着。奥穂方面を見上げるとハシゴ場に2人組がいますが、登るんではなくて降りてきます。とりあえず山荘入口前のベンチで休憩してると、その2人組が降りてきて、話を聞くとハシゴの上の急登部分がいやらしくて諦めて撤退したとのこと。これは今回も無理かなあと、ベンチで過ごしていると、ハシゴを登る単独行男性が。下から見ているとハシゴを登って、その先の核心部分を慎重に登っていきます。あの人が核心部を通過して上に出れたなら後を追って奥穂を目指そうと、そそくさと準備して取付きからハシゴへ。核心部の下にまで来ると先ほどの先行者はもう核心部を登り切って上に進んでいるようです。同じルートを歩く人がいるとこちらも勇気が湧きます。核心部より下は滑ったら一巻の終わりな急斜面が下まで続いているし、滑落防止ネットは半分雪に埋まって効果薄そう。他に登って来る人はいないし、ここは時間をかけても慎重に確実に登ろうと、ピッケルをダガーポジションにしてアイゼンの前爪を一歩一歩確実に蹴り込んで登ります。幸い、雪の状態はアイゼンがちょうど良い具合に刺さるし、ステップが崩れるようなグズグズでもない締まり具合の雪面だったので、良いペースで核心部を登り終え、あとは見晴らしの良い稜線伝いの山頂ルートを先行者の背中を追って、歩きました。
山頂まであと10分ほどのところで休憩する先行者に追いつき、挨拶をして先行させてもらい、8時前に念願の雪の奥穂山頂にGW3回目の正直で登ることが出来ました。絶好の快晴の山頂は視界もクリアで四囲の眺めを充分に堪能出来ました。
奥穂山頂からの動画→ http://youtu.be/1rGdKcAjQ4g
しばらくすると先ほどの単独行男性も山頂に到着し、お互いに記念写真を撮り合い(久々に写真に収まったので、ポーズが挙動不審だわ)、いろいろ山談義をしながら至福の時間を過ごしました。
今回の山行で一番緊張したのが、奥穂からの下りでの核心部の下降でした。登りの際と同じ体勢でより慎重に3点支持で一歩づつ蹴り込む足元を上から確認しながら、その下に続く遥かな急斜面に少々肝を冷やしつつも冷静にゆっくりゆっくり。
穂高岳山荘に戻ってホットレモンで一息ついて、さて今日の行動はもう涸沢に下って終了かあと思うと、時間はまだまだ、それでは登った奥穂へのルート確認も兼ねて涸沢岳にも登ってしまおうと、下る前にかるく涸沢岳ピストンも。
涸沢カールの下りは、急斜面ながらも適度に緩んだ雪に滑る心配も皆無で快適にテクテク下り、ザイテンの岩稜脇を通過したあとは、久々のシリセードで、一気にテント場近くまで下って、11時前にはテントに帰着。心配した天候悪化もまだまだで、静かなテントサイトで装備の日干しをしながら、缶ビールを飲んだり、昼寝したりのマッタリした時間を過ごしました。お隣さんは朝一番で北穂ピストンした後、時間があったので奥穂も目指したけど午後の緩んだ雪の状態が悪くてハシゴで撤退してきたと戻ってきました。すごいスタミナです。
夕方になると、涸沢岳にガスがかかってきて、上空にも雲がどんどん流れ込んできて、予報の通りに悪化傾向になりそうです。早めに夕食を準備して終えると、悪天に備えて張り綱のチェックと、靴やスパッツはテント内に収納し、ピッケルやストックは前室内に入れて、降雪で困らないように準備して、20時頃就寝。
真っ暗なテント内で、目覚めたのは22時頃、テントをたたく雪の音で。降雪だけでなく強風で吹き上がった雪がテントをたたいたり、揺らせたりしてるうちに、真っ暗なはずのテント内が閃光で明るくなって落雷まで始まり、四囲の3000m稜線のどこかに落雷している轟音と閃光で眠れぬまま、テントに積もった雪を中から揺すって落としたり、前室の雪の溜まり具合を確認したり(真っ暗なテントにいると閃光が色々な色を発しているのが解りますね)。
眠れないなあと思いつつもうつらうつら寝ていて、朝方寒さで気づくと、強風が雪をフライシートの中にまで雪を吹き込ませていて、テントを雪が圧迫してきてて、その圧迫が寝袋に触れてて寒くなっていたのにビックリ。
4時を過ぎて明るくなってきて、改めて周囲を確認してみると、テントをフライシートの隙間は雪で完全に塞がっていて、前室も雪がタップリ。コッヘルの蓋でその雪を掻き出して外に出てみると、前日の晴天から一転した真っ白な世界に変わり果てていました。これはもう北穂ピストンなんてこと考える隙もなくなりました。お隣さんにスコップをお借りして、テント周りの吹き溜まりを除雪し、テント撤収しやすい小康状態待ちに。
朝7時頃になって、風は相変わらず強いものの降雪は収まっていたので、そそくさとテント撤収を開始し、8時過ぎに涸沢からの下山開始(お隣さんもほぼ同時に撤収下山)。
本谷橋あたりまで下ると時折青空も見えて、暑くなってきたので、これであとはノンビリ上高地までお散歩気分で歩けるかと思いきや、天候回復は一瞬で、徳沢に着く前にはまた小雨がぱらつき、時間もあるのでと初めて寄った徳沢園では名物のアイスクリームでも食べようかなんて考えていたけど、寒くなってきたので、おでん&ビールとなってしまいました。
その後も天候はどんどん悪化し、小梨平あたりまで来たところからは大粒の霙まじりの雨と暴風になって、観光地・上高地も大荒れ天気で観光客もズブ濡れ状態。こちらも上高地バスセンターまでのわずかな距離で一瞬でずぶ濡れになってしまい、バスセンターのインフォメーションセンター内に逃げ込み、装備を乾かしていると、嘉門次小屋にイワナを食べに寄ってたテントお隣さんもずぶ濡れでインフォメーションセンターへ。30分ほど装備を乾かし、沢渡までのバスに乗り込むとテントお隣さんも同じバスになり、しかも降車バス停も同じ。その後一緒に駐車場横の露天風呂で疲れを落としながら、今回の山行の山談義や普段の山行スタイルなどの話で楽しいひとときでした。
風呂上り後、またどこかの山での再会を約束しながら、テントお隣さんと別れ、松本の良くいく洋食屋さん「十字路」で久々のちゃんとした食事を堪能し、帰りも高速料金のETC割引のために、下道ではるばる甲府昭和ICまで走り、談合坂SAで時間潰しして、夜中過ぎに八王子料金所を通過して割引確定させて、夜中2時過ぎに家に帰着しました。
最高の快晴と奥穂、雷鳴と吹雪の2泊目、そして最後の上高地での豪雨と暴風、いろんなイベントがギュッと詰まった3日間でした。
kazさんGW充実した山行送ったようで!
残雪期の涸沢入ってみたいなーと思いつつ、行きたい山が多くてなかなか足が運べず。kazさんはもう3回も訪れているんですね。GWの写真見るとテントで鮮やかですが、ビークはずすとずいぶん雰囲気も変わるなー。
小屋からはしごを登ったあたり核心部と書かれていますが、奥穂高へ岩稜地帯に雪がつくといやらしそうですが、無事登頂できて何よりです。白銀の峰々が聳え立つ北アならではの最高の展望羨ましいです。
この時期は天候も急変し易いですね、私も数年前GWに霞沢岳登った時には下山時に雷に見舞われ生きた心地がしなかったのを鮮烈に覚えています。いやー雷は怖いです。
それにしても運転お疲れ様です。下道で甲府昭和まで…自分はキツクって行けないなー頭が下がります。
コメントありがとうございます。
YAMA555さんも屋久島をまるごとガッツリ堪能されたようですね
人の多い休日行動がほとんどだったところが、今年は世間が平日の静かな山行に変わって、これまで登っている山でも雰囲気が変わって面白いです。人が多い時よりも勇気を試される感じもありますしね。
運転は、少しでも交通費を切り詰めないと家族からの視線が厳しくなるので...
奥穂、涸沢、好天で何よりでした。
自分もこう言う好天なら雪山もやってみたいかな・・・?なんて(笑)
でも、夜の暴風雪とあくる日の5分でずぶ濡れなど読ませて頂くとまだまだ敷居高そうです。(泣)
それにしても奥穂まで雪山で7:17-7:56=40分ってメチャ速くないですか?
あれっ?と思って自分のタイム見てみてら夏山で0:50〜1:00かかってました。(泣)
これからも安全な登山で楽しい山行記録のアップお待ちしています
そうか、tabioさんは雪山はやっていないんでしたね。夏にあれだけロングな山行をこなせるスタミナがあるので、装備さえ揃えれば全然やれると思いますよ。ぜひ
2日目のタイムが速いのは軽身だからですね。アイゼンが効くと夏道なんかよりも全然サクサク歩けて自分の歩幅・ルート取りで歩けるのが雪山の良いところですね。奥穂までの登りは速かったんですが、下りの方が時間かかってます(核心部に相当時間をかけて慎重に下降したので)。
今シーズンは平日歩きが多くなりそうなので、普段混雑するようなルートを静かに歩けるんじゃないかと楽しみにしてます。 あと筆不精な遅いアップを改善せねば
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