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Yamareco

記録ID: 4677984
全員に公開
アルパインクライミング
槍・穂高・乗鞍

滝谷第四尾根

2022年09月10日(土) 〜 2022年09月12日(月)
 - 拍手
nishibuto その他1人
体力度
10
2〜3泊以上が適当
GPS
29:44
距離
27.6km
登り
4,328m
下り
4,413m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
12:57
休憩
0:37
合計
13:34
4:32
38
5:30
5:30
33
6:03
6:16
40
6:56
6:56
71
8:07
8:30
1
8:31
8:32
574
18:06
スノーコル
2日目
山行
9:46
休憩
0:30
合計
10:16
6:20
450
スノーコル
13:50
14:20
0
四尾根終了点
13:50
13:50
136
3日目
山行
5:43
休憩
0:48
合計
6:31
3:22
160
6:02
6:02
16
6:18
6:37
9
6:46
6:54
56
7:50
7:52
58
8:50
9:07
26
9:33
9:34
14
9:48
9:49
4
天候 10日 晴 
11日 晴 深夜に雨
12日 朝小雨のち晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
まさかの鍋平駐車場
体力と時間を失うスタートとなった
2022年09月10日 05:04撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 5:04
まさかの鍋平駐車場
体力と時間を失うスタートとなった
滝谷出合到着
このアプローチが長い
2022年09月10日 08:08撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
1
9/10 8:08
滝谷出合到着
このアプローチが長い
雄滝へ向かう左岸側、美しい
2022年09月10日 08:42撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
1
9/10 8:42
雄滝へ向かう左岸側、美しい
奥に見えるのが雄滝
2022年09月10日 08:42撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
1
9/10 8:42
奥に見えるのが雄滝
いよいよスタートの地にやってきた。
こうやって写真で見ると、登れそうな箇所あるなあ
2022年09月10日 08:50撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/10 8:50
いよいよスタートの地にやってきた。
こうやって写真で見ると、登れそうな箇所あるなあ
写真、真ん中の尾根へ向かいます
2022年09月10日 08:50撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 8:50
写真、真ん中の尾根へ向かいます
ここから
2022年09月10日 08:56撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 8:56
ここから
雄滝巻き道1ピッチ目
見た目より難しい、砂だらけなのでスリップ注意
2022年09月10日 09:16撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
4
9/10 9:16
雄滝巻き道1ピッチ目
見た目より難しい、砂だらけなのでスリップ注意
1ピッチ目を登ったあとは、コンテで尾根まで登る。
2022年09月10日 09:59撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 9:59
1ピッチ目を登ったあとは、コンテで尾根まで登る。
コンテのまま踏み跡を行く
2022年09月10日 10:00撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 10:00
コンテのまま踏み跡を行く
そのままコンテ
2022年09月10日 10:00撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 10:00
そのままコンテ
進んでいくと崩落箇所
2022年09月10日 10:01撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 10:01
進んでいくと崩落箇所
すぐ先に落口が見える
2022年09月10日 10:10撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 10:10
すぐ先に落口が見える
崩落箇所の上部に一旦、登りラッペルで崩落箇所を越える。
2022年09月10日 10:31撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 10:31
崩落箇所の上部に一旦、登りラッペルで崩落箇所を越える。
雄滝落口到着。
一旦、ホッとする
2022年09月10日 10:54撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 10:54
雄滝落口到着。
一旦、ホッとする
落口から上を見る
2022年09月10日 10:54撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 10:54
落口から上を見る
雄滝落口から覗く
2022年09月10日 11:01撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
2
9/10 11:01
雄滝落口から覗く
ガレガレを行くが、さほど気にならなかった
2022年09月10日 11:22撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 11:22
ガレガレを行くが、さほど気にならなかった
雪渓が出てきた
2022年09月10日 11:22撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 11:22
雪渓が出てきた
ずっと素晴らしい景色が続く
2022年09月10日 11:25撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
2
9/10 11:25
ずっと素晴らしい景色が続く
雪渓デカい!
2022年09月10日 11:29撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
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9/10 11:29
雪渓デカい!
崩落しそうな感じはない
2022年09月10日 11:30撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 11:30
崩落しそうな感じはない
ナメリ滝
2022年09月10日 12:09撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 12:09
ナメリ滝
ここ厳しく滑って登れず。時間をロス
2022年09月10日 13:01撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 13:01
ここ厳しく滑って登れず。時間をロス
相棒が巻きルートで快心の登攀。感謝
2022年09月10日 13:29撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
4
9/10 13:29
相棒が巻きルートで快心の登攀。感謝
ここは右岸から取り付いた
2022年09月10日 13:59撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/10 13:59
ここは右岸から取り付いた
落石注意
2022年09月10日 14:25撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 14:25
落石注意
大雨降るとヤバそう
2022年09月10日 14:57撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 14:57
大雨降るとヤバそう
ひたすら詰めて行く
2022年09月10日 15:03撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
3
9/10 15:03
ひたすら詰めて行く
出合が見えてきた!
2022年09月10日 15:08撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 15:08
出合が見えてきた!
細い尾根の向こうがC沢だ!
2022年09月10日 15:08撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 15:08
細い尾根の向こうがC沢だ!
F沢かな
2022年09月10日 15:12撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 15:12
F沢かな
水汲んだシーンかな。荷物が2キロ増えた
2022年09月10日 15:12撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 15:12
水汲んだシーンかな。荷物が2キロ増えた
おー見えてきた
2022年09月10日 15:28撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 15:28
おー見えてきた
素晴らしい景色
2022年09月10日 15:29撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
3
9/10 15:29
素晴らしい景色
しかし、まだまだ続く
2022年09月10日 15:41撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/10 15:41
しかし、まだまだ続く
ひたすら詰めて行く
2022年09月10日 16:01撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/10 16:01
ひたすら詰めて行く
槍への登山道が見える
2022年09月10日 16:22撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 16:22
槍への登山道が見える
なかなか二俣に着かない
2022年09月10日 16:43撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 16:43
なかなか二俣に着かない
2022年09月10日 17:16撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 17:16
お!求めていた景色が見えた
2022年09月10日 17:58撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 17:58
お!求めていた景色が見えた
スノーコル着!
2022年09月10日 18:03撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
2
9/10 18:03
スノーコル着!
ついたー!日没ギリギリだった「岩の墓場」
2022年09月10日 18:03撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
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9/10 18:03
ついたー!日没ギリギリだった「岩の墓場」
2022年09月10日 18:06撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/10 18:06
ビバーク
2〜3人用ツエルトでもギリギリ
2022年09月10日 18:06撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
4
9/10 18:06
ビバーク
2〜3人用ツエルトでもギリギリ
寒くて何度か起きたけど、よく眠れ疲れもとれた
2022年09月10日 19:55撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
6
9/10 19:55
寒くて何度か起きたけど、よく眠れ疲れもとれた
二日目スタート!
2022年09月11日 08:07撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/11 8:07
二日目スタート!
2022年09月11日 08:07撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/11 8:07
2022年09月11日 08:25撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/11 8:25
2022年09月11日 08:29撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/11 8:29
2022年09月11日 08:40撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/11 8:40
ABCのカンテを越え、落石に気をつけながらルンゼをロープ一杯で登る
2022年09月11日 09:20撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
4
9/11 9:20
ABCのカンテを越え、落石に気をつけながらルンゼをロープ一杯で登る
2022年09月11日 10:13撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/11 10:13
ツルムの頭からのラッペル。
ラッペル支点に行くまでの登りが岩がグラグラでやばかった
この頭もいずれ崩れて無くなるだろう。真新しい崩壊のあとがたくさんあった
2022年09月11日 10:57撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
4
9/11 10:57
ツルムの頭からのラッペル。
ラッペル支点に行くまでの登りが岩がグラグラでやばかった
この頭もいずれ崩れて無くなるだろう。真新しい崩壊のあとがたくさんあった
崩壊しまくりのDカンテ
2022年09月11日 10:58撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/11 10:58
崩壊しまくりのDカンテ
災害現場のようなツルムの頭の基部
2022年09月11日 10:58撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/11 10:58
災害現場のようなツルムの頭の基部
たまに噛んでくる?刺す?虫。陽が出てくると大量によってくる
2022年09月11日 11:25撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/11 11:25
たまに噛んでくる?刺す?虫。陽が出てくると大量によってくる
コルからツルムの頭を見ると、違うラッペルポイントが見えた。こっちから行けばよかった
2022年09月11日 11:41撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/11 11:41
コルからツルムの頭を見ると、違うラッペルポイントが見えた。こっちから行けばよかった
左の大きなフレークは1番のカムを入れただけで外れそうになり肝を冷やす。ここから、ロープを守りながら落石、岩の剥がれ、恐怖との戦いをしながら帰る為の登攀になった
2022年09月11日 12:21撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/11 12:21
左の大きなフレークは1番のカムを入れただけで外れそうになり肝を冷やす。ここから、ロープを守りながら落石、岩の剥がれ、恐怖との戦いをしながら帰る為の登攀になった
ここの落石も酷かった
2022年09月11日 13:25撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/11 13:25
ここの落石も酷かった
そんな状況の中での癒やし
2022年09月11日 13:25撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/11 13:25
そんな状況の中での癒やし
終了点!本当にホッとした。相棒のがっちり握手
2022年09月11日 13:52撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
4
9/11 13:52
終了点!本当にホッとした。相棒のがっちり握手
ここを暫く登ると登山道に合流
2022年09月11日 13:52撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
4
9/11 13:52
ここを暫く登ると登山道に合流
無事、帰ってきた
2022年09月11日 14:30撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
2
9/11 14:30
無事、帰ってきた
2022年09月11日 14:33撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
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9/11 14:33
幸せそうなテントが見える
2022年09月11日 15:03撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
3
9/11 15:03
幸せそうなテントが見える
2022年09月11日 15:03撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/11 15:03
涸沢岳かな
2022年09月11日 15:45撮影 by  COOLPIX W300, NIKON CORPORATION
1
9/11 15:45
涸沢岳かな
翌日、暗闇の白出沢ルートを降りてきた
2022年09月12日 06:31撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
2
9/12 6:31
翌日、暗闇の白出沢ルートを降りてきた
簡易橋
2022年09月12日 06:49撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
2
9/12 6:49
簡易橋
鍋平まで走って車を取りに行ってくれた相棒、感謝しかない
2022年09月12日 10:02撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
1
9/12 10:02
鍋平まで走って車を取りに行ってくれた相棒、感謝しかない
いつものお風呂でうまい棒
2022年09月12日 11:20撮影
2
9/12 11:20
いつものお風呂でうまい棒
コロちゃん
2022年09月12日 12:00撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
2
9/12 12:00
コロちゃん
カワイイ(笑)
2022年09月12日 12:00撮影 by  iPhone 12 mini, Apple
4
9/12 12:00
カワイイ(笑)

感想

昨年からずっと考えていた滝谷第四尾根、パートナーも見つかり、漸く実現する事ができた。滝谷は想像通りの素晴らしい場所だった。アプローチの困難さを忘れさせてくれる素晴らしい絶景の中、ひたすら稜線に向けて詰めて行き、最後は大岩壁を登り稜線へ抜ける。本当に良いルートだ。しかし、上部のツルムの頭以降は、崩落が激しく、近々、ツルムの頭もDカンテもなくなってしまうだろうと思える状況だった。悲しい事だが、また新しいルートができるのだろう。

1日目
福山でパートナーを拾い、20時過ぎに出発、3時前に新穂高へ到着するが、まさかの駐車場がいっぱい。暫くウロウロするが結局、鍋平の駐車場へ。1時間ぐらい仮眠ができるかと思ったが結局、殆ど眠る事もできず4時の起床時間となった。眠くてフラフラする感じで準備をして出発、さらに鍋平から新穂高登山センターまでも、なかなか遠いし暗闇の下り道は気を使う。幸先が悪いスタートになり先行きが不安になるが、まあしょうがない。予定より1時間遅れで新穂高登山センターを出発、ここから滝谷出合までも退屈な3時間の登山道歩きだ。しかし今回の相棒は初めてロープを結ぶ相手だ。2度の飲み会で意気投合をした仲間だ。まだまだ積もり話しもたくさんあり、退屈は少ない。広島から道中に睡眠が取れなかったのも、このせいだ(笑)
3時間ほどで、滝谷出合に到着、乾いた喉を潤す。
暫く休憩のあと、いよいよ滝谷へ向かう。少し先には豪快に水を落とす雄滝が見えている。もう眠気も喉の渇きもない。誰もいなくなった谷をどんどん詰めて行く。靴を濡らすほどの渡渉もなくガレた箇所を少し登ると雄滝の右岸側の小さな尾根の末端にたどり着いた。ロープを出さなくても登れる程度かと考えていたが、実際に目の前に行くと、なんの躊躇もなくロープを出す事にした。かなり砂もついていて、滑りそうで怖い。1ピッチ目から、スリル満点だ。登りきると踏み跡が残る草付きに出た。ここからトラバースかと思っていたが、木登りをするような感じで尾根の頂上を目指す。ロープはお互い10巻きぐらいコイル巻きをして支点を取りながらコンテで登る。少し開けた稜線に出てからトラーバースを開始する。足下は広いがザレてるので注意、暫く進むと5mぐらいの崩落箇所が現れる。ロープを繋いでリードでいけない事もないが、怖いので少し上に登り、まあまあの木でラッペル。この木にロープを掛けに行くのも、なかなかだった。。。崩落箇所を越え少しトラバースすると落口へラッペル。このラッペル支点もあまり良い場所がなく慎重に下る。第一関門を突破で少し気分が楽になる。落口から上流を見ると、荒々しい両壁の向こうに稜線が見える。ゆっくりと休憩をしたあと再スタート。次は第二関門、滑滝だ。谷は当然、ガレているが想像していた程でもない。先が見えないコーナーを曲がるたびに「次はどんな景色が見えるのか?」と考えていると楽しくてしょうがない、あまり時間も感じる事もなく滑滝の基部に到着、真ん中あたりで二人で何処から登れるかなーと相談して右岸から行くことを決め、右岸側に移動してから少しあと、上から強烈な落石が起きる。デカい石が砕け散り、煙りが出ている。落石の音も凄まじく、こっちに飛んでこないように祈りながら岩壁に身を寄せる。さっきまで二人で相談していた場所に、まだいたら死んでいたかもしれない。二人とも顔を引きつらせ、本当に肝が冷えた。。。さすが滝谷である。今一度、気を引き締め右岸を登攀、ナメリ滝は前日の雨で少し水量が多く、登攀ラインが濡れていて、どうしても一歩が出ず私が敗退、相棒が巻きラインで、渾身の登攀で抜けてくれて心から感謝!滑滝を越えガレ場を詰めて行くと、遂に第三難関の出合だ。AからFまである沢のC沢に間違いなく入る事だが、ガスもなく、事前によく調べていたおかげで、簡単にC沢に入る事ができた。ここからが長かった、行けども行けども目指す景色は現れず、しかし景色は最高、好きな景色だ。時間も差し迫ってきた頃に漸く右上気味にトラバースして踏み跡を行くとスノーコルへの到着した。想像していたよりスペースは狭く、2〜3人用のツエルトでもギリギリだ。動かせない石もあり、寝転がりごこちも自分側は悪かった。ツエルトを張り終えると同時に日が落ちた。ノンビリした訳ではないがギリギリだった。広島から寝ずに来て13時間行動は流石に疲れたが、気持ちの良い疲れだ。小量だが背負ってきた梅酒とウィスキーを呑み、満月の滝谷を楽しんだ。

2日目
軽量化の為にモンベル♯5のハーフ寝袋に上着にダウンで寝た。何度か寒くて目が覚めたが、比較的よく眠れ、疲れも殆ど取れた。朝から最高の天気の中、いよいよ四尾根の登攀開始だ。スノーコルからノーロープで岩稜をあがり少しハイマツ漕ぎをすると、テントが2張りほど張れそうなビバーク地に出る。先ほどまで居た場所より、かなり快適そうだ。また来る機会があれば次はここにしようと思った。そこから、少し細くなってきた岩稜帯を行く。ロープを出そうか迷ったが大丈夫そうなので、そのまま進んで行くと、ハーケンが数本打ってある1ピッチ目の取付らしい処にでる。ジャンケンで、どっちが先に行くか決めようと思ったが、相棒がここは先に行くという事で遠慮無く譲る。ビレイをしていても絶えず、小さな落石もあるし気をつけなければならない。そして、噛んでるのか刺してるのかわからないが、また小さな虫も増えてきた。2ピッチ目はロープの流れが悪く短めに切る。3ピッチ目、フェイスを登って左上していくと、遂にAカンテの取付に到達、想像していたより寝ていて簡単そうだ。その後もB、Cと楽しく続き、ルンゼを2ピッチで登りきるとツルムの頭に出た。ここまでは順調だった。ここから崩落具合は本当に恐怖だった。まずツルムの頭の基部は崩落した岩で災害現場のようになっている。しかもラッペル支点が、崩落して抉れた頭上に付いている。他にも安全なラッペル支点があるのではないかと思い探すが判らず(コルに降りてから頭上を見ると2箇所あった)しかたなくラッペルをするために頭へ数メートル登る、この登りの時も岩がメチャメチャ動くし体重を掛けるのが怖かった。身体を乗り出すような感じで、ラッペル支点にセルフを取り漸く体重をかけるがツルムの頭そのものが崩れたらどうしようと本気で思っていた。落石を起こさないように気をつけてラッペルしコルに到着。残すは最後の2ピッチ、案外早く抜けれそうだなー、あそこに見えるデカいフレークが剥がれたら怖いねーとか話しながらノンビリ休憩。そして相棒がスタート。最初の棚に登り、さっき話してたフレークに最初の支点、1番のカムを入れようとした時、上から「ヤバイ!」と引きつった顔で「そこからロープ持って離れて!」と声がかかる。かなりの大きなフレークがカムを入れただけでフワッと動いたのである。私もビレイ地点を変え、落石でロープ切れないように守りながらの真剣ビレイに変わる。それ以外の石も全部動くし、どんどん剥がれていく。。。相棒が心折れ、リード交代、私の方が体重も荷物も軽いので、岩が剥がれる可能性も低くなるのではないかと考えてしまうほど、危険な状態だ。なんとか効きそうなスキマにハーケンをうち、スカイフックまで使い、神頼みまでしながら、なんとか登り、ピッチを切る。もう1ピッチもヤバそうというか、さっきより岩がどんどん岩が剥がれていく。登ってる途中に剥がれたらヤバイので、先に剥がしながら登る。落ちていく落石の音が恐ろしい。どんどん剥がれるので、デカい岩がバランスを失って、崩れてきそうで怖い。なんとかバランスと全ての摩擦を使い、ようやく安全地帯へ。早く崩落地帯から逃げたい一心である。もはやクライミングではない。無事に稜線に抜ける事が目標になっている。最後は3級+50mの方に巻くことにして相棒に任す。安全地帯で心を落ちつかせながらビレイをする。ロープはスルスルと伸びていき、終わりが見えてきて安心していると、ロープが停まった。そこからハーケンを打つ音と、巨大な落石の音がずっと続く、ロープも殆ど進まなくなってきた。暫く経って、ロープ一杯でようやくビレイ解除で最後のピッチを終えた。終了点で2人でがっちり握手、稜線の方を見ると、もうロープもクライミングシューズじゃなくても大丈夫そうだ。装備を解除し登山道を目指す。登山道に出た処で、もう1度がっちり握手。漸く安心ゾーンに到着だ。ここから高速道路のように感じる登山道を歩き穂高山荘に到着。久しぶりに見る、たくさんの登山者にナゼか安心安全を感じる。テン場代を払い石垣の上でビールで乾杯。最高の気分だ。

3日目
深夜に雨が降り出し、ツエルト寝の我々は、殆ど眠れず。。。しかも標高3000なのに暑い、、、あまり眠れないまま、30分寝坊の2時半起床、まずは合羽を着てから片付けのパッキングをして3時15分に出発、眠い、、、当然、真っ暗の中、初めての白出沢ルートを下るのは、なかなかの核心。ヘッデンの光で白い矢印や踏み跡を探しながら下っていくが、やはり時々間違える。でも、だんだん、この路を整備した人の癖が判ってきて、良い感じで下って行くが、アルプスの谷はやっぱり長い。GPSで現在地を確認するたびにショックを受ける。明るくなる少し前に大休憩、お湯を沸かし朝食とする。気がつくと遠くの山まで見えている。漸く眠気も取れてきて元気になってくる。心配していた崩落箇所も安全に復旧されていて本当に感謝で頭が下がる。時々、休憩しながら長い長い林道を歩き、遂に新穂高登山センターに到着。ここからタクシーでも呼んで鍋平まで車を取りに行こうかと思っていましたが、4社ぐらい電話しても、全部ダメ、、、しかたない登るかと考えていたら相棒が、「荷物ここに置いて走ってとりに行ってきます!」恐るべし体力である。今回、初めてロープを組んだ相棒だが、良いパートーナーと出会えた。また一緒にどこか遠くへ行こう!

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無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [日帰り]
技術レベル
3/5
体力レベル
3/5

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