大井川西俣〜小西俣〜内無沢〜高山裏〜悪沢岳〜千枚岳
- GPS
- 77:17
- 距離
- 52.5km
- 登り
- 4,427m
- 下り
- 4,419m
コースタイム
※ログがかなり暴れているため、実際よりも長めの歩行距離となっているようです。
2014/9/12(金) 椹島→西俣慣合手前
0650畑薙臨時P<東海フォレスト送迎バス>0740椹島0800−1105二軒小屋
−1135東俣西俣出合ー1155二軒小屋発電所−1230悪沢出合ー1355蛇抜沢出合
ー1445新蛇抜沢出合ー1530慣合手前 幕営
2014/9/13(土) 慣合手前→内無沢二俣
0515慣合手前ー0545慣合(ここから小西俣)ー0635西小石沢出合−0930瀬戸沢出合
−1020魚無沢出合(ここから内無沢)ー1315黄蓮沢出合ー1530内無沢二俣 幕営
2014/9/14(日) 内無沢二俣→荒川中岳
0535内無沢二俣ー0645トラバースー0845高山裏水場(小屋下)0910−0935高山裏避難小屋
−1015高山裏水場(登山道沿)1035ー1145カール底ケルンー1430荒川カール上部
−1520荒川前岳ー1550荒川中岳避難小屋 小屋泊
2014/9/15(月) 荒川中岳→椹島
0400荒川中岳避難小屋ー0535悪沢岳0545ー0620丸山−0710千枚岳
−0755千枚小屋0805ー0930蕨段ー1000清水平ー1100小石下ー1200鉄塔
−1300千枚岳登山口ー1320椹島
天候 | 2014/9/12(金) 晴 2014/9/13(土) 晴 2014/9/14(日) 晴のち曇 2014/9/15(月) 晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・連休前日の金曜日朝6時到着時点で駐車場は4割程度。連休初日は溢れたらしい。 ・新静岡ICから県道189経由で2hほどです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【コース状況】 ・椹島〜二軒小屋 林道歩きです。近い将来、リニア工事で歩けなくなる?! ・二軒小屋〜大井川西俣慣合 悪沢出合あたりまで新しい林道がついていますが、途中で崩落やホヤホヤの落石 多数で、通過時に注意が必要です。 リニア工事作業員宿舎建設予定地から先は慣合まで昔の林道が右岸沿いに ずっとついています。1箇所だけ河原に降ります。林道崩落箇所は高巻がついて いますが、踏む人が少ないせいで崩れやすく、危険を感じたら無理をせず 河原に降りたほうがよいかもしれません。 昔の林道沿いにテント適地多数有。 ・慣合〜高山裏 慣合で右岸の鉄橋から河原に降ります。中俣方面へは小西俣を渡る必要あり。 左手方面へ進むと小西俣に入ります。かなり奥まで左岸沿いに踏跡と黄テープ (時々ピンクテープ)がついています。 かなり高い位置に巻道がついている箇所もあり、崩れも多いので、水線と高巻き どちらを選択するか判断は必要です。 滝はなく(正しく右俣を行けば左岸で巻ける8+6mがあるらしいですがw)、 渡渉の連続です。自分は瀬戸沢出合を過ぎたころから渡渉が増えました。 魚無沢出合を過ぎると倒木が増えます。黄蓮沢出合の右俣(内無沢)に鉄砲堰 があり、木材が朽ちていて越えるのに若干の危険を伴いました。 最終的に高山裏避難小屋下の水場に出ます。 今回の渡渉は最高で股下まで。河原の岩のフリクションは良く、ゴム底靴で 快適に歩けました。渡渉と河原歩きの繰り返しのためフェルト靴では若干 辛いかもしれません。 左岸沿いの高台にテント適地が多くありました。 |
写真
感想
「リニア工事前に西俣を詰める」がやっと実現。失敗もあったが総合的には楽しく充実した山行となった。
【1日目:2014/9/12(金)】
深夜0時すぎに自宅発。高速を順調に進み、新東名新静岡ICで降りる。県道27から189の通いなれた道を進む。途中で長いH鋼を積載した長いトレーラーの栓にひっかかるが、30分ほどの我慢ですんだ。あの狭い山道を、ダンプと離合もしながら上がっていくのは凄い!6時頃に畑薙臨時駐車場着。駐車場の埋まり具合は4割方。東海フォレスト送迎バスは時刻表では始発は8時。今日は平日なので7時の臨時便が出るかどうかわからない。念のためザック行列には素早く並んでおき、車中で朝食&ウツラウツラしながら待つ。6:40頃に東海フォレストのマイクロバス到着。臨時便が出るということだ。急いでザック行列へ戻る。送迎バス運転手が本日の行先確認と3000円徴収をはじめる。ミヤマシラネエゾウオヤジ(Uさん)だ!今回は日程に余裕がなく初日はできるだけ距離を稼いでおきたいので、椹島から歩くことにしておりそのように告げる。バスは補助席もすべて埋まり出発。ミヤマシラネエゾウオヤジは運転しながら器用に無線交信で椹島に宿泊人数内訳を伝えている。乗客の約3/4が千枚小屋までのようで、反時計回りゴールデンコースの人気は相変わらずのようだ。
1時間弱で椹島に到着。トイレに行ったり水を汲んだりして出発準備をしていると、バスでオヤジと西俣方面の話をしていたのをきいておられた2人組から声をかけられる。釣りをされるらしく、自分は釣り経験はないと話すと簡単だから是非やってみて!せっかく良いところに行くのだから!と励まされる。お二人は千枚から聖まで抜けるそうだ。ではお気をつけて、と出発。
いつ見ても場違いに立派な写真家記念館を横目に、林道まで上がり、埃っぽい砂利道を北へ歩く。千枚岳登山口を左に見送り橋を渡る。椹島から二軒小屋へ歩くのは3度目だが、今回は盛夏も過ぎ清々しい空気なのでウンザリ感はない。ここをノンビリ歩けるのも、これが最後かもしれない(リニア工事でダンプ街道となる可能性)という複雑な思いも時々浮かぶ。いつも目にするキツリフネ、バスオヤジから教わった、シナノナデシコやフジアザミなど、まだ多くの花が残っている。リニア工事がはじまったら、ここは本当にどうなってしまうんだろう・・・・
やがて二軒小屋に到着。管理人さんに挨拶したかったけど今回は泊まらないので何だか申し訳なく、二軒小屋には上がらず通過、ゲート脇を抜けて右の西俣・東俣方面へ。トンネル手前の橋で涼やかな飛沫を眺めつつ大休止を取り、引き続き林道歩き。西俣・東俣の二俣を越える橋を渡り、林道二俣を左手の西俣方面へ入る。二軒小屋発電所の脇を通過し、新しい林道を進む。所々に、かなり最近上から落ちてきました、という雰囲気の落石があり、気が引き締まる。橋を2回渡り左岸を歩いていると、大規模な土砂崩れが完全に道路を覆っているのが目に入る。2か月前は普通に通過できたところだ。ただ蝙蝠尾根からの押し出しが結構あるな、という記憶はあった。崩れの手前に車が止まっており、5名程度の空荷ヘルメットの方々が崩れを越えて奥へ進んでいった。中電関係者だろうか?(結局この人たちとその後会うことはなかった)崩れを越えると右岸に悪沢出合が見える。著名な”悪沢”名称の沢だが案外細い。これを見送り最後の橋3本目を右岸に渡った先の大きな広場が新しい林道の終点で、ここにリニア工事作業員用宿舎の建設計画があるそうだ。宿舎の食堂のおばちゃんの職を得ることができれば、山三昧の生活を送れるだろうか?
林道広場の先には昔の林道が右岸にずっと続く。広場を過ぎた先に1箇所だけ河原に降りる。林道がほぼ完全に落ちてしまっているからだ。降りるところは明瞭な踏み跡があり、へつりを通過して林道復帰。林道には大きく立派なフジアザミがずっと群生しており、チクチクして痛い。蛇抜沢出合は5cm程度だが水の中を渡るので、ここで渡渉靴に換装。何度かの高巻も交えつつ、新蛇抜沢も越え、ようやく下見のときの幕営地に到着。ここから先で張れる場所は慣合の河原かもっと先へ進む必要があるので、予定通り本日はここで終了とする。
徹夜運転かつ長距離の林道歩きで結構疲れており、早々にテントを張って引き籠る。夜中に甲高い「ウィ〜〜〜ン」というような奇妙なサイレンのような音?声?に目が覚める。音源は移動していて、だんだんテントに近づいてくるような気がする。多分、シカと思われるが、あの時間にあの声でテントに迫って来られるとさすがに怖い。ウトウトしていると今度は長閑な女性のアナウンスが流れる。ダムが放水するから気を付けて、というようなことを話している。時計を見ると2:30。こんな時間に???慣合に人が居て、この時間に放水の判断をしているのか、それとも放水のトリガーがこの時間にかかって自動的に放水されたのか、詳細は不明のままだ。
【2日目:2014/9/13(土)】
予定では今日から沢中1〜2泊で高山裏へ詰める。滝や大きな危険箇所もなく幕営箇所豊富、の情報を持っているため、気が楽だ。のんびり楽しもう。
幕営地を過ぎると2箇所の崩れに出くわすが、林道の高さに踏み跡がある。引き続き進むと慣合。人はいるのか?昨日の車の人たちが入っているのか?しげしげと眺めてみたが人の気配はなかった。数時間前に放水されたばかりなので放水前の水面の高さまで濡れており、結構水面が下がったことが見て取れる。右岸沿いに進むと鉄の橋が続いているが、2つ目が完全に崩れており、1つ目で河原に降りることになる。ヤマレコEさん情報によると、2013年8月は河原が完全に水没していたらしい。幸い完全に干上がった河原状態なので橋の付け根にある大木の根っこを手がかりに河原に降りる。左手の小西俣方面へ進む。小西俣左岸側の西河内尾根の付け根のあたりに、ネットで見かけた簡易橋があった。ただ木が渡してあるだけ。山の人は地下足袋でひょいひょいと渡ってしまうんだろうな。小西俣は適当に左岸に渡渉し、左岸の高台につけられた踏み跡をたどる。たまに黄テープや幕営跡に出くわす。下見で入った西小石沢出合の先まで順調に進み、いよいよ初めてとなる上岳沢出合より奥へ。基本的に左岸沿いに踏み跡がずっと続いていて、左岸側に崩れが入っているところは高巻がついている。上岳沢と瀬戸沢の中間地点あたりの大崩落は、踏み跡を見失い、ふと見上げると高い位置にピンクテープがついているのを発見。沢へ降りると、ネットで見た3mのやや厳しい左壁へつりの箇所のようだ。ただネットで見た画像よりも水量が多く、首まで浸かる可能性が高そうで、ここは高巻を選択することとする。草木を引っ掴んで無理やり高巻道へ上がる。高巻を半分ほど進んだ先で、崩れにつけてある高巻がさらに崩れて幅5mほど流されていた。脚を置くとそのままズブズブと沈む極めて脆い砂斜面で斜度も高度もある。下見のとき二軒小屋で情報をくださった2人組が言っていた、1箇所だけ危険な高巻はここのことだろう。うーむこれは。焦らないよう深呼吸しながら、慎重に足を出し、なんとか無事通過。あーヒヤヒヤした。でももう危険箇所はこの先出てこないだろうと思うと気がラクだ。瀬戸沢出合で小休止。
瀬戸沢を過ぎると左岸の高台もだんだん存在感がなくなり、渡渉しながら遡行することとなる。すぐに右岸から魚無沢が出合う。魚無沢を遡行して悪沢岳に至るコースは、バイブル「南アルプス深南部」はじめ、複数の記録を目にする。魚無沢の上流方向へ横たわる稜線を眺めながら、いつかここを行く日が来るか?魚無沢出合で本流小西俣は内無沢へと呼び名を変える。
さらに進むと右岸より黄蓮沢出合。地形図には黄蓮沢の名はない。黄蓮沢の奥にはバイブルにあった滝が見えている。右俣の内無沢本流側には鉄砲堰がある。
鉄砲堰:木材を組んで渓流の水をせき止めるためのダム。上流側に水を貯め、放水とともに木材を下流側へ流す役割を持つ。沢の流量が木材輸送に十分でない場合に構築された。(ref. 筑波大学農林技術センター井川演習林の林業史,筑大演報第27号,147-156,2011)
バイブルには「伐木搬出の歴史的遺産」とある。慣合に東海パルプ小西俣作業所があったのは昭和30年代、40年代にはこの地域の林業は衰退していった。それから半世紀ちかく、この鉄砲堰はここで静かに余生を送っている。山の恵みと人の暮らしの関係と時の流れのようなものが胸に迫る。
鉄砲堰の材木は朽ちており、無理に体重を乗せると歴史的遺産を破壊しそうになるので、右側を高巻して内無沢をさらに奥へと進む。
倒木が多く、なかなか先へ進まない。本日の目的地の内無沢二俣は、黄蓮沢出合からせいぜい1.5hの筈だが、まだか、まだか、と思い始めると余計に長く感じる。そうして待ちに待った二俣が視界に入り、やった!今日はここまで!すっかりゴールした気分になってしまった。ネットに書いてあったとおり、左岸側に広い高台がありテント適地だ。さあ、明日はこの右俣を稜線へ登るんだ!と意気込み、さっさとテントを張って引き籠る。月明かりの影がテントを静かに横切っていった。
【3日目:2014/9/14(日)】
つづく・・・
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
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metaと申します。記録拝見させてもらっています。
ありがとうございます。
大井川西俣非常に興味があり、また好きな山域ゆえ情報感謝します。
自分もリニア工事の前にここを歩いてみたいと思っていました。
今度悪沢の西小石尾根にいってみたいこともあり近くの情報を見ることができてよかったです。またレコを拝見させていただきます。
metaさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
取り急ぎのやっつけ記録で申し訳ございません 記憶が去ってしまうまえに情報追加します。
西小石尾根ですか!脚力と根性が要りそうでハイマツが大変らしいですが、尾根からの悪沢や西俣の眺めは素晴らしいのでしょうね。
記録楽しみにしております
あの山域は本当に魅力的ですよね。自分もヤマレコの同じような趣味の方の山行記録に共感しながら楽しませていただいています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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