くじゅう大船山とシャクガ大発生で茶色くなった平治岳に残る希望―吉部登山口から―ミヤマキリシマの九州2日目



- GPS
- 09:25
- 距離
- 17.3km
- 登り
- 1,154m
- 下り
- 1,136m
コースタイム
天候 | 曇ときどき薄日ときどき小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(レンタカー移動) 吉部登山口 (レンタカー移動) 長湯温泉泊 |
写真
感想
4年前にくじゅう・平治岳で念願のミヤマキリシマのピンク色の絨毯を見て感動し↓、また見たいと思っていた。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1880694.html
2月末にANAでセールがあったので花好きな友人を誘い、今回は平治岳と大船山を登ることにしていた。
昨年あたりから九重連山でシャクガの幼虫によるミヤマキリシマの食害の被害が発生していることは知っていたが、今年も引き続き平治岳では被害が出ているようだ。
4年前は北東側の男池登山口から登ったので、今回は坊ガツルを経て平治岳・大船山方面へ行ける北側の吉部登山口から登ることにした。
一緒に行く友人はくじゅうが初めて(というか九州が初めて)とのことなので、是非坊ガツルは見てほしい。
前泊した宝泉寺温泉から吉部登山口へは車で30分ほどなのだが、男池登山口ほどメジャーな登山口ではないようで、レンタカーのカーナビではその場所の道路自体が表示されなかった。
やはりこんなマイナーな登山口でさえちゃんと入っているGoogleマップはすごいと思う。
ミヤマキリシマの時季のくじゅうなので駐車場に停めきれるか心配だったのだが、吉部登山口の駐車場は思った以上に広大だった。
平坦な土地がたくさんあるからだろうか、男池登山口の駐車場より広いのではないだろうか。
これで1日¥300なのだからありがたい。
吉部登山口から坊ガツルまでは1箇所200mほどの激登りがあるだけで、あとは緩やかなアップダウンがあるだけの歩きやすい道である。
人工林もなく、最初から自然林の気持ちの良い新緑が続く。
コバイケイソウやノリウツギの白い花と瑞々しい苔の道をいくと、ところどころに大木が。
ミズナラとも違うし、何の木かなと思っていたら「ハリギリ」とネームプレートがあった。
ハリギリのこんな大木は初めて見た。
周囲はミズナラ林ではなく、ハリギリ林なのだろうか。
途中で林道に合流するともうそこは坊ガツル。
坊ガツルに入る一番楽な登山道ではないだろうか。
目の前には九重連山最高峰の中岳が見えているが、雲から出たり入ったり。
なんとか1日天気は持ってほしい。
それにしても、坊ガツルは何度来ても気持ちの良い場所だ。
平治岳の方がシャクガの被害が大きいと調べてきていたので、先に大船山に登ることにする。
大船山は6年ぶりだ。↓
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1153140.html
ゴロゴロした石の登山道をどんどん高度を上げていく。
登山者はそこそこいるが、ミヤマキリシマの時季としては少ない気がする。
そして、ミヤマキリシマが出てきたと思ったら雲の中に突入してしまった。
雨も降ってきたので、段原で雨具を着用。
山頂はそこそこ風も強く、雨具を着ていてちょうどいいくらいだ。
シャクガの被害はほとんどないようだが、やはりまだ少し時季が早いらしく蕾が多い。
それでもところどころ満開のミヤマキリシマを楽しむことができた。
大船山と段原の間はイワカガミの群落がたくさんある。
そういえば6年前もここでイワカガミをたくさん見たなと思い出した。
段原から先北大船山までの稜線は思った以上にミヤマキリシマがたくさん。
蕾も多いが、満開の株も多い。
ここも満開になればピンク色の絨毯になるのでないだろうか。
ミヤマキリシマの花の間を抜けて進んでいく。
そして、いよいよ平治岳が見えてくる。
4年前平治岳のミヤマキリシマのピンク色の絨毯を楽しんだときに、今度来た時は大船山からピンク色に染まる平治岳を見たいと思っていた。
そして、今目の前にある平治岳は…、茶色に染まっている。
こんなにもひどいとは思っていなかった。
かなりショックを受け、そのまま大戸越に下る。
大戸越にはなぜか1株だけ満開のミヤマキリシマがある。
なにか遺伝的要因でシャクガに強い株なのだろうか。
大戸越から平治岳に向かっての斜面、ここが前は一番のミヤマキリシマの群落だった。
が、そこがまっ茶色に枯れている。
蕾を食べられているだけではなく、葉も食べられたからか株自体が枯れてしまっている。
山頂部まで行くと遺伝的にシャクガに強い株があるのか、ところどころに花を付けている株があるのが救いで、その株の種からまたミヤマキリシマは復活していくのだろう。
4年前に見て一番見事だったのが、平治岳山頂から西に延びる尾根のところで、そこで坊ガツル方面にピンク色の絨毯になっていた。
そこが、まっ茶色。
シャクガがなぜ大発生したのか分からないが、ここまでひどいと回復にはどれくらいかかるのだろうか。
蕾を食べられているだけの株はまた来年花を付けるのだろう。
ただ株自体が枯れている大戸越の斜面にミヤマキリシマが復活するのには数十年かかってしまう気がする。
団体さんを案内しているガイドさんがいたが、友人がNHKの「にっぽん百名山」に出ていたガイドさんだと言い、その方に話しかけた。
それにしても、テレビに出ていた方の顔をよく覚えているなと感心する。
お仕事中にも関わらずとても感じのいい方で、一番のシーズンの平治岳がこんなでは商売あがったりですよ、とおっしゃっていた。
確かにミヤマキリシマが売りの九重連山がこんなではガイドさんの需要も減ってしまうだろう。
下りきった大戸越ではアセビの新緑がきれいで、このミヤマキリシマが枯れてしまった斜面はミヤマキリシマが復活する前に別の植生に変わってしまう可能性もあるかもしれないと思う。
坊ガツルに下りきったころにはかなり雨が降ってきた。
友人が法華院温泉を見ていきたいというので寄っていくことにした。
今回も泊まろうと思ったのだが、満室で泊まれなかった。
ミヤマキリシマがこんな状態では、ミヤマキリシマの花の時季にこだわらずに泊まりに来てもいいかなと思った。
またハリギリの森を抜け、吉部登山口方面へ。
途中にある暮雨の滝に寄ると、滝のある斜面がまるで岩を積み上げたような節理になっているのが面白かった。
そしてあの唯一の激斜面。
ちょうどチワワちゃんを連れている方が下りているところだったが、大きな段差のところでチワワちゃんの脚がプルプルしていて怖そうだった。
お節介かと思ったが途中まで抱っこしてあげることにした。
見知らぬ人に抱っこされるなんてやっぱり怖かったのかななんて思う。
吉部登山口に戻ると意外とまだ車がある。
やはり坊ガツルに入りやすい登山口なので泊まりの人が多い登山口なのかもしれない。
今晩の宿は4年前も泊まった長湯温泉。
素泊りなので夕食のため温泉街を歩いたが、山頭火や開高健、そしてどれだけ旅が好きだったんだろうと思うほどあちこちで見かける与謝野晶子夫妻の石碑がある。
この前泊まった時は気付かなかったが、なかなか良い雰囲気の温泉街だ。
夜、長湯温泉のぬるめの湯にゆっくりと浸かっていると、周囲からは宿の名前のとおりカジカガエルの声が聞こえてきた。
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