黒滝〜御在所岳〜鈴鹿の上高地〜朝明☆御所平でテン泊し南鈴鹿を縦走


- GPS
- 11:51
- 距離
- 24.9km
- 登り
- 2,213m
- 下り
- 2,104m
コースタイム
- 山行
- 1:27
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 1:29
- 山行
- 9:05
- 休憩
- 2:52
- 合計
- 11:57
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
下山後はGooさんとBさんの車で朝明渓谷駐車場から近江八幡へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
地獄谷の上水晶谷の下降はバリエーション・ルート(詳しくは感想にて) |
写真
感想
日曜日は鈴鹿の上高地と呼ばれる神崎川の上流でネット・サークルのオフ会が開催される。かねてより南鈴鹿の御所平でテン泊をしてみたいものだと思っていところだった。御所平を早朝に出発すればオフ会の会場には何とか昼前に到着することが出来るだろうと皮算用をする。
前日の土曜日は京都駅の近くで15時半まで予定がある。この時間から鈴鹿に向かうのは難しいかと思っていたが、調べてみると京都駅から四日市に向かうバスが15時50分にある。土山のSAには16時52分に到着するので、タクシーを予約する。登山口となる黒滝には17時過ぎには到着することが出来るので、日没までには御所平に到着することが出来るだろう。
京都を出発したバスが新名神に入り、甲賀に差し掛かると左手の車窓には雲のほとんどない晴れ空の下に雨乞岳、御在所岳、鎌ヶ岳、仙ヶ岳といった鈴鹿の山々を俯瞰することが出来る。仙ヶ岳と鎌ヶ岳の間には小さなピークが連なっており、細かいアップダウンを繰り返すことになりそうだ。
土山のSAでバスを下車するとSAからの出口が分かりにくかったが、上り線との間の細い通路から外に出る道がある。外に出ると丁度、予約したタクシーが到着するところだった。運転手に行き先を告げると、行ったことがないので全く場所がわからないという。予約をした時に行き先を告げているのだが、運転手に行き先が伝わっていなかったのかもしれない。グーグル・マップを立ち上げて運転手に道案内をする。黒滝までグーグル・マップの経路案内の通り15分ほどで到着する。集落の中央を流れる田村川の対岸に惣王神社が見えたところでタクシー下車して歩き始める。
惣王神社の海内に入ると立ち並ぶ大杉に圧倒される。社殿の左にある杉はとりわけ大きい。後で調べてみると樹齢は500年ほどと推定されているらしい。
神社の手前の細い踏み跡が登山道のようだ。「ベンケイ・船石→」の小さな道標がなければおよそ登山道のようには思われない。尾根芯を進むようになるとすぐにも明瞭な道が現れる。背後から差し込む夕陽が整然とした杉の植林を黄金色に照らす中、黙々と急登を登る。ca550mを過ぎると途端に斜度が緩くなる。
尾根が平坦になると斜面の南側には広々とした伐採斜面が現れる。登山道は北側斜面の薄暗い植林の中を進むが、南側の伐採斜面に出てみると正面に鈴鹿南部の山並みの展望が広がる。植林との間には古く錆びついた防鹿柵が張られているので、登山道に戻り先に進む。
植林の尾根を延々と進むと、斜面の北側から強い風が吹き付ける。植林の小さなピークに山名標が現れる。ベンケイのピークであった。山名標がなければ通過してしまうような地味なところであった。ピークからはほぼ90度向きを変えて左手に下降する尾根を辿る。
(なだらかな尾根、自然林?)
再び小さなピークに向かって登ると突然、東側に大きく展望が広がり、伊勢湾が視界に飛び込んでくる。山頂の周囲には大きな岩がいくつも見られるが、山頂直下のとりわけ大きな岩が確かに舟のような形をしている。このピークの由来となった岩であることが容易に理解出来る。
随所で東側に伊勢湾の展望を眺めながら尾根を北上する。家老平と呼ばれる小さな鞍部に到着する。西側から登ってくる小太郎谷の源頭になだらかな草原が広がっている。景色が非常に良いところで、草原の間にはテン泊に適した平地もあるが、この日は風の通り道になっているようで、強烈な風が吹き抜けてゆく。
再び樹林に入ると、今度は風の影に入ったのだろう。斜面を登っている間は風はほとんど感じられない。稜線に出ると樹木のないザレ地が広がり、一気に鎌ヶ岳から御在所岳、雨乞岳の展望が広がる。稜線上では夕陽を浴びた叢林が橙色に染まっている。
尾根の端は樹木のない好展望のピークとなっており、甲賀方面の展望が広がった。このあたりはテントを張るには格好のロケーションと言えるだろう。風がなければ・・・の話てある。
尾根芯を外して右手の三重県側に少しでも降ると風が途端に弱まるようだ。日没まではまだ時間があるので、とりあえず御所平のピークまでは進んで、その間でテントを張るのに良い場所を探すことにする。
ミズナシと呼ばれる小ピークp832を過ぎた鞍部に下降すると、広い尾根の右手には疎に樹木の生える草原が広がっており、草原の間にはところどころでテントを張るのに良さそうな小さな平地が散在する。
御所平へと緩やかな登り返しに入り、自然林の疎林の中に入ると林床は一面にコバイケイソウが繁茂している。御所平のピークは小さな草原状の広場となっている。ピークを過ぎ得ると再び樹木のないザレ地が広がっている。斜面の西側では夕陽が沈んでゆくところだった。尾根のわずかに南東側に降ったところで程よい平地を見つけることが出来るので、早速にもテントを張る。
御所平の叢林からは終始、凄まじい風鳴りの音が聞こえてくるが、テントを張ったところはうまい具合に風の影になっているようだ。陽が沈むと急速に気温が低下してゆくの感じられる。外に出て写真を撮っていると手が悴かみ始める。
テントの中に入ると手の悴みもすぐに治まり、まずはビールを開ける。今回は山の上で赤ワインと共に楽しむべく、和牛のロース、ローストビーフ、ソーセージを用意しておいたのだが、それを冷蔵庫の中にすっかり置いてきてしまったのだった。夕食はミックス・ナッツとおにぎり一つというすっかり寂しいものになった。陽が沈むと東の空から昇ってくる満月がテントを明るく照らす。それほど食欲がないせいもあり、赤ワインの酔いが回ると風鳴りの音を聴きながら
早々に眠りに落ちていった。
【二日目】早朝、4時前に目が醒める。気がつくと風鳴りの音はかなり弱くなっている。テントの外に出ると東の空の一端が茜色に染まり、美しいブルーアワーが始まっていた。テントの中は結露がひどく、びしょ濡れに近い状態だった。シュラフをたたみ、荷物を整理するすぐにも空は明るくなっていく。仙ヶ岳の上にかかる雲が朝焼けの鮮紅色に染まってゆく。残念ながら日の出の方向と仙ヶ岳が重なっているので、ご来光は期待できない。テントを撤収すると早々に出発する。
稜線の叢林を抜けると広くなだらかな尾根には再び樹木のないザレ地が現れる。所々に馬酔木の茂みが現れるようになるが、ヨコネと呼ばれる小ピークまで早朝の好展望の眺めながらの快適な尾根歩きが続く。唯一、気になるのは尾根の中央に古い倒れた防鹿のための金網と杭が粗大ゴミとなって続いていることだ。
ヨコネを過ぎると樹林帯の中に入る。仙ヶ岳への尾根を登ってゆくと紅花の満天星(ドウダン)躑躅や更紗満天星が数多く咲いている。登るにつれて御所平から辿ってきた尾根の展望が広がり、尾根には仙ヶ岳の大きなシルエットが投影されている。仙ヶ岳のピーク立つと四日市の市街の展望が飛び込んでく流。その彼方、伊勢湾の上で白い光を放つ朝陽が眩しく感じられる
仙ヶ岳から北の稜線には宮指路岳にかけていくつもの小さなピークが並んでいる。ここは単なるアップダウンではない、それぞれのピークがそこそこの鋭鋒である。一番奥で、ピーク近くにザレ地と大きな岩が見えているのが犬返しの険と呼ばれるところだろう。ピークに登り返す度に展望が広がるが、今回はスピード重視でトレラン・シューズを履いて来ただが、これがザレ地においては滑りやすいので慎重を要するところだ。
犬返しの険からの宮指路岳への鞍部はザレた崩壊地の急峻な下降となっている。ここが今回の南鈴鹿の縦走路における核心部だろう。宮指路岳への登り返しも壁のようなザレ地の急登に見えるが、実際に歩いてみると登山道が上手くつけられているせいか、それほど困難を感じることもなく気がついたらザレ地を通過していた。
宮指路岳からは今までの険阻なアップダウンが嘘のような穏やかな樹林帯の広い尾根道が続く。
所々で登山道に落下したシロヤシオの花を見かける。その度にあたりを見回すが、残念ながら花が残っている樹を見かけることはなかった。P903を過ぎると尾根の左手の源頭から水が湧き出しているのが目に入るので、源頭に下降して清冽な清水を汲む。
水沢峠に到達すると峠越えの古道が越えている。滋賀県側の谷から水音が聞こえるので、古道を辿って少し峠から下ると豊富に水が流れる小滝が目に入る。水沢山に登り返すと山頂が近づいたところで上から降って来られる男性と出遭う。昨日以来、初めて出遭う登山者であった。
水沢岳のピークからはいよいよ鎌ヶ岳に向かって伸びる鎌尾根が視界に飛び込む。尾根の先にある鎌ヶ岳は荒々しい岩肌を見せており、その天を衝く鋭鋒がより一層、険阻に見えるのだった。気になるのは尾根が鎌ヶ岳に向かって大きく曲がったところで大きな岩のあるピークがある。衝立岩と呼ばれる岩であり、このピークを越えていくことになるようだ。小さなアップダウンを繰り返し尾根を進む。ca1040mの鎌尾根V峰と呼ばれるピークで大きく東に向きを変えるとといよいよ間近に衝立岩が迫る。登山道は衝立岩を北側から巻くように上手くつけられている。衝立岩を越えると鎌ヶ岳に向かって尾根は徐々に高度を上げてゆく。
岳峠と呼ばれる山頂手前の峠の手前の小ピークに至ると山頂に人の姿が見え、人の声も聞こえるようになる。岳峠の鞍部に下降し、いよいよ鎌ヶ岳の登りに取り掛かる。登山道には石の階段が続いており、険阻な見た目とは裏腹に順調に山頂に向かって登り詰めることが出来る。
鎌ヶ岳の山頂は驚くほと数多くの登山者で賑わっていた。山頂からの好展望を確認すると早々に山頂を辞して、先に進むことにする。武平峠からも数多くの登山者が続々と登ってくる。
武平峠を過ぎて御在所岳への登り返しに入ると最初は急登が続く。そろそろ疲労が溜まってきたのだろう、ペースが少し落ちるように思われる。この日の前半の最後の登りとなるので、辛抱して登るうちに尾根の斜度もゆるくなり、やがて山頂部の舗装道路に飛び出した。
長者池に寄り道する。小さな池であるが、水が沸いているのだろう。池が湛える水の清冽さに驚く。山頂部を走る舗装路が近くになければ神秘的な雰囲気が漂う池だったことだろう。
御在所岳の山頂が近づくとこちらは鎌ヶ岳以上の人の賑わいだ。ロープウェイで登って来られる登山者以外の人が多くいるので当然のことだ。一等三角点の前のベンチで休憩していると何十人という大勢の登山者のパーティーが到着し、三角点の石碑で記念写真を撮られる。
御在所岳の山名標がある展望台に進み正面に雨乞岳とイブネを眺め、鈴鹿北部の山並みの展望を確認すると地獄谷へと下降する。明瞭な踏み跡は見当たらなかったが、山頂直下の現頭部はミヤコザサと思われる丈の低い笹が繁茂しており、どこでも自由に歩くことが可能だ。谷の源頭を降っていくと勢いよく水が湧き出しているので、再びここで水を補給する。水流に沿って下降するとすぐにも明瞭な踏み跡が現れる。
地獄谷というおどろおどろしい名称とは裏腹に穏健な雰囲気の谷で下降するのに困難はない。やがて滝音が聞こえてくる。大きな段爆が目に入るが、滝の右岸に踏み跡が続いている。踏み跡を辿って滝を巻いて下ると、イワカガミの花が多く咲いていた。上水晶谷に合流すると歩きやすい登山道に合流する。すぐに前を行く単独行の男性に追いつく。首に白いカラーを巻いておられるので、遠くからでもBさんだとすぐに判った。
根の平峠への道への分岐に至ると後は右手の小さな尾根を越えると鈴鹿の上高地と呼ばれる目的地だ。緩斜面には自然林の疎林が広がり、随所に美しい緑の景色が広がっている。小さな沢を渡渉し、神崎川の河岸に向かって下降すると無事オフ会の人の集まりが目に入った。
会場に到着するとGooさんがいつも持参してくださるブドウを頂く。汗をかいて疲労した体には甘酸っぱいブドウが何とも有難い。会場のすぐ近くでは程よい倒木があったのでまずびしょ濡れのテントを乾かさせて頂く。後からBさんも到着される。オフ会においてはズッキーニとハナビラタケ、マッシュルームとハムで蒸し焼きを作って、他の参加者の方にも差し入れさせて頂く。本来であればハムの代わりにソーセージか牛肉で調理したかったでが、致し方ない。
オフ会の歓談の時間は瞬く間に過ぎる。13時半過ぎに解散となる。帰路は武平峠から来られたBさんに同行させて頂くことにする。上水晶谷を渡渉し、神崎川上流のコクイ谷を目指して広い河岸段丘を歩いていると後ろからGooさんに追いつかれる。下山後にGooさんが車で武平峠まで送るから武平峠まで行く代わりに根の平峠を越えて朝明に下山することにしたらどうだとGooさんが提案される。確認してみると武平峠までの途中にある沢谷峠は標高950m近くあるのに対して、根の平峠は標高800mほどであり、ここからは緩やかな歩きやすい道が続いている・・・ということでGooさんのご親切なお申し出に従うことになった。
以前にこのオフ会からの帰りにGooさんと共と根の平峠からブナ清水を経て朝明まで下山したことがあったが、根の平峠から朝明に降る道は歩いたことがない。確かに歩きやすく緩やかな下りの道が続いていた。朝明渓谷の透明な水流を眺めながらBさんのベースでのんびりと朝明まで降る。
朝明の駐車場に到着するとオフ会を主催されたYさんがおられた。今日はコクイ谷はかなり増水しているだろうから、このルートを選択したのは賢明な判断だったでしょう、とのことだった。Gooさんに武平峠まで送っていただいた後はBさんの車で近江八幡の駅まで送って頂く。GooさんとBさんに深謝である。
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