悪条件の中で難しい判断を迫られた西穂高岳
- GPS
- 26:25
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 1,920m
- 下り
- 1,903m
コースタイム
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 9:24
天候 | 6/20 : ガスのち雨 6/21 : 雨時々止む |
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過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
写真
感想
あまり天候がよくない中、西穂高岳まで行ってきました。
昨年にここから奥穂まで縦走しているので、特に今回目新しさはなく、2日目に焼岳経由で下山する予定だったのですが雨のためロープウェイで下山した次第です。
西穂山荘から西穂独標までは、独標ピークの手前を除けば普通の登山道が整備されています。標高が高いなどありますが、独標まではまあ一般登山者が入る領域です。
独標から先は一気に様相が変わり、岩稜歩きとなります。これはクライミングの基礎訓練を受けていることが条件とになります。下手に未経験者が入ると、自分自身の滑落はもちろん滑落した身や落石で他の登山者に危害を加えてしまうこともあります。
ましてや登山初心者だけのグループが安易に入ることなどあってはいけない、それくらいの世界になります。
さてそんなルート、今回はガスで視界もあまりよくありません。また夕方から雨が降る予報です。そして今回もう一つ、メンバーの一人が仕事の疲れが蓄積してか、体調が思わしくなくペースが上がりません。これは下山が遅れること、集中力の低下で滑落や落石のリスクを高めます。
ペースが遅いからと言って、どんどん先に行ってプレッシャーを与えるのはよくありません。焦りが事故を引き起こします。間隔が開いたと思ったら、追いつくまで待ってメンバーの様子を観察します。
そして自分も含めて他で手伝えることがあれば「強引なくらいに」積極的に手伝います。ペースの遅れている人の荷物を軽量化することは効果があり、今回も早々に空身になってもらいました。
そんな時にリーダーや他の誰かに余裕があることが大切で、それは精神的、体力的な余裕を意味します。下山予定時刻に間に合わないからと言って焦ったり、遅れているメンバーを叱責したりしないこと。荷物を代わりに持ってあげる余裕が欲しいです。
余裕というのは、判断を誤らずにベストな判断を下すためにとても重要なことです。
余裕のある人・・・パーティーを組む場合に誰がCLをするか?の判断材料になると思います。体力は普通でもそのルートに知悉しており不安がない、というのも一つの「余裕」の要素です。
さて西穂高岳の本峰が近づくにつれ、しばしば小雨が降るようになりました。そしてしばらくすると遠くで雷鳴が聞こえるようになり、この条件下で撤収すべきかどうか非常に悩ましい状況に変化してきました。
その時の私の判断は、ここで雨が強まることを警戒して引き返しても、降られることを避けられるわけではなく、その確率を減らすことだけなので、まだ進もうというものでした。
また雷鳴については、稲妻は確認されず、雷鳴もかなり遠いものでしたので、一旦は様子見としました。
メンバーについて空身になってもらってからは、安定したペースで進んでおり、今のところは大丈夫というものです。
雨は時々小雨という程度、雷鳴も遠いまま、無事に西穂高岳ピークに到着しました。全員で握手、しかし落雷のリスクがあるため早々にピークを去ります。
途中から雨が強まり、岩の表面も濡れてきます。幸い、フリクションがよく効くもので、少々の濡れはあまり影響しなかったのは幸いです。天候が悪くても、ペースを守って確実に岩場をクリアして行きます。本人の集中力が切れなかったのは何よりでした。
西穂山荘戻りは当初計画の7分遅れで済み、片付けて夕食にし、早めに就寝しました。
翌朝は残念ながらやはり雨、時々強く降ります。当初計画では焼岳経由で下山する予定でしたが、悪天候、メンバーの体調不良、ロングコース、重い荷物とずらりと悪条件が重なってますので、焼岳は中止にしてロープウェイから下山することにします。
昨日の体調不良は復活したかな〜と思いつつ、雨で濡れた下山路を歩くペースはかなり遅めです。終盤でまた空身になってもらうことにして、ザックを前に抱きかかえて運びました。あとで計量したら私の分が16.5kg、メンバーのが11kgなので雪山スキーテント泊くらいの重さです。これも訓練、ちょうどいい運動です。
もともと今回は軽量化に努めましたが、もう一個ザックを持つことを可能にしましたので、よかったと思います。
こういう悪条件が重なった時の判断というのはとても難しいもので、単一の悪条件であれば大半は対処し得るものですが、複数の悪条件が重なるとそれは撤退を真剣に考えないといけない状態になります。そんな時に安全方向に振ることはある意味容易ではありますが、あまり安全方向に振りすぎると面白くなく、また訓練にもなりにくいものです。
悪条件が重なった今の状況に、さらに追加で何か問題が起こった時にどうするか?それを想定しながら、撤退すべきかどうかを判断する、そういう判断方法も参考になるかと思います。
なかなか難しい判断を強いられた山行ではありましたが、全体的には西穂高岳にもたどり着け、とても楽しいものでした。また行きたいと思えるような内容を実現することも、とても大切なことだなと思いました。
同じ日の11峰あたりですれ違ってますね。
独標から先は初めてだったので、かなり慎重にいきました。日帰りのため時間と体力との戦いとなり、途中雷鳥もみれて天気は悪いながらも楽しめました。本峰からの下山時は足がつり雷も鳴っていたのでかなり焦りました。雨も降ってきてなんとか最終のロープウェイには間に合いました。まだまだ、日帰りの体力はないので山荘泊してゆっくりしたいものです。
コメントありがとうございます。
残念ながら私は雷鳥には遭遇しませんでした〜天気が悪いのでたくさんいるかな?と思っていたのですが。
そうですね、時間が作れれば是非山荘でゆっくりしたいですね。生ビールがまだ始まってなかったのが残念でした
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