富士山 吉田ルート 悪天候に阻まれ御朱印コンプならず


- GPS
- 16:23
- 距離
- 14.3km
- 登り
- 1,533m
- 下り
- 1,529m
コースタイム
- 山行
- 2:15
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 3:05
- 山行
- 5:25
- 休憩
- 2:25
- 合計
- 7:50
高山病その他ケガ・病気に注意を払いつつも、そこそこのハイペースで登頂・下山できました。
もっとも、コースタイムより早いことが必ずしも良いことばかりとは限らないので、
今回はたまたま結果オーライというだけであって、
高度順応のためにはもっとペースを落とすべきだったとも思います。
(実際に、仮眠中に少し気持ち悪くなっているので)
富士登山の楽しみとして、登頂後の「お鉢巡り」を期待していたのですが、
山頂の天候は、とてもそんな状況ではありませんでした。
頂上奥宮に参拝し、御朱印をいただくこと。
そして日本最高地点の剣ヶ峰3776mに立つことができなかったのは残念です。
天候 | 1日目 : 曇り時々小雨 夕方まで強風 2日目 : 山頂付近は暴風・濃霧。8合目以下は晴天で風も穏やか |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
五合目解散後はフリープランで登頂、下山。 スバルラインほか主要アクセスルートは、ハイシーズン中はマイカー規制がかかります。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山届は五合目でも提出できると思いますが、静岡・山梨両県警では事前に「コンパス」ほかネットでの提出を呼び掛けています。 登山道・下山道ともに非常によく整備されていますが、慢心は禁物。 地図や看板をよく読んで、ルートを間違わないように歩きましょう。 特に夜間は、道脇で休憩しようとする人についていってしまうなど、意外にもルートをロストしてしまいがちです。 活火山ですので、常に最新の噴火警戒レベルをチェックしましょう。 落石やスリップによる事故が多発していますので、平時でもヘルメットの着用が奨励されています。 |
その他周辺情報 | 下山後は、富士吉田IC近くの日帰り入浴施設「泉水」を利用しました。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
通常の山歩きでは考えられない時間からのスタートというのが、いかにも富士登山ならでは、といったところでしょうか。
五合目の時点で、既にかなりの強風が吹いていました。
そりゃあもう正直、バスを降りた時点で心が折れそうになったくらいに。
小御嶽神社オリジナルの御朱印帳もありますが、今回は富士山本宮浅間大社の御朱印帳にいただきました。
今回は「富士山の御朱印を集める」というのも目的の一つです。
山頂奥宮の御朱印を目指し、いざ日本最高所の御朱印めぐりに出発!
保全協力金を支払い、いよいよ人生初の富士登山にアタック開始!
ちなみに保全協力金のゲートにて、
「六合目以上はここよりも更に強烈な風が吹いています」
「今から八合目の山小屋を目指しても、到着するのは日没後です」
「未経験の方の単独登山は、容易ではありません」
……等々、ありがたい忠告をいただきました。
(心が折れそうに…… part 2)
スバルライン方面から来た場合、向かって右が六合目・山頂方面への登山道で、左が吉田口五合目へのトラバースルート。
写真の2人組は私が到着するまで、どちらのルートが山頂までの登山道なのか相談していました。
どうやら「スバルライン五合目(河口湖口)」を「吉田口五合目」だと思い込んでいて、看板に惑わされてしまったようです。
まぁ、確かにスバルラインを吉田口として総称しているのも紛らわしさを助長しているけれど……。
ううっ、さっき忠告されたとおりの強烈な風!
遮るものが何も無いだけに、風がダイレクトに己の身体にぶつかってくるのを感じます。
(心が part 3)
登りづらい砂地から打って変わって、七合目からは溶岩のゴツゴツとした岩場が続きます。
トレッキングポールならいっそザックに片付けてしまうのも手ですが、金剛杖ではそうもいかない。
でも、せっかくの富士登山ならやっぱり金剛杖も捨てがたい。
何とも歯がゆい感じですが、昨今はそんな方々のための便利グッズもあるのです(後述)。
小屋の名は「聖徳太子が甲斐の黒駒に乗って富士山に登ったときに、このあたりで休息した」という伝説に基づきます。
馬に縁があるため、焼印も馬蹄型です。
カレーはもちろん、お茶さえもおかわり不可(別料金)。
翌朝の弁当(助六寿司)とセットで渡されました。
そして食べたらさっさと仮眠を取ります。たとえ眠くなくても。
結局、うたた寝と覚醒を繰り返しているうちにこんな時間に。
起きている間は何とも無かったのに、睡眠中に呼吸ペースが乱れたせいなのか、なんとなく気分が良くない。
まだ頭痛こそ無いものの、このまま無理に寝ても悪化して高山病になりかねない。
そう判断し、身支度をして山頂を目指すことに。
夜の闇の中、小屋の明かりほど心強いものはありません。
この時点ではまだ、想像していたほど寒くは無かったのですが、風が強かったです。
そしてこのあと、富士山の過酷さを思い知らされることになるのです。
江戸屋は須走ルートに属する山小屋です。
本八合目は須走ルートとの合流地点で、ここから山頂までいわゆる「御来光渋滞」が発生します。
そしてこれより上は、浅間大社奥宮の境内地となります。
当然ながら、神社の入口はまだ締め切られています。
さすがは日本最高所の山頂なだけあって、猛烈な風!
風上に向かって歩いていると押し戻されそうになるほどです。
御来光は4時半頃の予報。それまでに天候は収まるのでしょうか……?
富士山の火山灰を練りこんだ、独特の色の朱肉が特徴です。
久須志神社はもともと薬師如来を祀る薬師堂でしたが、明治の神仏分離を経て「薬師」→「久須志」と読み替えられ、奥宮の末社となりました。
なお現在の祭神は大名牟遅命と少彦名命ですが、この二柱の神はいずれも薬師如来を本地仏としていました。
ついさっきまで顔を出していた太陽も、次の瞬間にはこの通り。
決断は、自分自身でも驚くほどに、あっさりと下りました。
「下山しよう」と。
このペースで行くと、7時台には五合目に到着できそうです。
しかし、折角ここまで来たのに、このままでは終われません。
八合目の山小屋、元祖室に併設された、神道扶桑教の祭祀場です。
実は、こちらでも御朱印をいただくことができます。
扶桑教は江戸時代の富士講を起源とする教派神道の一派です。
信者たちは今なお白装束の伝統的な出で立ちで、富士山登拝を行っています。
その上に建てられた富士登拝のベースキャンプこそが、現在の山小屋「元祖室」のルーツなのだとか。
夏の間は扶桑教の神職によって祭祀が執り行われ、御朱印を拝受することもできます。
今回は神職さんのご好意で、昇殿して御祓いを受けることができました。
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
靴
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
ヘルメット
|
---|---|
備考 | ストックは七合目以上の岩場では邪魔になるので、ザックに収納しておくと手が空いて便利でした。 岩場の登りでは手袋が有効です。できれば防水性のものを用意したいところですが、無い場合は軍手を2組以上持参すると手先の体温低下を防ぐことができます。 下山時はストック(できれば2本)を使って火山灰の上を滑るようにして下りると楽です。 その際は靴の中に小石が入らないように、必ずゲイター(スパッツ)を履きましょう。 巻き上がる砂や火山灰から顔を守るために、ゴーグルとマスクもあると便利です。 何と言っても標高日本一の高山で、しかも独立峰です。突然の天候悪化に備えて、防水透湿素材のレインウェアを必ず用意しましょう。 レインウェア(私が使用したのはモンベルのストームクルーザー)は、ウインドブレーカーとしても非常に有効でした。 特に山頂アタック中は、天気の急変に備えてあらかじめ身に付けておくことをお勧めします。 |
感想
私が人生初の、それも単独での富士登山に挑戦するにあたって、家族に、そして山の師匠に約束したのは、
「無理はしない」ということ。
その約束の上で、久須志神社から奥宮へ、より具体的には成就岳から伊豆ヶ岳に続く狭いルートを、猛烈な横風が吹いている。
果たして今の自分は、ここを越えられるのだろうか?
出した結論は
「無理」。
だから素直に下山することにしました。
悔しくない、と言えば嘘になりますが、
それでもあの状況は、言ってしまえば不可抗力で、あの瞬間、自分にはどうしようもできないと悟ったわけです。
そうはいっても、
「逆回りはできなかったのか?」
「もう少し待って、様子を見ても良かったのでは?」
などなど、色々な思いが脳裏をよぎります。
そんなモヤモヤを抱えながら下山道を進み、八合目の天拝宮まで下りてきました。
天拝宮で扶桑教の神職さんに、
「山頂までは行きましたが、風が強くてお鉢巡りは諦めました」
と素直に告げたところ、
「七合目、八合目で断念される方々も大勢いる中、山頂まで辿り着いて、御来光を拝むことができたのは、素晴らしいことです」
と、諭されました。
御朱印をお願いしている間も、
「すぐに御朱印帳を埋めてしまうのでは、勿体無いですよ」と。
私が、「そうですね。これは『また来なさい』、という思し召しかもしれませんね」
と返すと、
「まずは本日、無事に下山されますことを」
と、温かいお言葉で送り出してくださいました。
そのあとは、晴れやかな気持ちで五合目まで下山できたことは言うまでもありません。
『勇気と蛮勇は違う』、と言います。
私が下した、「このまま進まず、下山する」という決断は、果たして正しかったのか、それとも……。
きっとこの先、私が登山趣味を続ける限り、あの時のことを思い出すでしょう。
ですが、一つ確実に言えることは、
結果としてケガや病気も無く、平穏無事に下山することができたのであり、
そういった意味では、あの時の決断は決して間違いではなかったと思っています。
今回の富士登山で、自分の中で大きな自信が芽生えたと思います。
その自身を、慢心にしてしまわないよう、今後も精進していきたいと考えています。
boolさんこんばんは。
同じ日に富士宮側から登っていた者です。
僭越ながら、、下山の判断は正しかったと思います。
お鉢は横殴りの風でした。それに、
あの日御来光を拝むには吉田ルート側がベストでした。
山頂南側に居て太陽が見えたのは僅かの時間です。
お写真を拝見でき嬉しく思います。
烏帽子岩神社の事も存じませんでした。ありがとうございます。
djorkael様、はじめまして。boolと申します。
コメントありがとうございます。
富士登山は私にとって1年越しの夢でしたので、
それだけに、あと少しで剣ヶ峰に届かなかったのは悔しい限りです。
再チャレンジの機会があれば、
ぜひ次こそは天気の良い日を狙って、富士宮ルートで登ってみたいと思います。
吉田ルート側の御来光は、雲の隙間から辛うじて見えました。
山頂の誰もが諦めかけていた瞬間の出来事でしたので、幸運だったと思います。
誰からともなく、「万歳!」コールが巻き起こっていました。
拙い写真で恐縮ですが、ご覧いただきましてありがとうございます。
天拝宮・烏帽子岩神社のことは、私も登山の1週間くらい前に偶然知りました。
八合目元祖室に隣接する小さな神社で、ほとんどの方が素通りされますが、
富士登拝の歴史を語る上で、とても重要な場所とされています。
次回もし吉田ルートで富士山に登られる際は、ぜひ足を止めてみてください。
それでは今後とも、良い山旅を。
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