本社ヶ丸―三ツ峠山


- GPS
- 08:50
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 1,587m
- 下り
- 1,547m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
復路:登山口に数台分、少し下に別の駐車スペースも。富士急三つ峠駅へは徒歩40分 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口に指導標はあるが、入って間もなく右に曲がって山腹に取り付くのを見落としやすい。前方の沢に木橋が見えるので幻惑されるが、ルートではないので注意。この道は昭文社山と高原地図で実線で記されているものの、その後も所どころススキに覆われていて難儀した。傾斜もかなりきつい所がある。 本社ヶ丸から清八山にかけては岩場があり、下りは少し緊張する。 下山すると前を通りかかるグリーンセンターの風呂のお湯はややぬるめ。温泉ではなく湧水の沸かし湯とのことだが、ゆっくり入れる。食堂もあり。 【注意】駅でブヨに刺されました。前年は宝鉱山のバス停でも。朝夕が危ないそうですが、この時期この一帯は要注意です |
予約できる山小屋 |
三つ峠山荘
|
写真
感想
【独り言】
梅雨の晴れ間を待つうちに梅雨が明けてしまった。待ちに待った晴れ間は良いが、いきなり猛暑の予想。少しでも涼しい所をと、少々遠いが標高が高めの三つ峠で富士見物としゃれ込むことにした。同じ発想で訪れたのが去年6月だから、もう1年以上たっている。
8時前に笹子駅着。6、7人のハイカーが降り、笹子雁ヶ腹摺山から氷川渓谷へ下りるという1人と言葉を交わしたが、我がルートを辿る人はいない様子。早くもぎらつき始めた日差しの中を駅の裏へ向かい、東の船橋沢ルートだけを教える指導標に多少不安を覚えつつ歩いていくと、バンガローの先に登山口の指導標を見つけて安心した。
ただ、その安心が慢心を呼んで、分岐を無視してずんずん直進して丸木の木橋を渡り、沢筋を詰め始めてから「はて?」と気づいた。山と高原地図では登山道はすぐ沢をそれて西側の尾根に突き上げるはず。潔く引き返すと、「自然を守ろう」と書かれた白い標柱の上部に小さな右向きの矢印があり、急登する踏み跡も見えた。
地形図にない登山道を歩き始めると、いきなり足元に真っ赤なキノコが見えた。“殻付き”の見事なタマゴタケ。梅雨明け直後とあって、湿った地面からはさまざまなキノコが顔を出しており、図らずも「キノコ観察会」が楽しめた。解説者がいないのが惜しいところで、持ち帰って食べるわけにもいかなかったのが残念だが・・・。
送電鉄塔をやり過ごし、眺望の利かない林内でキノコとの対面を励みに標高を稼いでいく。尾根道を境に概ね西が雑木林、東が植林帯という形。歩き始めて1時間、ミズナラが目立ってきたあたりで標高1000mのピークに着いた。誰かが「庭洞丸(にわがほらまる)」と山名を手書きしてある。その先、間もなく林道交差という所でススキの密生に行く手をはばまれ、40mほど掻き分けて歩いた。
林道に出ると指導標があったので、それに従い左へ少し歩いてから山腹の直登に入る。傾斜が緩み、林道から20分あたりで2本目の送電鉄塔へ。西の方に昨年、清八山へ登る時に通りかかった水力発電所が見えるが、鉄塔の下は道形が見えないほどのススキ。ままよと直進して林の中に戻り、タオルの汗を絞りつつひと頑張りして稜線にたどり着いた。1377mピーク、これまた手書きの山名標によれば「角研(つのとぎ)山」とのこと。残念ながら眺望はない。
ともあれ稜線には着いたので少々気が軽くなり、時折吹く山の涼風にも励まされて高度を稼いでいくと第3の送電鉄塔着。行く手の三つ峠が青空に映えて少々感動した。八王子駅付近で頭の見えた富士山も見えるのでは、と期待して本社ヶ丸によじ登ったが、それは甘かった。比較的視界は良好だが、御坂山、黒岳方面も一部頭に雲を頂いている。
さて、この山の西側は地図に「危」印のある岩場になっている。誰もいない頂上でゼリー飲料を採って大休止し、元気を取り戻してから慎重に下った。清八峠から清八山へ。稜線までの独り旅と異なり、時々大小のパーティーに出会う。そろそろ昼時だが、みな山頂の直射日光は避けて休憩するようなので独り清八山頂を占拠して昼食とした。暑いのと、水の消費を減らすためにカップ麺はパスし、握り飯と魚肉ソーセージで済ませた。この間、明日は富士山に登るというトレラン青年ら2人が抜いて行った。
こういう天候の場合、雷雲さえ発達しなければ高山は午後になると晴れるという。それに望みを託し、昨年も通った尾根道を三つ峠へと急ぐ。展望の効かない稜線だが、下界の猛暑と比べれば別世界のようなブナとミズナラの林間コースだ。三つ峠の一峰・御巣鷹山までの間には小ピークが4つ。二つめが大幡山、四つ目が茶臼山だが、いささか疲れて茶臼山をきちんと認識しないまま御巣鷹山への登りについてしまった。やや南西に巻くような感じで緩い坂道を辿ると、左に最後の急登が現れる。ツガの木が混じる林の道を詰めると、ついに頂上の電波塔が見えた。
汗をぬぐい、つまらない山頂を早々に辞して幅の広い道を下る。昨年はガスで拝めなかった開運山が間近に見えた。高山植物の咲く一角を過ぎて林を抜けると、また電波塔。少し下ってやっと視界が開け、左に頂上展望台への階段が見えた。ハイカーが何人もたまっていて、「あ、少しだけ見えてきた」と声がする。正面の雲の塊から富士が頂上の一部を覗かせたところだった。リュックを下ろしてカメラを構える。見るうちに、少しずつだが山頂の形がはっきり見えてきた。足下には富士吉田の町並みや富士五湖の一部などのパノラマが広がる。
予定より長居をして待ったが、そろそろ下山のリミットタイムになった。昭文社の地図「大菩薩嶺」の圏外なので地形図と案内板を頼りに達磨石の表口登山道を目指す。適当に歩いていたら四季楽園という山荘に至り、達磨石経由三つ峠駅の道標を見つけた。傍らには清涼飲料水とビールの自販機も! 水が乏しいので麦茶か何かをと思ったが、ビール以外はすべて売り切れているので、仕方なく?ビールを飲んだ。向こうに屏風岩の絶壁を登るクライマーが望める。
木無山寄りの展望台で富士山に最後の名残を惜しんで下山。立派な木の階段を下り、屏風岩の下へ向かった。途中、岩壁から水がほとばしり出ているので、コップですくって飲んだ。ビールを買うまでもなかったと反省。垂直の岩の下にはリュックが置かれ、何本ものザイルが上に伸びている。講習会のようなことをしているグループもいて、声を掛けて写真を撮らせてもらった。
急斜面に伸びる登山道だが、立派な木橋や階段など整備は良い。クライマーたちのさざめきが遠くなれば、赤い涎掛けの八十八大師。一字一石供養塔ではまっすぐ下りかけたが、左へ戻るように曲がるのが正解だった。標高1500m付近で「この先急坂」という注意看板が現れたが、岩場という訳ではない。日は傾き、尾根の東側へ回り込んだ時は林の中の暗さが際立つ。しかも西寄りの風が遮られるので暑い。
さすがに腿が疲れてきたので、所どころにあるベンチがありがたい。標高1200m余で「股のぞき」着。富士山のビューポイントだが、相変わらず雲から少し覗いている程度だ。そして、腕時計の標高表示が1000m余の所で「登山口」の林道に着いた。さらに20mほど下ると欄干のある頑丈な木橋があり、舗装道路わきの数台分の駐車スペースに至る。
はて、ここは達磨石? 06年更新の地形図によると車道は標高850m付近までで、達磨石は同950m付近の登山道沿いにあるはず。車道が延びたのかと思って下っていくと東屋やトイレが見えて、「いこいの森」に着いてしまった。
ともあれ、早く風呂に入りたいので舗装道路を膝に気を付けながら飛ばす。右に大きな堰堤を見て道路が右折すると山祇神社があり、間もなく三つ峠グリーンセンターの案内が見えた。リュックをフロントに預け、ぬるめの湯に浸かる。小学生の団体が合宿中?で、うるさい上に湯舟へ飛び込んだりしたので一喝してやった。
夕食を採ってから三つ峠駅へ向かう。徒歩15分ほどだが、標高600m余の山里の夕方はほどほどに涼しい。暮れなずむ西の空に、山では見られなかった富士の全容がシルエットのように浮かんでいた。
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