ACL 再建160日 唐松沢〜不帰沢(敗退)
長野県
山小屋サン
体力度について
- GPS
- 12:58
- 距離
- 24.5km
- 登り
- 2,011m
- 下り
- 2,070m
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- 山行
- 4:46
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 4:46
- 山行
- 8:55
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:55
| 天候 | 曇り時々晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2024年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
写真
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不帰�喫�尾根末端の壁。わりと岩がしっかりしてるところも多くて、わざわざ登りにくるほどではないものの積雪期にキャンプしながら登るなんてのも楽しいかもしれない。
氷河の本体にたどり着いた。ここまでの障害物競争でこの調子ではトップアウトは無理と踏んでいたが一応弱点を見つけてピッケルを振るって氷河に乗ってみた。
アイゼンなしの地下足袋わらじクライマーにはむりぽ
滝の向こうに天狗東壁も見える。ボロ壁らしいが、ヒマラヤ的なヤバいスケール感がある。(ヒマラヤ行ったことないけど)なお初登者はソロだったらしい。ぞ〜
もう少し早い時期にきれいな雪渓を歩ければわりと難なく行けるのかもしれない。登山体系によれば、本来不帰沢は稜線からのアクセスに便利な沢らしい。昭和の時代には秋までもっとしっかりした雪渓も残っていただろうし
感想
先々週の無名沢以来、ますます自作地下足袋山行が楽しくなってしまい、今度は唐松沢から頂上稜線に出たいと思っていてこの度トライしてみたが、トップアウトは叶わなかった。
前回の通り、南滝を巻いて唐松沢に入る。南滝は二回目の対面であまり威圧感は感じない。やはり登れそうに見えるがこれはまたいつかの課題にして今回は上を目指そう。大人しく南滝を右手のルンゼから巻いて小尾根に乗り上げる。
昼からの出発だったので、南滝を巻いて谷に降り立つともう3時過ぎである。今夜の宿を探さないと。崩落の激しい谷沿いで増水もあるのでキャンプ適地は少ないはず。急がないといけない。
しかしこんな幸運もあるのか、不帰沢との出合におあつらえ向きのルーフボルダーがあり、労せずして雨風しのげる岩屋にチェックインすることができた。この手の山行としてはもう三ツ星ホテルレベルといっていいだろう。
時間も少しあったので、ホテルから足を延ばして唐松沢の上部を見に行ったが、少し登っただけでは氷河は見えない。氷河は確実に縮小しているようで寂しい。不帰一峰の末端には花崗岩の岩の壁もあり、わざわざ来るほどではないけれど遊んだら楽しそうだ。
1日汗かいて気持ち悪かったので、服を脱いで唐松沢の流れに身を沈める。当然ながら恐ろしく冷たいが気持ちいい。風呂上がりに服を着ないで過ごすのが美容の秘訣と田中みな実も言っていた記憶があるが、アラフォーおじさんも1人氷河の谷でこういうキャンプも良いものだ。アナ雪の「Let it go」をうたいながら裸のままホテルに戻る。なんという自由！
軽量化のため火器を持ってこなかったので冷たい食事なのは寂しかったが、岩小屋はバリエーションルートの野営としては豪華だし、ケチらず持ってきた中綿500グラムのシュラフのおかげとても温かく快適な夜だった。
翌朝はまだくらいうちに起きて歩き出す。不帰1峰や天狗沢方面は山スキーでも興味があるので不帰沢を行ってみることにする。
不帰沢は氷河ではないかと目されているだけあって、大迫力の雪渓ハイクができるが、いかんせん秋の残り雪渓は崩落が進んで危険で、側壁に逃げれば崩れやすいしモレーンは迷路のよう。
まず下部に一つ氷塊があるが、氷塊に乗るだけでもそこまでが足元が崩れてなかなかな労力で、氷塊が消えて川底に戻るのもまた厄介だった。けっこうこういう途中のあれこれでどんどん時間が過ぎて行ってしまう。
下部氷塊を突破すると、流水と氷河でシェイプされたモニュメントみたいな花崗岩のナメが顔を出していて楽しい。そうこうしていると氷塊の本体氷河に行き当たった。
末端は大きく氷塊が切れ落ちているので、少し戻って段差の少ないところからアックスを振るって氷河に乗ってみた。
一見するといわゆる雪渓歩きだけれど、アックスを突き立てると秋の氷塊はカチカチに硬くてさすが氷河、といった趣。スプーンカットにうまく乗れば歩行に不安はないものの、氷の上に載っている粒子の細かい泥が滑って肝を冷やすことも。
とにかく周囲はすごいスケール感で圧巻の眺めだ。去年おそらく久しぶりにスキーで滑られたであろう天狗沢は瀑流帯を急傾斜で落とし、その一本上に大滝を落として出合う奥天狗沢も奥にヒマラヤンなテイストのいかつい巨大な奥壁を持っている。奥壁は岩が脆いこともあってほとんど登攀対象になっていないらしいけれど、切れ込んでいるルンゼや雪壁だけでもいいのでそのスケールを味わいながらいつか登ってみたいものだ。
段々クレバスも増えてくる。雲が切れてきて見上げると、氷河が小さくなったせいか、稜線直下はゴルジュ状の険しい地形が露出しているように見える。第一ここまででもすでに困難なルーファイに苦しめられ、しかも今回はアイゼンも持っていない。上部で雪渓が急になってから敗退を決めると敗退行も危険なものになってしまう。
登山体系によればその昔、不帰沢をアプローチに不帰のバリエーションルートが登られていたとあるけれど、山靴にアイゼンが前提であったのかもしれないし、昔は雪が多くてもっと良い状態の雪渓を歩けたのは間違いないだろう。
というわけで、1800メートルで敗退を決め、枝沢の散策などしながら下山した。惜しむらくはもうちょっとだけ装備を奮発してチェーンスパイクくらい持ってくれば光明は見えたかもしれない。とまあ残念ではあったけれど、ACL 再建5カ月で泊装備を背負ってバリエーションを歩き通せたのだから、もう上出来と考えねばなるまい。
ちなみに、まだACL再建から半年もたっていないわりにはだいぶやんちゃな行動をしてしまった。氷河の側壁などは堆積した土砂が非常に不安定で下りは案の定足を滑らせたり足場が崩壊したり散々、唐松沢に合流してからも、南滝の巻きの笹の藪漕ぎなどもとにかく足場が悪く何度も転倒してしまったが、膝は問題なかった。意外と再断裂したりはしないもんだなと感心した(もう少し安静にしましょう)
ACL再建100日ちょっとでアルパインクライミングに復帰し、多くの課題が突き付けられてちょっと先の長さに気が遠くなったが、それから二か月、気が付けばまた山奥で裸で膝のこともつかの間忘れて遊んでいる。再断裂しては元も子もないのでまた気持ちを引き締めねばいけないけれど、アラフォーの体もまあ、捨てたものではないのだ。今回はちょっと自信がついた。
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