宝剣岳 中央稜



- GPS
- 07:11
- 距離
- 2.4km
- 登り
- 754m
- 下り
- 752m
コースタイム
天候 | 曇り→雪 気温はほぼ-10℃程度、登攀終了後カール下降中辺りから吹雪始め、ホテル直前でホワイトアウトしました |
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過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
8日:カールはカリカリにクラストしており、冬靴に前爪のあるアイゼンが必須。三件の滑落があり、一件は骨折の重症で救助されていました。 宝剣岳の基部にクラックも走っており雪崩が心配でした。 9日:前夜の降雪が30センチほど。表面に積もったおかげでかなり歩きやすくなっていました。 |
その他周辺情報 | コンビニは駒ヶ根IC降りたらバスセンターとは反対側 (左)へ向かうとセブンあり |
写真
装備
個人装備 |
60mダブルロープ、カム1セット、アルヌン6本
|
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共同装備 |
トライカム1セット
|
備考 | 特小無線機、Garmin インリーチ |
感想
夏に登った宝剣岳中央稜と、西面の第二尾根を計画して中央アルプスへ。
前夜発で菅の台バスセンターにて仮眠。
他の車は5台程度で、早朝発でもよさそうでした。
臨時便で始発より少し早く千畳敷へ。
登山口では救助隊員の方が、前日3件の滑落事故があったこと、装備について注意喚起していました。
アイゼンつけてカールに出ると雪はガチガチにクラストしており、雪崩る心配は少なそうですが、確かに滑ったら止まらないだろう状態でした。
早々にダブルアックス使用で宝剣岳へ。
基部につくと岩壁との境目の雪面に全てクラックが入っており、好天が続いたら雪崩そうな雰囲気。
とりあえず取り付き辺りにつけたので、セルフビレイをとって準備して登攀開始。
じゃんけんで1P目はパートナーから。
以下体感グレードとロープスケール
1P目 Ⅳ+~V 30m (フォロー)
夏に来たとき、一番悪いと感じたライン辺りからスタート。
ハーケンが1本出ていたのでカムで補強しビレイ点とした。
直上ではなく、切れ落ちた岩壁を雪を頼りにさらに左へトラバースするが雪がやわらかくフォローでもかなり緊張した。
4m程岩壁伝いに左上後、フェースをドライ・ミックスで直上。幸い残置ハーケンは豊富でした。
悪場をこなしてさらに登り、雪のリッジを右にまたいで残置スリングのある立木まで。
パートナーは手がかりの少ない箇所でグローブを外したとのこと。
フォローでも難しく、困難なリードをこなしてくれたパートナーに感謝。
技術的なグレードは間違いなくこのピッチが最難。もしかしたらもっと優しいライン取りがあったのかも。
このピッチでビレイしている際、パートナーはカールを滑落していく登山者を目撃したそうです。
傾斜の強い箇所ではもんどり打って、緩んでくると大の字になって滑っていき、雪訓していた方々のあたりで止まったそうです。
2P目 Ⅳ 30m
トポにもあるハング越えピッチ。登りだしてすぐの夏のビレイ点は雪に埋まり、ハーケンが1本だけ出ていたのでランナーとする。
ラインは頭上のハングではなく、左に撒いていくと件のハングに出合う。
夏はカムを効かせて思い切って越えていくが、今回はベルグラがびっしり付き、ハングの先にも氷がついていたのでアイスクライミングにて突破。
スタンスはあまりないが、アックスバチ効きで大胆なムーブができ、とても楽しめました笑
ハングを越えてすぐにきれいな残置あり。誰かが敗退したのか、ありがたくランナーに使わせてもらう。
その後はやさしいがプロテクションの取れないベルグラの張った凹状を10mほどでオケラクラック直下のビレイ点に。
3P目 Ⅳ 25m
出だしやや悪いハングを越えてハイライトのオケラクラックへ。
傾斜の緩いスラブはベルグラに覆われ、ほぼ真ん中を断ち切るクラックには雪がびっしりと詰まっている。
足元にカムを固め取り、万一に備えつつ離陸。
クラック内の雪は出だし締まっておりアックスがよく効くため、緊張感はあるものの快適。
5mほどでクラックはやや右に傾き、この辺りから詰まった雪が緩むが、掘り返すことでカム4番、2番とプロテクションが取れる。
さらにクラックを辿り、最後はベルグラからクラストした雪壁を5mほどでしっかりした木の根にタイオフしてピッチを切った。
4P目 Ⅲ+ 60m(フォロー)
雪壁を乗り越し、岩壁を越えて雪稜へ。出だし10mほどがやや悪いくらいであとは快適に歩いて宝剣岳頂上へ。
終了点は宝剣岳頂上のピナクルにロープを巻き付けて構築していた。なので60mほぼ目一杯使用。
山頂でロープを解き、軽く記念撮影の後すぐに下山にとりかかる。
宝剣岳から乗越浄土までもガチガチにクラストしており、ダブルアックス・バックステップで慎重に。
乗越浄土から千畳敷カールへもやはり同じく慎重に下降。
傾斜が緩んできたあたりで吹雪いてきて間もなくホワイトアウト。登攀中でなくて良かった。
雪が吹き付けて痛むまぶたに耐えながらホテル千畳敷に無事帰還。
フロントにて本日は滑落が3件、うちパートナーが目撃していた方は怪我をしたものの無事救助されたとのこと。よかった。
ふたりとも予想以上に充実したので翌日はのんびり起床し早々に下山。
おつかれさまでした~。
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