八経ヶ岳〜大普賢岳〜山上ヶ岳


- GPS
- 14:46
- 距離
- 37.4km
- 登り
- 2,767m
- 下り
- 2,559m
コースタイム
- 山行
- 5:01
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 5:20
- 山行
- 8:23
- 休憩
- 1:03
- 合計
- 9:26
天候 | 1日目;晴れ 2日目:曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
特に危険箇所なし |
写真
感想
この週末は北アルプスか大峰かと迷ったが、前日の夕方に岡山での用事のため帰宅が遅くなったこともあり、山行先を大峰方面にする。
数年前、オオヤマレンゲの花の咲く季節に天川川合から八経ヶ岳を往復したことがあったが、その時に比べて荷物は多少は重いものの昼過ぎには八経ヶ岳に到着することが出来るだろうと皮算用をする。できればそのまま南下して、二泊で大峰を縦走しようという目論見を抱く。
朝から雲のほとんどない快晴の天気が広がっている。下市口から洞川温泉に向かうバスに乗り込んだのは、他には二名の乗客のみ。うち一名はかなり軽装の日帰りのハイカーのようだ。そのハイカーも私と同じく天川川合で降りる。
天川にかかる吊り橋を渡っていざ出発。最初は植林の登りである。急勾配というほどではないが、しばらくは登りが続く。射るような日差しから逃れて植林の中に入る途端には涼しく感じられたが、風がほとんどないせいもあり、すぐにも汗が吹き出す。
それでも標高が1000mを超えて、尾根筋を歩くようになると斜度も緩やかになり、左手の谷からは吹いてくる風に涼しさを感じることが出来るようになる。尾根上に時折現れるブナの大樹が目を楽しませてくれる。
それでも栃尾の辻までが長く感じられる。栃尾の辻からは尾根を東に進むとまもなく広い尾根ににはイワヒメワラビが繁茂する草原が広がり、爽快な景色が広がるようになる。しかし景色の美しさとは対照的に既に足取りが重く感じられる。どうやら前半で思いの外、体力を消耗してしまったようだ。
天女の頂からカナビキ尾根の分岐に降ると、ここからは斜度の緩やかなトラバース道が続く。それでもなかなか思うようにスピードが出ない。ようやく八経ヶ岳の山頂に辿り着いた時には既に14時を大きく過ぎていた。大峰南部への縦走は諦めて、弥山に向かうことにする。
弥山小屋に辿り着くと、小屋の前のスペースが空いていたので、この日はここでテン泊することにする。まずはビール(¥600)を注文する。期待してはいなかっただが、小屋番の男性はかなり良く冷えたビールを出してきてくれた。
テントを貼り終えると、時間は早いが、ソーセージを茹で、赤ワインで晩酌する。夜半に雨滴が小屋の屋根を打つ音で目が覚めるが、テントのシートからは雨の音は聞こえない。外は濃い霧が立ち込めている。どうやら小屋の屋根から滴り落ちる雫が一階の庇に落ちて音を立てているのだった。
翌朝、目が覚めても相変わらず白いガスの中だ。テントは結露でしとどに濡れてしまっている。水分を吸って重くなったテントをリュックに収納すると弥山からの尾根を東に進む。弥山からの急下降がひとしきり終わると、行者環岳の避難小屋までは起伏の少ない尾根が続く。
弁天の森に差し掛かると、行者環トンネル西口から登って来られた登山者とチラホラとすれ違うようになる。尾根からは時折、下の谷が見える。下は晴れているようだ・・・ということはこの雲は山の稜線のみにかかる雲なのだろう。
行者環トンネルの登山口の分岐を過ぎると途端にすれ違う登山者ものなく、静かな雰囲気だ。
足元には丈の低い繁茂する草原が随所に広がり、美しい林相の尾根が続く。しかし、笹の葉が露に濡れているので、瞬く間に靴の中までびしょ濡れになってゆく。次第に尾根のガスもとれて視界がはっきりしてくる。随所で展望が広がるが、八経ヶ岳や弥山の山頂あたりは雲に覆われたままだ。
行者環の避難小屋に到着すると雲の中から、小屋の背後の行者環岳の峻険な岩肌が姿を現す。このピークは高さはそれほどはないものの、山名はここから見上げる岩壁の険阻な様相に由来するのだろう。前回、吉野から縦走してきた時にはこの小屋に到着して時にはすっかり夜になり、翌朝は未明に出発したので、この小屋からの景色を見る機会がないのであった。朝からまだ何も食べていなかったので、小屋の中に入って行動食をとり休憩する。
行者環岳を東側トラバースするとまもなく急峻な階段が現れる。一つ目の階段を登りきったところでわずかに水音が聞こえたような気がして、左手の斜面を見上げると谷間の間に差し込まれた黒いホースの先端から水がチョロチョロと流れ出しているのが目に入る。前回はここを通過したのが夜だったせいか、この水に気がつかずに通過してしまったのであった。
行者環岳からは水曜岳、国見岳にかけて小刻みにアップダウンが連続する。この日はまだ体力があるうちにここを通過することが出来るから良いが、前回の縦走においてはこのアップダウンが疲労困憊に拍車をかけたことを思い出す。随所で好展望が広がり、すぐ左手には稲村ヶ岳がすっきりと見えている。稜線の先にある大普賢岳も雲の中から徐々にその姿を顕わす。
大普賢岳の山頂が雲の中であれば巻道でトラバースしようかと思っていたが、どうやら雲も取れたようなので、ピークを踏みに行くことにする。和左又からの周回と思われる数組の登山者とスライドするが、山頂の立った時には他には誰もいなかった。先ほどまですっきりと見えていた稲村ヶ岳にも再び雲がかかり、山上ヶ岳にも雲がかかっている。
山上ヶ岳にかけては幾度か歩いているが、大きなアップダウンもなく、尾根というよりも台地状の地形となっている。この時期に大峰を縦走する人は流石にいないのだろう。誰ともスライドすることもなく、静かな樹林の道が続く。
山上ヶ岳が近づくと法螺貝の音が盛んに聞こえてくる。山頂は登山者よりも行者の身なりをした人で賑わっている。日本岩に立ち寄り眺望をひとしきり堪能する洞川温泉への下山の途につく。これまでの山上ヶ岳への静かな尾根道が嘘のように連綿と登ってくる人が続く。そのほとんどは登山者ではなく行者である。この山上ヶ岳における挨拶は「こんにちは」ではなく「ようお参り」である。
お助け水を過ぎると流石にすれ違う人も少なくなるものの、時折すれ違う人がいるのは、山上の宿坊に泊られる予定の方なのだろう。ようやく清浄大橋に辿り着くと、ここからは長い車路歩きとなる。日陰がなくなるとアスファルトからの輻射熱のせいで暑く感じられる。
それでも、時折ふいてくる風はあくまでも涼しい。旅館街に入るとすれ違う観光客が「涼しい!」と歓声を上げているのが聞こえてくる。バス停の手前の店に大勢の人だかりが出来ております、何かと思えば鮎の塩焼きの店であった。
洞川温泉からのバスの時刻表をダウン・ロードして来なかったので、まずはバス停に辿り着いて時刻を確認する必要があり、途中に寄り道をしている余裕はない。通常であればスマホで確認すれば良いのだが、バッテリーの残量がほとんど失くなりかけているので、時刻表を検索するだけの余裕もないだろう。
ようやくバス停に到着すると丁度、バスが出るところではあったが、有難いことに1時間後にもバスがある。洞川温泉に寄り道して汗を流すには丁度良い時間であった。予定のバスで下市口に到着すると次の近鉄の急行までは20分以上ある。平日であればその間に特急があるようだが、土日は特急がない。駅前のローソンでビールを購入し、唐揚げをつまみながら列車を待つ。
翌日は久しぶりにかなりの筋肉痛に見舞われる。ここしばらく長距離の登山から遠かったいたせいもあるが、体力の低下を痛感する山行であった。
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