燧ヶ岳・至仏山を縦走し夏の尾瀬を堪能する旅（一級水系源流完全制覇の旅番外編・阿賀野川水系只見川源流）
福島県
群馬県
マオ
体力度について
- GPS
- 14:15
- 距離
- 43.8km
- 登り
- 2,225m
- 下り
- 2,049m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 5:10
- 休憩
- 1:34
- 合計
- 6:44
- 山行
- 7:46
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 8:53
| 天候 | Day1：曇時々晴 Day2：晴一時霧 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2025年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
バス 自家用車
復路：尾瀬沼山峠BSより会津バスのシャトルバスで尾瀬御池BS下車、御池駐車場より国道401号・352号 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
御池登山道、見晴新道ともに標高の低いところにぬかるみあり |
写真
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感想
「夏が来れば 思い出す」の歌い出しの歌で有名な尾瀬。水芭蕉やニッコウキスゲ、草紅葉の時期が人気ですが、その隙間の盛夏に燧ヶ岳と至仏山の名峰２座と尾瀬ヶ原、尾瀬沼を堪能する１泊２日の山小屋泊山行に行ってきました。
特に尾瀬沼は一級水系阿賀野川水系の最大の支川である只見川の源流にあたり、尾瀬の自然保護の歴史を紐解く上で必ず出てくる尾瀬沼・尾瀬ヶ原の発電ダム計画や利根川水系への分水問題の現場でもあります。今回は、 一級水系源流完全制覇の旅の番外編としてその歴史に縁のある場所も訪ねてきました。
初日は国道401号（国道352号の重複区間）を経由して檜枝岐村御池駐車場へ。お盆期間の最後の土日で混雑を予想していたのですが、午前6時前の駐車場は４割ほどの埋まり方で余裕がありました。
御池駐車場からは御池登山道で福島県最高峰の燧ヶ岳へ。標高の低いところでは多少ぬかるみがあるものの苦にならないレベル。直前にNHKの「にっぽん百名山3min.」で夏の燧ヶ岳の回を見ていたので、広沢田代で視界がひらけた時には、ここがテレビで見た場所かぁと思いつつも実際の光景に見惚れてしまいました。この日は雲が多めで、上空は晴れていても低めの雲が残り遠景が拝みづらい状況でしたが、ところどころ近景として通過した広沢田代や熊沢田代、柴安嵓を越えてからは尾瀬ヶ原の東端・下田代を見渡すことができました。
俎嵓から柴安嵓へ向かう際には、風で霧が流されたときに柴安嵓がドンと構えている様子が見えて、少し幻想的な雰囲気に。
柴安嵓から見晴へは見晴新道経由で下山。これまで何人かの知人が通過しぬかるみで相当歩きにくいという感想を聞いていたので、雨が降る可能性がある昼頃になる前に通過したかったので、下山を急ぎました。見晴新道は2013年の台風で土石流により沢沿いのルートが崩落し、一部区間を尾根筋に付け替えて2016年7月13日に再開通したそうです。付け替え当初はもっと道が悪くぬかるみも酷かったようですが、温泉小屋の情報ではだいぶ道が安定してきたとのこと。ショートスパッツを着用して、スパッツやシューズ、タイツにそこそこ泥が着きましたが、シューズがガッツリ泥に埋もれるような箇所はあまりありませんでした。
見晴に到着したのが、予定より１時間半近く早かったので、のんびりしようと思い尾瀬小屋でお昼ごはん。噂には聞いていましたが、メニューが豊富でオシャレ。隣のテーブルでは、ワインを飲みながら大皿の料理をつついていて羨ましさがありました。自分は名物と聞いていたステーキ丼を、尾瀬ヶ原やその向こうに聳える至仏山を眺めながらいただき、優雅な休憩時間を堪能しました。
休憩後は尾瀬ヶ原を横断。木道沿いに青々とした湿原が広がる中に夏の花が咲き誇っていて、たびたび足を止めて撮影。あとで図鑑と睨めっこしていましたが、現場でパッと名前が出せるようになりたいですね。
初日のゴールは尾瀬ヶ原の西端・山の鼻。宿泊する至仏山荘のチェックイン時刻の13時までは、尾瀬山の鼻ビジターセンターや尾瀬植物研究見本園を訪ねて散歩していました。
至仏山荘ではお風呂あり、相部屋ながらこの日は6枠に２人だけ（個室含めた全体でも20人弱の宿泊）、コンセントで充電も出来て快適な山小屋ライフでした。夕方の雨や夜は雲が出ることがわかっていたのもあって夜空の星の観察は叶いませんでしたが、夜は夜で山の鼻ビジターセンターのスライドショー撮影会に参加したり、至仏夜cafeで手づくりの辛口ジンジャーエールをいただいたりして、ゆったりした時間を過ごしました。
２日目はお弁当に変更した朝食を談話室で食べてから、4時半過ぎに出発。東面登山道を経由して至仏山へ。ツキノワグマがよく出没するという話を聞いていたので熊鈴は音が大きいものを付け、また前夜の雨で滑りやすくなっているはずの蛇紋岩にも注意して登りました。天気は晴れの予報でしたが、尾瀬ヶ原や燧ヶ岳を見渡せるようになるには時間が早かった（登頂が6時半ごろ）ようで、霧が覆う尾瀬ヶ原の景色を後にして鳩待峠へ下山、そこから山の鼻に戻りました。
山の鼻では至仏山荘の名物・花豆ソフトクリームで休憩したのち、尾瀬ヶ原を横断して見晴へ。見晴でも２日連続の尾瀬小屋で休憩してから、段小屋坂で白砂峠を越えて尾瀬沼に向かいました。
見晴から到達する尾瀬沼の最初の地点が休憩所のある沼尻。休憩所から南岸コースを少し進んだところに橋があります。そこが尾瀬沼を源流として流れ出す沼尻川で、下田代の南側や龍宮小屋の東側を通ってヨッピ川と合流し、只見川となって奥只見ダムへ流れていきます。この橋の地点に堰があって、尾瀬沼から只見川へ河川維持流量を流しています。
そして南岸コースを尾瀬沼山荘へ向かって歩くと、尾瀬沼山荘手前に一瞬山小屋と見間違える建物が湖岸に建っています。こちらが尾瀬沼取水口と呼ばれ、導水トンネルを経由して大清水側のナメ沢（下流では片品川）に発電のための水を流しています。
尾瀬沼や尾瀬ヶ原を貯水地化して発電ダムを作り、利根川水系楢俣川に導水する計画は1966年に頓挫し、1996年には尾瀬ヶ原の水利権を東京電力が放棄しています。一方で尾瀬沼から片品川への導水は戦時中に軍需関係で工事が進められ、戦後1949年に設備が完成し、翌1950年から通水が始まりました。今も暫定水利権が設定されて発電のための取水が行われています。
取水施設を過ぎると現れるのが三平下の尾瀬沼山荘と尾瀬沼休憩所。ここもオシャレなランチがいただけます。休憩所をチラッと覗いてから、木道を尾瀬沼東岸へ向かって進みます。このあたりから尾瀬沼越しに見られる燧ヶ岳が絶景でした。
尾瀬沼東岸では、今年からほぼ日と繋がった長蔵小屋へ。元長蔵小屋横の休憩所にあるやまね食堂に立ち寄り、土日祝限定のまかないカレーライスをいただきました。具沢山で辛さもほどよく美味しい一品でした。食後は外売店もチラッと覗いて、沼山峠へ向かって出発。大江湿原の木道脇の花々も楽しみながら、ラスボスのような沼山峠への登りをこなして尾瀬沼山峠バス停に到着しました。
尾瀬沼山峠バス停から尾瀬御池バス停へは会津バスが運行するシャトルバスを利用。シャトルバスが通る福島県道１号沼田檜枝岐線は、国道401号の重複区間でもあり、尾瀬の自然保護の歴史で語られるもう一つの話題「尾瀬を横断する道路計画の中止」に関わるところです。結果として中止になりましたが、元は会津沼田街道と呼ばれたルートに車道を通し、今の尾瀬沼山峠から群馬県側の一ノ瀬まで車道が通る計画だったようです。
下山後は道の駅尾瀬檜枝岐にある、尾瀬檜枝岐山旅案内所へ立ち寄り。尾瀬檜枝岐温泉観光協会が開催している「AROUND FIVE TOP【５名山を巡る】」というイベントの達成条件を今回の燧ヶ岳（柴安嵓）で満たしたのでした。２週間ほど前に今年の枠が42/50まで埋まったとのことでしたが、8/17午後の時点で滑り込みセーフ。いただいた利用券は近々檜枝岐村に再訪して使わせていただこうと思います。
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