【敗退】カムイエクウチカウシ山/八ノ沢コース往復


- GPS
- 36:57
- 距離
- 43.0km
- 登り
- 2,208m
- 下り
- 2,207m
コースタイム
- 山行
- 9:08
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 9:58
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 2:26
- 合計
- 12:36
ずっと谷間だったためか、GPSログの軌跡が若干暴れ気味で、あまり正確ではないようです。参考程度に見てください。
天候 | 7/10 曇ときどき晴のち雨 7/11 はじめ晴そのあと曇たまにパラパラ雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●札内川ヒュッテ〜七ノ沢出合 この区間は車道(途中までは舗装道路)であり、特に危険箇所はありません。 ●七ノ沢出合〜八ノ沢出合 札内川を直接遡行するか、もしくは巻き道を経由。 巻き道は主に左岸側を通っていますが、時折右岸に移ったり、河原を経由したりする箇所もあり。 また、巻き道を示す目印も十分ではなく、そもそも道自体が踏み跡程度なので、よくよく気をつけて進む必要があります。 ●八ノ沢出合〜三股 この区間も沢を直接遡行するか、または巻き道を経由。 巻き道は最初のうちは沢の右岸側、三股まで3分の1くらい(推定)登ったところあたりからは左岸側に付いています。 ●三股〜 八ノ沢左岸を登ってきた巻き道が、そのまま八ノ沢カールへの道となって続いています。 この区間は意外に目印が多く、道迷いに関してはそこまで心配しなくても大丈夫そうに感じました。ただし、急な登りが続くので、滑落しないよう注意が必要です。 |
その他周辺情報 | 札内川ヒュッテに水場はありません。最も近い水場はたぶん、車で10分ほど下っていった札内川園地キャンプ場かと思います(キャンプ場テントサイトに炊事場あり)。 下山後の風呂は、ちょっと遠いですが忠類のナウマン温泉へ。500円。 http://www.arco236.co.jp/spa/ |
写真
装備
備考 | 札内川ヒュッテから七ノ沢出合までは登山靴、そこから先は沢靴(フェルトソール)を履きました。 ちなみに、八ノ沢カールから上では再び登山靴に履き替えるつもりでしたが、結局カールまでは達しなかったため、出番はありませんでした。 ただ、履き替える手間を考えると、(ソールが減ることを心配しなくていいなら)最初から沢靴で歩き通すという選択肢もありかもしれません。 |
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感想
前日まで登っていた幌尻岳の記録
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-915939.html
からの続きです。
根が貧乏性の私は、せっかく北海道まで来るのだから、幌尻岳だけじゃなくもう1座くらい登ってから帰りたいと思い、どの山をセットにしようかと考えていました(ハンバーガー屋のメニューみたいだな…)。
同じ日高で選ぶなら、候補としてはペテガリ岳かカムイエクウチカウシ山(以下カムエク)だろうか…なになに、ペテガリは登山道にマダニが出るだと…じゃあカムエクにしようかな…
とまあ、ざっくり言うとそんな感じで、結果的にカムエクに決めたわけです。ああ、今これを読んで「どういう決め方だよ…」と呆れているみなさんの顔が目に浮かぶようだ。
ともあれ、幌尻岳から下山後、新冠から車を飛ばして野塚峠を越え、途中で買い出しや給水などもしつつ、前泊地である中札内の札内川ヒュッテに滑り込んだのでした。
ヒュッテ前で車のトランクを開けて荷物整理をしていると、ヒュッテ横の車止めゲートの向こうから熊鈴の音が聞こえ、やがて登山装備の男性がひとり登場。
下山してきたこの方も同じくヒュッテに泊まったため、この夜は2名での宿泊ということになりました。
この方に少しお話を聞いてみたところ、やはりカムエクに登ろうとしていたが、結局山頂までは行かずに下りてきたというのです。
曰く、七ノ沢出合から札内川に入ったまでは順調だったが、その後で違う沢に入り込んでしまったりして時間をロスしたのと、途中で岩の隙間にストックが挟まって折れてしまったりということがあり、今回はどうも相性が合わないと感じ、その場で引き返してきたのだとか。
ただ、大阪からやってきたというこの方、私と同じくレンタカーで複数の山を回っているそうで、この後はペテガリに挑戦するらしく、カムエクで撤退したこともあまりくよくよ考えていないようでした。
気持ちに余裕があるというのはいいことです。
翌朝、ヒュッテ内の掃除をしていた(ありがとうございます)この方に見送られながら出発。
最初は舗装道路でしたが、トンネルを2つ抜けたところで早々にダート道になり、あとは先日の幌尻岳の時のような林道を進んでいくことに。
もっとも、こちらは電力会社の管理道路ではなく、一応は道道なので、(通行止めということにはなっていますが)釣りに行くと思しきバイクも数台走っていました。
距離も幌尻岳の林道ほど長くはなく、2時間ほどで入渓点の七ノ沢出合に到着。
七ノ沢出合で登山靴から沢靴に履き替え、ヘルメットも装着して、いよいよ沢登り開始です。
とは言え、巻き道もあるので、最初は赤テープを見つけるたびにそちらへ入っていたのですが、倒木だらけだったり、そもそも道自体が分かりにくかったりして、これは川沿いを歩いていったほうが手っ取り早いのではないか?と考え、途中からは河原をそのまま進んでいくことに。
ただ、河原が終わると対岸に渡らなくてはならないので、常に徒渉ポイントを探しながら歩くことになり、それはそれで気を遣う作業ではありました。
そうやって徒渉を繰り返しながら札内川を遡行していったわけですが、好天の日が続いていたためか、水量に関しては特に問題なく、最高でも膝程度の深さだったのは助かりました。
八ノ沢出合に到着し、テン場(誰もいませんでした)で少し休んでから、いよいよ八ノ沢を詰めていきます。
ここでも札内川本流同様に、巻き道ではなく河原をそのまま登っていきましたが、本流よりも斜度が増しているためか、徒渉の頻度がかなり増えたような感覚です。
必然的に徒渉ポイントを探す時間が増えるので、なかなか思うように進みません。
おまけに、八ノ沢の途中から雨が降り出してきて、最初はパラパラ程度だったのが、次第にしっかりした降り方になってきて、さらにペースダウン。
ついでに気分もダウン…。
本来の計画では、三股を12時過ぎくらいに通過し、そのまま八ノ沢カールまで登ってしまう予定だったのですが、実際に三股に着いたのは14時をとうに回った頃でした。どれだけ遅れてるんだよ!
天気もいまいちだし、三股からカールまでの区間はかなりの悪路らしい、このペースのままカールまで行くとだいぶ遅くなりそうだ、もうここでテントを張ってしまったほうがいいのではないか?と思い、カール泊は断念することにしました。
(後になって、この決断が実は大正解だったことが分かりましたが、それはまた追々…)
しかし、テントを張れる場所を探しながら歩いているうち、そのままカールへの巻き道に入り込んでしまっているのに気づき、こりゃいかん、と途中で引き返し。
なんとか三股でテントを張り、中でようやく一息つきました。
翌日の天気が回復すればここから山頂アタックだ、あるいはこのまま雨なら、諦めてそのまま下山しようか、などといろいろ選択肢を考えながら、若干傾いた地面の上のテントで休みました。
翌朝。
テントから出てみると、山頂方面は青空が出ていました。
真上の空には若干雲が残っていたものの、前日の天気とかなりの開き(いい意味で)に、少し気分も良くなって、サブザックに荷物を詰めてテントを出発。
というわけで、改めてカールへの道に突入です。
道迷いの危険が高いと聞いていましたが、思ったよりもたくさん目印があり、むしろ「あれ?こんなにテープ付いてるの?」と拍子抜けするほどでした。
最近になって付けられたのかもしれませんが、いずれにせよ、付けてくれた人に感謝です。
来る前に過去の記録をいろいろと研究させてもらっていたことも功を奏したか、特に迷うようなところはほとんどなく、比較的順調に登っていきました。
もっとも、大きなザックだと引っかかりそうな笹ヤブ区間とか、滑りそうなスラブとか、落ちるとヤバそうな岩場とか、危険箇所はそこそこ出てきます。
カール泊のつもりで大きなザックを担いできていたら難儀していただろうなあ。身軽なサブザックでよかった。
出発時の青空から少しずつガスが濃くなってきていたのも気にせず、どんどん先へ進みます。
しかし、その快調な登りは、あっけなくも唐突な幕切れを迎えました。
沢筋に出て、右手の一段高くなっているところにテープが付いているのを確認し、それに従ってテープのところまで上がったところ、その先には大きな雪渓が残っていたのです。
そして、通るべき道は見るからにその雪渓の下…。
わりあい角度のある雪渓で、ツボ足では登れそうにない。
雪の状態も状態なので、キックステップも効きそうにない。
たとえ登れたとしても、安全に下ってこれるかどうか微妙だ。
アイゼンがあれば何とかなりそうではあるが、あいにく今回は持ってきていない…。
テープのところから山側に別の道がついていないかと探してみても、それらしい踏み跡は見当たらず。
そもそもこの道で合っているのか?とも思ったものの、テープが付いているんだから間違いではないはずだ。
しばらく考えた結果、ここで撤退することにしました。
毎年遅い時期まで残っているという三股の雪渓も今回ほとんどなくなっていたので、まさかこんなところで…という意外な落とし穴に遭遇した気分ですが、登れないものはどうしようもありません。
7月前半という時期的にも、また自分の技術的な面でも、いろんな意味で今回は早すぎたんだ。
というわけで、自分を納得させたところで、三股へとUターン。
登ってきた道を慎重に下りつつ、そういえば昨日、もし三股でストップしないでカールまで突っ込もうとしていたら大変なことになっていたなあ、ということに気がつきました。
ここまで登ってきた後で、結局また三股へ引き返すことになっていたわけだから、あの時間だったら下手すると三股に戻る前に暗くなっていたかもな。
つまり、三股でテントを張ることにしたのは結果的に正しかったわけですが、もし違う判断をしていたら…と思うと、若干背筋が寒くなる思いです。
三股に戻ってテントを撤収し、八ノ沢を下山開始。
登ってくるときは沢筋を通ってきて、結果としてかなり時間がかかってしまったので、下りはなるべく巻き道を使うことに。
その巻き道の途中、下から単独の若い男性が登ってくるのに遭遇。
これこれのわけで撤退してきて…という話をし、状況を伝えました。
「なるほど…とりあえず、行けるところまで行ってみます」とのことでしたが、その後どうなったのやら。
私が断念せざるを得なかった分、この方には(できるものなら)登頂を果たしていただきたいものです。
私ももし山頂まで到達していれば、この日の下山は八ノ沢出合までか、場合によっては三股でもう1泊かな…と考えていたのですが、結局カールにも届かずに戻ってきたので時間的にはかなりの余裕ができ、この日のうちに札内川ヒュッテまで一気に下りてしまうことにしました。
というわけで八ノ沢出合から札内川本流に戻り、ここでも巻き道を駆使しながら(と言っても不明瞭な踏み跡のため道を間違えることたびたびで、実際のところ「駆使」したとは言いがたいですが)七ノ沢出合へ。
途中、2人ほど八ノ沢方面へ向かう登山者を見かけましたが、いずれも相手は川の中、私は高巻き道を歩いているところで、直接顔を合わせることはありませんでした。
やっぱり皆さん、1日目の私と同じように「川の中を通っていくほうがいい」と思っていたのでしょうか?
そうこうしているうち七ノ沢に到着。
ここからは車道なので再び登山靴に履き替え、ヘルメットも脱いで、札内川ヒュッテを目指します。
2時間弱で無事ヒュッテに戻り、いろいろあった今回の山行も終了となりました。
振り返ってみると、決して事前の準備が足りなかったとは思いませんが(まあ、アイゼンを持参しなかったという点はありますが)、カムエクはそんな事前準備やら想定やらを軽く超えるような山だった、ということになるのでしょうか。
あまりにも簡単にヒネり倒されてしまったというか、「お前の力はこんなもんかい? フフン」とカムエクに言われているような気がします。
日高で「遥かなる山」といえばペテガリ岳のことを指すのだそうですが、私にとってはカムエクこそが「遥かなる山」だった、という思いです。
何しろ山頂どころか、カールにすら達していないわけですからね。
次に挑戦するのがいつになるのか、まだ分かりませんが、その時はレベルアップした私を存分にカムエクに見せつけて「へええ? やるじゃないか」と言わせてやりたいものです。
何だか最後は変な調子になってしまった。ともかく、これから登るみなさんにとって、この敗退記録が何かの参考になれば幸いです。
なお、大きな写真は
http://photozou.jp/photo/list/74507/8888035
にて公開していますので、「写真小せーよ!」という方はそちらへどうぞ。
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