奥穂高〜西穂高縦走 今月2回目のジャンダルム
- GPS
- 32:00
- 距離
- 16.1km
- 登り
- 2,138m
- 下り
- 2,096m
天候 | 曇り〜晴れ〜小雪〜雹〜雨〜晴れ〜霧〜小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
今月二度目の奥穂高ー西穂高、ジャンダルム経由。
まさかの二回目。
3週間前、10月1、2日は初日雨、二日目も雨がやっと朝止むかなという状態で、ほとんど人が行かないガスガスのところをソロで突撃したものの、なーんにも見えなかった。
最近の青空のジャンダルム、奥穂高ー西穂高縦走の投稿を見るたびに、やはり今季のうちに青空のジャンダルムに行っておきたいという気持ちが強くなる。そして、天気予報は週末晴れとなっていて、前回上高地から前穂高経由で穂高山荘行く登りで知り合った3人にそれを話すと、行くか!となってしまった・・。
タイミングとしてはギリギリ。雪が降ったら終わり。路面が凍結したら終わり。そんな状態だけれども、最低気温−2、最高気温3度の天気予報を信じて、いざ新穂高温泉へ。
6時に駐車場を出発し、美しい笠を眺めながら、穂高へ。
全ては翌日のジャンダルムのためということで、あほなしりとりで大爆笑して呼吸を無駄に乱してみたり、ソロではできない笑顔の共有に感謝しながらも白出沢をウダウダ登る。
穂高山荘に13時すぎに着き、五臓六腑、全細胞に染み渡る味噌ラーメンとビールが最高のご褒美。
14時過ぎに、涸沢に登る。4人の中で涸沢に登るのが初めてなのは私だけ。
槍と北穂が見えると、どこかで読んでいて、期待が高まる。
小屋の外は虹と小雪。なかなか不思議なコンビネーション。明日への不安はこの時点では芽生えていない。ただ、なんかレアなもん見たな〜ぐらい。
7月に初ソロで槍ー大キレットー北穂をやっていて、北穂高山頂からの槍の美しさが最高だと思っていたのだけれど、涸沢岳からの槍・北穂も贅沢な眺め。ビール500ml空けたあとだとたかが20分の登りでもゼーゼー。
灰色の分厚い雲が空に現れ、うーんと思っていたら、突然雹が!しかも、けっこう小さくて痛い感じ。顔に刺さる。同行者の男三人がギャーギャー、痛いだの寒いだの騒いでて、苦笑い。
小屋に戻るころにはまさかの雨。
一時的であることを祈ったけれど、その後も外に出て確認する度に雨で、精神的にも肉体的にもぐったりで、5時の夕食まで2時間弱寝ることに。
5時の時点で、雨はさらに勢いを増していて、翌日のジャンダルムが遠ざかる。
若干暗い気持ちで夕食。豚の角煮がとっても美味。
翌日へのテンションをどうもっていくべきか悩みながら、暖炉を囲んでおしゃべり。
突然、山荘のご主人?ひげの男性が現れ、「明日、西穂への縦走考えている人〜?」との質問を投げかける。我れ先に手を挙げる状況ではないようでまごつく。暖炉の周りでは誰も手を挙げないのを横目に見つつ、行くつもりで来ましたと言ってみると、「絶対行かないでください。」に近い台詞を言い放たれる。理由は説明してもらえない。この天候を分析して行かないという選択ができないあなたはバカなのぐらいの目で見られると、これ以上の質問は歓迎されていない空気。
その後四人で喧々諤々、行けない可能性が高いことはわかったけれど、天気予報的にもどういう状況だったら絶対行くべきではなくて、行くという選択をするにはどういう条件が揃っているべきか等話し合う。
Tさんは、ストレスのあまり?普段山では飲まないはずのビールに手を出す。
8時の時点で外に出ると雨は止んでいて、地面も乾いている。否が応でも期待が若干回復してしまう。そんな気持ちも共有しつつ、9時前に就寝。夜中にふと風の音で目が覚め、トイレついでに外に出てみると、雨は降っておらず、風だけ。気温も低くなく、2度ぐらいな体感。またまた期待が高まってしまう。
2日目。予定通り、遅めの5時に起床。外はまだ星が残っていて暖かいまま。前日に涸沢岳から誰も行かなくても朝日を見に行くと宣言した手前、朝ごはんをあっさり済ませ、5時半独り涸沢岳へ。素晴らしいご来光。富士山も遠くに小さくくっきり。
ちょっとゆったり過ごし、6時すぎに下山。山荘前では準備が整った、メット頭にした3人が私の帰りを待っていて、すぐに奥穂高へ。
途中凍っていて危ないところは見かけなかったのだけれど、奥穂高山頂に近づくにつれ、前を歩く三人が、ここ滑った、ここ濡れてる〜と話しているのが耳に入る。嫌な予感。
予感は的中。頂上の三人は暗い表情。岩に小さなつららができている。祠への階段状の岩も霜が張り付いていたり、凍ってつららがついていたり・・。この時点で三人は西穂への縦走を完全に諦めていた。
ここでデジャブ。
三週間前、つららや氷はないとはいえ、雨のあとのガスで、奥穂高で四人、同じような時間に着いて、この天気なら行ける、天気予報は晴れだから、やがて岩は乾くと見込み、突撃しようとする私に、「やめておけ」「心配だ」「来年俺らと一緒に登ろう」等、声かける彼らとの別れがまた来るのか・・と。
今回は、さらに厳しい声。「俺は全力で止める。」と最年長者かつ一番山の経験が長い、心優しい運転手から。東京からの長い往復車出してくださってる方のご機嫌は損ねたくない。
でも、なんとなくこのまま二回連続敗退したくないオーラを出しているTさんに、馬の背の手前まででいいから、ちょっと見に行こうよと言い、Iさん、Aさんも渋々途中まで着いて来てくれることに。
俺らはもうここでいいという二人を置いて、Tさんと馬の背途中まで。ジャンがガスの中見え隠れを繰り返す。
写真撮影で遊びつつ、なんとか残った二人がジャン行く気にならないかな〜との葛藤が続く。気づくと、すぐ後ろに男性二人。熊本出身で山梨在住のお二人とお互い写真を撮り合い、徐々に明るく、ガスが晴れて行く360度の景色に感嘆、ため息もらしながら、おしゃべりしているうちに1時間が経過。
後ろの二人をこのまま待たすのも申し訳ないと、途中でデポしたザックを抱えて戻る。二人は上高地に下るより、あのつまらない白出沢を下ると言い出す。
重太郎新道は登りしかやっていないので、下りならまぁ行ってもいいかと思っていたけれど、白出沢を下りたい欲はゼロ。どうせ新穂高に降りるなら、ジャン行かせてもらっていいですかという気持ちに。まさかの二回連続、男3人に別れを告げて、女一人ジャンに向うことになるのかと思いながらも、今回は4人で来たのに果たして独りで二回目の縦走はどうなんだろうと葛藤。
ここで、馬の背の途中まで一緒に来たTさんが、説得に加勢してくれる。なんやかんやで勢いで説得成功。根拠ゼロで説得したわけではなく、飛騨側はすぐにあったまると思ったし、登りはちょっとあるけれど、下りは飛騨側はないので、たとえちょっと凍っていても、そこまでのリスクはないだろうと総合評価した。
その評価が正しかったかは、結果でしか判断できない。
結果、ジャンダルムの存在すら知らなかった山梨組の二人も勢いでついて来てしまった?状態で、誰も怪我せずに6人無事下山。
ジャンダルムからの槍、涸沢、奥穂、笠の景色は最高。私たちの後ろについてきた(なんせ、馬の背8時20分通過ぐらいの通常じゃあり得ない遅い出発)若者4人組はジャンをあっさり直登でやってきて、巻き道を選択した年寄り四人のプライドに幾許か影響!?
見てるこちらがハラハラしてしまう、ヘッドスタンドしたり、上半身脱いで飛んだり跳ねたりで写真撮影に30分ぐらい頂上で楽しんでいたよう。
二回目のジャン、西穂への縦走は相対的に非常に平和だった。
一回目は独りでガス、前後人がほとんどのルートいなかったので、ルートミスって、沢に落ちる一歩手前まで行ってしまったり、とにかくどこに向ってるかもわからない状態で歩いていたのが、今回は、こんだけ人数いると、ルートミスする可能性も一気に減る。
人のあとについて歩くことがいかに楽なことかを久しぶりに思い出す。
ソロとの決定的な違い。スパルタな友人たちが、ソロやるまでは一人前じゃないと言っていた意味を噛み締める。
グループで駆け抜けた青空のジャンダルム、西穂への7時間は、最高に楽しく、途中の登り下りには体力と集中力を要するも、所詮一般道、いざとなれば鎖あるし、雨じゃない限り、靴のフリクションで悪名高き逆走スラブも鎖触らずに降りれるレベル。
馬の背は、奥穂からの下りだと、初めのチャレンジにはびっくり、高度感あってハラハラするかもね、ぐらい。繰り返すアップダウンに飽きる程度の難易度で、妙義のほうがよほどアドレナリン出るよねという感想で終わったのでした。
一回目は、劔別山尾根をレベル3としたら、大キレット30、ジャンダルム100との感想だったのに、二回目は、ジャンダルム50ぐらいに下方修正の印象。
皆で楽しく笑顔で縦走できたのは、最高の思い出に。
無事縦走されたんですね!
前夜はどうなる事かと思いましたが人も少なめでいい季節でしたね。
またお会いしたら声掛けてください。
コメントありがとうございます。お二人の投稿を見て、さすがジャンをクライミングで行く人たちは違うな〜と感心していました。朝、小屋でご飯していたら、あの岩登りの二人は4時ぐらいに出たっぽいよと教えて下さる方がいて、驚きつつ、勇気もいただきました。前夜の不安はいずこ、青空が有り難かったですね。最後のアタックとされる週末だったのもあって渋滞にもならず上もかなり平和でした。また是非どこかでお二人を見つけたいです:)これからもお気をつけて〜!
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