私は幽霊の様なものは信じていない。山で怖い思いをしたことは沢山あるが、幽霊の様なもので怖い思いはしたことがない。
以前の日記に書いたが、滅多に人に会うはずもない場所で、そっと通り過ぎたために、西丸震也氏から、私は幽霊にされていたようであるが、声をかけにくい事情があったからで、わかってしまえば、なーんだってことでしかない。
ただし、不思議な事は経験したことがある。
1980年頃のことである。場所は北アルプスの徳沢から上高地の間だった。
6月の終わりか7月の初め頃だったと思う。前夜、ザイルパートナーとなった人と夜通し車で走って、明け方上高地についた。目的は前穂高岳屏風岩東壁ルンゼ。屏風岩のルートの中でも難易度は高かった。当時は、怖いもの知らずで、体力も充分と勘違いしていた(無謀ともいう。いまでも?)ので、この難ルートを1日で抜けて帰ってくるつもりだった。泊まりの道具を持ってスピードが落ちるより、荷物を軽くしてスピードを上げた方が良いと考えた。天気は悪くなく、岩壁を抜け、屏風の頭を越えてパノラマ道を通って、なんとか明るいうちに徳沢に降りてきた。午後5時くらいだったかな。もうここまでくれば上高地の駐車場まで、ゆっくり歩いても2時間あまり。遭難した先輩の捜索で、何度も真夜中でも歩いた道だ。疲れがだいぶ出てきたが、ヨッコラショと腰を上げて上高地を目指す。平日だったのか、もう周囲に人影はなかった。
徳沢を出て、橋を渡り、しばらく行くと道が左に穏やかに曲がる。そこを私は真っ直ぐ行こうとして、道を踏み外し、藪に足を一歩踏み込んで気が付いた。「あれっ、ぼっーとしてる。いかん、いかん。しっかりせねば。」前夜寝てなかったせいか、急に眠くなったようであった。ところが、それからの記憶がない。というか、自分は夕暮れの田舎の商店街を歩いていた。道の両側にぽつぽつと、裸電球の下がった小さな商店が並んでいた。なんの店かは判らない。お店の中にも外にも人がいるようだったが、動く気配はなかった。当然そんなものが徳沢と明神の間にあるわけがない。でもなぜかそのときは不思議に思わなかった。
ふと気がつくと左から徳本峠からの道が合流していた。もう明神に着いた。自分としては徳沢を出てからまだ5分くらいしか経っていない感じだった。速足で歩いても30分はかかると思う。もしかして、俺、寝てた? 父親から昔の日本の兵隊は行軍で寝ながら歩いたもんだ、と聞かされたことがあったが、もしかしてこれがそうか?
明神の小屋前で休んでいるとき、パートナーに、「今の道、人とすれ違った?」と恐る恐る聞いてみた。パートナーは怪訝そうに「誰にも遭わなかったよ」と、当然のように答えた。私は言い訳のように徳沢を出てから記憶がなく、寝ていたようだと話したが、パートナーはあまり気にも留めなかったようだ。
そろそろ薄暗くなりはじめていた。相変わらず周囲に人の気配はなかった。上高地まではもうひと頑張り。駐車場の車まで行けばバーナーもあって、暖かいものが食べられる。元気出して行こう!と明神を出発したのだが、本当に大変な思いをしたのはこれからだった。
長くなったので、続きはまた今度アップします。
おっと・・おはようございます
続き・・気になります(^^;
早急によろしく
年末ですから(関係ないか )
でわでわ
uedayasujiさん、コメント有難うございます。
いかに皆さんに状況を理解してもらえるか文章を練ってます。表現力がないので苦労しそうです。
もう少しお待ちください。
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