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2013年08月03日 16:50雑感レビュー(書籍)全体に公開

私は幽霊にされてたようです。西丸震哉の日本百山

以前書いた西丸氏の本の続きです。まず、20年以上前の私の回想を読んでください。

 藪山の頂上から小さな沢伝いに降りて行くと、下から空身の登山者が登ってきたのに会いました。まさかこんなところでという場所です。お互いにびっくりしながら挨拶して言葉を2-3交わしたのち別れました。ひらけた場所に出ると、3-4人の人がこちらに背を向けていました。ここで彼らに声をかければよかったのですが、ある事情で彼らの後ろを通り過ぎて行きました。誰も気づかなかったようです。もしかして西丸氏のグループかな、こんなところに来る人なんか限られているし。もし西丸氏だったら、上で出会った人の話を聞いて、自分たちは誰とも会ってないから、おまえは幽霊を見たんだといっているんじゃないかな、と思いながら下って行きました。

  西丸氏はこの場所に初めて来たときに、なにも言わずに通り過ぎて行った登山者に会い、追いかけても見つからず、あれはこの世のものではなかったという話は、どの著作にも出てきます。

 そして、この本のカッパ山の項で、目がくぎ付けになったのは次の文章です。

「ここ十年以内のことになるが、三人がテント場近くの沢でイワナ釣りをやり、一人が上流へイワナの手づかみに登って行って、沢を降りてくる軽装の登山者に出会った。二、三の会話をして別れたが、下流の三人は沢を下ってくる人など見てはいない。沢沿い以外のまわりのヤブは通る気にならないほどで、別なルートはない。」
はっきりは書いていませんが、前後の文章から、この軽装の登山者は幽霊だろうというニュアンスが伝わってきます。

 ハイ、この軽装の登山者とは私のことだと思います。本の出版年から、私の行った時期と矛盾しません。この当時は、藪こぎのため、極力ザックは小さく、また足元も沢や湿原で濡れてもいいように、ジョギングシューズを愛用していたので、軽装と映ってもおかしくありません。着替えもなく、汚いまま家に帰ってました。このときだったかは忘れましたが、山の帰りに上野駅で、「兄ちゃん、仕事か?」と日雇い労働者集めらしい人に声をかけられたこともありました。 

 思った通り、私は幽霊にされてたようです。
 
 いやホントびっくりしました。でもこれを書くのにだいぶ躊躇しました。場所が場所でもあるし、私の出会ったグループが西丸氏だったという証拠はありません。氏も亡くなっているし、今更の感はありました。ご存命の時に話ができれば良かったかもしれませんが、氏にとっては、あの場所が異次元との接点と信じて、ニンマリとお墓に入ってる方がよかったと思っています。

 西丸氏の山の本は本当に面白いと思いますが、万人受けはしないですね。また、何回も同じ話が別の本に出てくるので、辟易する方もいるかと思いますが、それはそれで一つの特徴です。まあ強くは勧めませんが、まずどれか1冊手にとってみてください。気に入るかどうかは読み手次第。
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この日記へのコメント

ゲスト
登録日:
投稿数: 0
2013/8/3 19:50
 RE: 私は幽霊にされてたようです。西丸震哉の日本百山
ankotaさん初めましてこんばんは。
西丸震哉氏の本は数冊読んだ記憶があります。
その殆どは忘れてしまいましたが、一つだけ覚えていてとても役にたっていることがあります。
それは、「もう二度と来たくない変な場所に来た時、もう二度と来ることはないからもう少しよーくみておこう」というような考え方というか発想です。
確かに、この山はもう来ることはないという山はあると思います。そういう思いになったときに西丸氏の言葉を思い出します。
日記の内容とは違いますが思い出させていただいてありがとうございます。
登録日: 2013/5/18
投稿数: 193
2013/8/4 9:32
 RE: 私は幽霊にされてたようです。西丸震哉の日本百山
murrenさん、はじめまして、コメありがとうございます。
 西丸氏もヒネクレタ文章を書くので、判りにくいかもしれませんが、これは山だけでなく、嫌な体験をしたら、すぐ目をそらすのではなく、今はその嫌なことを、じっくり楽しんで、二度と体験するものか、というポジティブな発想だと思います。
 でも現実には、二度と来ないだろうなと思った山に、その後も何回か行ったことがあります。


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