三浦雄一郎さんの本 『デブでズボラがエベレストに登れた理由 : 三浦雄一郎流「生きがい」健康術』

7/25に心肺停止となり病院に運ばれてから何とか一命をとりとめた経緯は以前の日記に書きました。今もまだ入院中で、コンパートメント症候群（注）で動かない左手のリハビリを毎日行いながらバイパス手術に向けて検査と養生の日々です。心拍数モニターが身体に付いているので自分の病室と同じ階のリビングあたりまでしか動いてはいけず、今日のように天気が良い日などは窓から遠望するホームグラウンドの鈴鹿の山々を眺めながら、ちょっぴりの溜息と、『体を直して、また山に登るぞっ！』と自分を励まし狭い病室の中をゆっくり歩いたりして体力回復に努めています。

寝たきりではないので、差し入れてもらった本もじっくり読めます。誰もが知る冒険家の三浦雄一郎さんは同じく心臓に「心房細動」という不正脈の病気を抱え、他にも糖尿病や高血圧等、ほとんど成人病のデパートと言ってよい体をトレーニングと食事、そして2度の心臓手術で克服し、2003年に70歳、そして2008年に75歳、さらには2013年に80歳で世界最高齢登頂者として、3度世界最高峰のエベレストに登頂しました。マガジンハウス社発刊のこの本（2008年初版の原題から最新刷は本の題名がかわりましたが）には三浦さんの実践してきた復活の経過と試行錯誤が詳しく書かれています。しかもご本人による執筆ですので、失敗した事も赤裸々に告白されています。それだけに実に生き生きとした病との付き合い方と、それを克服した具体的方法を通して、三浦さんの素晴らしい闘志と決して諦めない強さが、同じ心臓に病を持ち闘病中の自分にはひしひしと伝わって来ました。

重症度では私の病の方が、現実的には山に再度登れるようになるにはハードルが高いかも知れません。それでも三浦さんの山に対する姿勢は自分に大いなる勇気と希望を与えてくれ、明日への励みになりました。

実はご本人には2013年に世界最高齢登頂者となったエベレスト登山のわずか5ヶ月後に講演会でお会いした事があります。「こんな小柄な方が、あのエベレストに？」と思う程、ごく普通の方でした。その一見普通の方がエベレストに高齢で登れたのですから、尚更に「オレも頑張って復活するんだ ！」とも感じるのです。

『「食事」「運動」での日々の小さな工夫と努力の積み重ねと、何より「生きがい」を持つ事が健康と長寿には大切 』… この本の中にも同じ言葉が書いてありましたが、生の肉声としてあの時に直接聞いた三浦さんの言葉が私の心に今も深く刻まれています。

（写真は本の表紙と2013年10月21日に名古屋で行われた講演会のチケット）

（注）コンパートメント症候群
内出血等で筋膜内が圧迫され筋肉や神経が損傷する症状