簡単にいえば、諸外国の王の戴冠式のようなもの。
今後は公務に加えて、日本独特の天皇としての独特の2つ目の役割も担うことになります。
「国事行為」 こちらは日本国憲法に定められた、まぁ仕事であって首相の任命や国会開催宣言など。
「宮中祭祀」 こちらは天皇陛下の自発的な行為として、国家安寧や五穀豊穣を神に祈る、ということです。
そう、神の御代から日本では国のトップであった天皇から平民まで、階層を問わず神に祈る文化が根付いてきました。
今後の大イベントは、天皇陛下御自らが祭りをとり行われる、即位の年の新嘗祭だけを特別に大嘗祭(だいじょうさい)と呼び、11月14日に伊勢神宮の内外宮で予定されていて、むろん1代1度きりです。
かわって我ら庶民。
初詣に始まり年中神にお祈りをささげていますが、かなりの部分、国家安寧、五穀豊穣よりも「試験に受かって希望の大学に行けますように」「病気がなおりますように」など、いわゆる”願掛け”になっている場合が多いと思います。
ですが、この時期、深まってくる秋には各地で豊作を祝い神に感謝する「秋祭り」が行われます。
取れた新米や海山の幸を捧げ、祝いの歌や踊りを舞うのが一般的ですが、面白いものに、食料よりもむしろ歌や踊りの「芸能」のほうを主として神に奉納する、沖縄に伝わる「種子取祭」(たねとりまつり:タナドゥイ)があります。
特に、石垣島の沖合の小島、『竹富島』のタナドゥイは規模が大きく、2日間にわたって延々と奉納芸能が演じられます。
「種子取祭(タナドゥイ)見学記 竹富島で会いましょう」
⇒ https://kenny3.jp/archives/451
テレビで即位礼正殿の儀を見ながら、数年前に竹富島で見たこのタナドゥイを思い返していました。
タナドゥイでは神も人も一緒になって宴の輪になります。
弥勒菩薩が由来の土着の神「ミルク神」は竹富島では踊り手と同じ舞台に登場します。
そのミルク神と新天皇陛下の顔がなんとなく似ている、と思ったのは失礼でしたか…
ミルク神も陛下も、人懐っこい笑顔が印象的なのです。
ご存じのように陛下は山好きで、若いころから日本中の山を訪問されている。
「山と渓谷」でも何度も記事を読んだ覚えがあります。
我々、登山を趣味とする者には身近にも感じた存在でした。
山好きで知られた新しい天皇陛下。
いつかまた、山に出かけてどこかの小屋で一杯飲んで我ら庶民と同じように語り笑い、宴の輪に入る願いが胸中にあるのでは?
その年の収穫を感謝してまた来年の豊作を祈り、神とその地の住民がひととせひとび(一年一日)の出会いを喜び、互いに踊るのが竹富島タナドゥイの精神。
天の岩戸の時代に天宇受売命が踊って天照大御神が隠れた岩戸をあけようとしたように、もともとは天上の神々も歌って踊っていたのですから… ひょっとすると…ね。
いつか、素敵な笑顔でまた山に戻ってこられたならば、タナドゥイの精神で、ぜひお迎えしたいものです。
気楽に一般市民と一緒に登山できると良いのにね。
大昔は神様と人間の境も曖昧でしたし…先の陛下のように退位されることが将来あればまた山に戻れるかもしれません…ね。
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