政治的な背景から東西ドイツを隔てる壁のそばに造られ遠めにはサーカステントと見間違うようなベルリン・フィルハーモニーホール。館内は外から見た目よりも広く複雑で幾何学的な構造となっておりそこに宇宙的な規則性を感じ取ることができる。
そしてロシアで最も古い公共建築物であり修道院のようで迷宮のようでもあるサンクトペテルブルグ国立図書館。この流れで自分はボルヘスという作家が書いた『バベルの図書館』という短編小説を連想しました。それは書物と図書館というモチーフを通じ無限性、宗教的な永続性を実験的に表現したある意味哲学的でもある作品です。
いきなり自分の話になってしまいますが、病気がちであまり外に出れなかった少年時代に父親に本の収集癖があったおかげで家の書斎には数千冊の蔵書がありその一冊一冊がまるで外の世界へと通じる窓のように思え貪るように本を読んでた時期がありました。そしてその興味はさらに大きな学校の図書館、町の図書館へと移っていきましたがその頃世界中の図書館が書物を通じてつながる巨大なネットワークみたいなものではないかと夢想したことがあり、後年この短編を読んだときにその頃のイメージとシンクロするように思えました。
さて映画に話を戻しますとその短編に描かれた図書館像と自分の思い描いた図書館と融合したイメージを具現化したものを映像の中に感じ、その映像を通じて自分自身の記憶と対話するような感覚を味わうことができました。
他の建築物ではノルウェイのハルデン刑務所、同じくノルウェイのオスロ・オペラハウス、アメリカ サンディエゴのソーク医薬研究所、フランス パリのポンピドゥー・センターなど建築はもとよりその国の文化や旅などに興味がある人も楽しめる内容になっています。
以下映画紹介より
http://www.uplink.co.jp/tatemono/
ヴィム・ヴェンダース製作総指揮!
ヴェンダース、レッドフォードを含む6人の監督が思い入れのある建築物の心の声を描き出すオムニバス・ドキュメンタリー。
もし建物が話せたら、私たちにどのような言葉を語り掛けるのだろうか。 建物は文化を反映しており、社会を映し出す鏡でもある。一昔前、欧米ではその街を代表する建物は教会であり、教会を見ることによってその街の文化も人々の暮らしも垣間見えた。現代におけるその街を象徴する建物とは?世界の名監督6人がそれぞれの街で人々と思い出を共有する、思い出の詰まった文化的建物のストーリーを描き出す。
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