飽きない風景というものがある。
「いつまでも見ていたい」
この日の根子岳からの景色は、まさにそう思わせるものであった。
根子岳は花の山で知られているが、冬はスノーウォーキングをするのに魅力的な山である。
一番の魅力は、山頂から下ってくる時に目にする光景である。北アルプスから北信州の北信五岳まで、全景が見渡せる。
頂上を目指している時は苦しい。何人かの人が私を追い越していく。何度も足を止め、呼吸を整えながら、自分を奮い立たせる。前方に目をやると、山頂までの距離に圧倒される。
根子岳はなだらかであるが、ずっと上りである。足元に目を落とし、ひたすら歩を進める。
ふっと目をあげる。真っ青な空がある。強烈なブルーだ。冬の空は何故これほどまでに鮮やかなのだろう。まるで、人はその青さの中に引き寄せられていくようだ。(山に登っている人は、誰しも空に向かって進んでいる、そんな感覚を抱いたことがあるのではなかろうか)
頂上に着いた。そして下りである。
冬の根子岳の醍醐味は、これからである。私が一番好きな瞬間である。
スキーヤーやスノーボーダーが傍らを滑り降りていく。あっという間に下っていく。「何と、もったいない」素晴らしい景色を、時間をかけてじっくり楽しむことが、山歩きの醍醐味と私は思うのに。(もっとも、彼らには違う山の魅力、楽しみがある)
私は、景色を存分に楽しみながら、のんびりのんびり歩く。
素晴らしい景色は、私には最高のプレゼントである。
こういった体験は、記憶の片隅に刻印され、いつか再び私の中で蘇る。そして、いつまでも忘れない思い出としてずっと心の中に残っている。
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