雨雲が迫ってきた。
頂上に着くまで天気が持ってくれるだろうか。根子岳の中間点を過ぎ、間もなく避難小屋である。1時間以上歩いたので、あと30分ほどで頂上に着くはずである。
振り返ると、後方の山は既に雨雲に飲みこまれている。急な勾配を登り、ひと息ついた所で雨粒が落ちてきた。頂上が目の前に見える。雨が次第に大粒になってきた。レインウエアーを羽織り、上空を仰ぐと、黒い雲が根子岳の頂上まで延びている。
雨の上りはきついし、無謀だ。雨の中で頂上に立つことにどれ程意義があるのだろう。「撤退しよう」そう思った。
踵を返し、来た道を引き返した。皮肉なもので、登山口まで下り、車に乗って帰ろうとしたら雨が上がった。それでも下界と山の頂は天気が違う。また来ればよい。そんな時の諦めは我ながら早い。
峰の原高原の緋の滝、カタクリウォークに参加した。
峰の原スキー場駐車場の手前に遊歩道があった。地元の人が手を入れ、滝までの道を作ってくれたのである。そんな苦労の末に気軽に歩ける道があることを思うと、その労力に感謝せざるを得ない。
滝は二つあった。何れも見ごたえがある。そして遊歩道の脇には自生したカタクリやエンレイソウ、二輪草等、花好きの人が眼を楽しむに十分な花がある。
昼で終了したので、私は欲をかき、折角ならばと根子岳へ足を延ばそうと思った。往復してもちょうど良い時間に思えたので、峰の原登山口から登った。
結局撤退することになった。体調が芳しくない妻を家に残したまま勝手に遊び歩いている自分に、山が「早く帰れ」と言って、雨を降らせたのかもしれない。
そんな想いを抱きながら帰路に就いた。
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