至仏山から見る尾瀬ヶ原の背後にそびえる燧ケ岳は、一度は登りたいと食指を動かされる山であった。
昨年、御池から燧ケ岳へ行き、翌日会津駒ケ岳へ登って帰る計画を立てたが、そこへ行くまでの距離が遠く、諸々の事情で断念した。
今回は我が町(東御市)から、燧ケ岳へ登る最短コースの大清水を選択した。尾瀬沼ヒュッテへ一泊して燧ケ岳へ登る余裕の山行である。
突然の台風19号が、長野県も直撃し、千曲川が氾濫して大きな被害をもたらした。わが町も、橋が崩落し三名の行方不明者が出た。幸い我が家周辺は何事もなかったが、実家のリンゴ畑では多数のリンゴが落下した。
今は早い種類のリンゴの収穫と、遅いリンゴの葉摘み作業の時期で、日々その作業に従事している私としては、山行は躊躇われたが、たまたま畑作業も休むということなので、思い切って出かけた。
尾瀬湿原の草紅葉は美しかった。
登山道は大荒れで、悪路の連続であったが、天気が良く、登山には絶好の日和であった。
山頂から見下ろす尾瀬沼は白く輝き眩いほどであった。
目を転ずると、尾瀬ヶ原が眼下に一望でき、その先に至仏山がどっしりと佇んでいる。その光景を眼にするだけで、ここへ来た価値があると思った。
燧ケ岳から見下ろす秋の尾瀬ヶ原は素晴らしい。
遠方の山々も雲海のかなたに見え、苦労して登った疲れは吹き飛んだ。
帰路、三平下に向かう木道から、尾瀬沼を前景にした燧ケ岳はまさに一幅の絵のようであった。
燧ケ岳での光景は、いつまでも私の記憶に残るに違いない、そう思えた山旅であった。
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