信州人の呟き(山頂への途上)

通勤ラッシュから解放され、朝目覚めると冠雪の山を見ながら熱いコ−ヒ−を飲む。慌てて出勤する必要もない。のんびりとゆったりとした１日が始まる。時間に縛られる事なく、自分のペースで今日１日を組み立てる。
テレビを見ていると、たまに自給自足の生活をしている人が報じられる事がある。話題性として面白いので報じられるが、実際には極めてレアであるし、早々誰でも自給自足で生活が出来るわけではない。自然の中で、他から束縛を受けず自分の思い通りの生活をする。せちがらく、時間に追いまくられ、精神的にも肉体的にもストレスの呪縛の中で、現実生活を送っている者にとっては、一度は夢想したくなる生活だ。
昨今、コロナ禍でテレワークが推進されている。インターネットの普及により、仕事の形態が変わりつつある。都会でなく地方で、自分のペースに合ったライフスタイルを作る事が現実になってきている。地方へ来て、自然を身近に感じながら、仕事で最低限の生活に必要な金が稼げれば、後は好きなことに自分の人生を費やす。それでなにがしかの余暇費用を産み出せればそれで良し。よしんば、そうでなくとも、その時がかけがいもなく充実したものであれば、人生に悔いはない。恐らくそんな生活しようとする人がこれからは沢山出てくるであろう。
平日の山を歩いていると、バクの心境になる。ぼんやり山頂を見上げていると、私の傍らを凄いスピードで追い抜いていく若き女性登山者に驚く。そんな平日が日常の一齣として、普通になる。悪くない話だ。