短歌百名山の「トムラウシ」をかいていますが、私の短歌が一つのボリュウムになりすぎましたので、別個に掲載させてもらうことにしました。本文は別途投稿します。
なおこの短歌はヤマレコの登山記録の写真説明欄に転記してありますので写真とともに見て頂けるとありがたいです。
短歌トムラウシ登山
「天人峡」
トムラウシ登山口きていよいよと覚悟を決めて一歩踏み出す
この山に挑んだ証登山届無事帰ること祈りつつ書く
取り付けば九十九折れなる急な道息きれぎれにほれがんばれよ
岩を裂き流れ下れる羽衣の瀑音聞かん尾根の道
「化雲岳へ」
目を遣れば間近に高き旭岳雲ひとつおきわれに付き添う
湿原にうんざりするほど続く道ただただ抜ける空青し
いくつかの小さな雲が浮かんでる湿原の原につづく木道
空高く旭岳がのびのびと裾を広げているではないか
木道にリス二匹現れてわれをからかうひとときに笑う
その太古山ふっとんで残りし跡が大雪山か
振り返る登り来た道輝ける原の広がり一条の道
われ名づくベトコン道は藪漕ぎの道泥水の道
案内書いくども読みて長靴が此の山のぼる勝負靴
千メートル越えて広がる這松の原現れて森林限界
口に出た天国平らと名付けした原に寝転び空に溶こむ
困難を乗り切る勇気身につけて山に学べる人の一生
化雲からトムラウシの山間近なりここまできたかよくがんばった
ヒサゴ沼眼下に見えて歩が緩み顔もゆるんでつく一息
「ヒサゴ沼1泊目」
テント張るヒサゴの沼を囲む山夕日が添える茜雲かな
暮れゆけばヒサゴの沼に茜雲静寂の中夜にそなえる
雪渓の水汲み終えて振り向けば風雪耐える避難小屋みる
「トムラウシへ」
ヒサゴ沼陽が昇りきて水面の青くひかれる静寂のなか
ヒサゴ沼陽が昇りきて水面の青くひかれる静けさにいる
いまもなお厚く残れる残雪を越えねば行かぬトムラウシ山
トムラウシ一つ離れて奇怪な岩積み上げてできた山なり
数多く山をめぐればトムラウシ変化(へんげ)の様は日本随一
トムラウシ、ロックガーデン分け入れば目印求め写真もとらず
岩の庭抜け出て至る丘の上明るい空に足も軽やか
北沼のほとりに立てる道標にトムラウシ0.6kとあり
ごつごつの大きい岩を乗り越えて頂きめざすめんどい登り
トムラウシその山頂に至れば99座の山となったぞ
雲海を越えて大雪稜線をながく広げて真向かいにあり
トムラウシその三角点にタッチする来たものだけができる喜び
出会いたる若者二人山頂にエール交わして我下りゆく
縦走路戻りくだれば晴れていたヒサゴの沼に雲おしよせている
見下ろせばロックガーデン広がって霧雲(ガス)の覆えば死の庭となる
太古にも芸術家はいたのかも巨石の作品探して歩く
「ヒサゴ沼二泊目」
無事戻るわれをむかえて微笑むかエゾコザクラの淡いむらさき
チングルマ綿毛となりて秋きたる静まり返るヒサゴ沼にて
茜さす西の空みて妻を思う携帯とどかぬ山の上にて
雲湧けど雲より高く月ありて照らしているか小屋の孤独を
「下山」
二晩を過ごせし小屋を掃除してヒサゴの沼にさよならを言う
化雲から返り見すればトムラウシ別れ惜しむか姿みせない
トムラウシン登りて帰る下り道花を愉しむわれを笑える
来る時と違う景色を眺めつつ気持ち違えばのどかなる道
ベトコン道も長い道一人であればなおさら長い
天人峡4.5キロの道標が草に寝ているまだ遠い
黙々と一人歩きしこの時間空なる境地にわれはいたかも
下山届年齢書けばわれ一人最高齢のトムラウシかな 《67歳》
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する