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2021年03月10日 17:33日本百名山の短歌全体に公開

短歌百名山 6 トムラウシ

     6 トムラウシ 
私が高校生の時に深田久弥の「日本百名山」の本が出され、手にした時に北海道の山、トムラウシ、幌尻岳という山の凄さを知った。夢の様な奥谷に思えた。
深田はトムラウシについて
「トムラウシを眺めて初めて打たれたのは十勝岳からであった。美瑛富士の頂上から北を見ると、尾根の長いオプクテシケの彼方に、ひときわ高く、荒々しい岩峰を牛の角のようにもたげたダイナミックな山がある。それがトムラウシであった。それは私の心を強く捕えた。あれに登らねばならぬ。私はそう決心した。」と書き出し、更に大雪から眺めて「あれに登らねばならぬ。私の志はますます堅くなった。そして翌年の夏、私は望みを達してその頂上に立った。」と述べている。
(旭岳から眺めるトムラウシ)
「トムラウシは、大雪山の旭岳につぐ北海道第一の高峰である。地理の本によると、大雪火山群と十勝火山群との中間、平ヶ岳、忠別岳、化雲岳、トムラウシにわたる一連の山を、戸村牛火山群と呼んである。しかし平ヶ岳や忠別や化雲は、広大な尾根上の一突起でしがないが、トムラウシは毅然としてその独自を主張する個性的な山である。」と紹介している。
実際に奇妙な名前であると思ったが、深田によると「それは十勝川の上流トムラウシ川から来たもので、トンラウシと呼ぶのが正しいそうである。Tonra-usiは「水垢」を意味し、ウシは「多いところLを意味する。つまり『水垢の多い川』、温泉鉱物のため水がぬらぬらしているのでこの名があるのだという。北海道の山名に詳しい村上啓司氏はトムラはtom-raが原形でないかと考えている」のだと言う。
どちらにせよ、その威容から「トムラウシ」とカタカナ書きする山名に惹かれる。
この山は新得町の山なのだ。トムラウシ登山学校と言うのがあるが,民間のホテルに売却された。
  ↓
新得町「トムラ登山学校レイクイン」「ペアーレ札幌」など公共の宿の売却が相次ぐトムラ登山学校レイク・イン(新得町屈足546、飯山俊夫社長)は8日午前の臨時株主総会で、今年度末で会社を清算、温泉宿泊施設を帯広市の「ホテル十勝屋」(後藤健二社長)に売却することを承認した。施設所有者は町。売却額は土地と建物を合わせて326 hokutonomado.com
今では日帰り登山できる山になっている。
私が出かけた時はしるよしもない。ただ2009年に8人の死者を出す遭難事故があって山の名前が世間に知れた。
ところでこの山の短歌は、当然ながら、近代化人が読むはずもない、知る人にしかわからない山で、この深田の紹介で知った人がほとんどだろうから、短歌など無いのだが、一つ救いがあって、ネットで『野いちご文学館』と言うのがあって、その主催者が母衣崎健吾氏と言い、その人の「青春の山々」と言う歌集の中に日本百名山を対象にして歌っていた歌を見つけた。

雪渓の風にゆられてエゾツツジ今年も咲けるトムラウシの峰に
北の辺のヒサゴの沼畔にたちつくす花に囲まれ乙女のごとくに

この方も年齢的には私よりわかいだろう。青春時代に北海道の山を歩いている。まだ全部の山を詠っているわけではないようだ。ネット上の歌人だ。自費出版で本も出されているようだ。
1首目は「今年も咲ける」とあるから、何度か昇っているのだろうか。ただ私は蝦夷ツツジは目にしなかった。日本庭園あたりに咲いていたかな。
2首目のうたはわかる。ヒサゴ池の周りはお花畑なのだ。この歌彼女と登った時の歌かと想像をたくましくしてみたが、そうではなさそうだ。自らを詠ったのだ。
トムラウシの山名の入った歌を見つけて、うれしかった。
ともかくアルペンガイドの北海道の本を読みながら、想像をたくましく・・・などできずに、、ただただ不安であった。この山には深田が帰りに取ったトムラウシからヒサゴ沼、化雲岳のコースをピストンすることにした。

なおこの短歌はヤマレコの登山記録の写真説明欄に転記してありますので写真とともに見て頂けるとありがたいです。

短歌トムラウシ登山
「天人峡」
トムラウシ登山口きていよいよと覚悟を決めて一歩踏み出す
この山に挑んだ証登山届無事帰ること祈りつつ書く
取り付けば九十九折れなる急な道息きれぎれにほれがんばれよ
岩を裂き流れ下れる羽衣の瀑音聞かん尾根の道
「化雲岳へ」
目を遣れば間近に高き旭岳雲ひとつおきわれに付き添う
湿原にうんざりするほど続く道ただただ抜ける空青し
いくつかの小さな雲が浮かんでる湿原の原につづく木道
空高く旭岳がのびのびと裾を広げているではないか
木道にリス二匹現れてわれをからかうひとときに笑う
その太古山ふっとんで残りし跡が大雪山か
振り返る登り来た道輝ける原の広がり一条の道
われ名づくベトコン道は藪漕ぎの道泥水の道
案内書いくども読みて長靴が此の山のぼる勝負靴
千メートル越えて広がる這松の原現れて森林限界
口に出た天国平らと名付けした原に寝転び空に溶こむ
困難を乗り切る勇気身につけて山に学べる人の一生
化雲からトムラウシの山間近なりここまできたかよくがんばった
ヒサゴ沼眼下に見えて歩が緩み顔もゆるんでつく一息
「ヒサゴ沼1泊目」
テント張るヒサゴの沼を囲む山夕日が添える茜雲かな
暮れゆけばヒサゴの沼に茜雲静寂の中夜にそなえる
雪渓の水汲み終えて振り向けば風雪耐える避難小屋みる
「トムラウシへ」
ヒサゴ沼陽が昇りきて水面の青くひかれる静寂のなか
ヒサゴ沼陽が昇りきて水面の青くひかれる静けさにいる
いまもなお厚く残れる残雪を越えねば行かぬトムラウシ山
トムラウシ一つ離れて奇怪な岩積み上げてできた山なり
数多く山をめぐればトムラウシ変化(へんげ)の様は日本随一
トムラウシ、ロックガーデン分け入れば目印求め写真もとらず
岩の庭抜け出て至る丘の上明るい空に足も軽やか
北沼のほとりに立てる道標にトムラウシ0.6kとあり
ごつごつの大きい岩を乗り越えて頂きめざすめんどい登り
トムラウシその山頂に至れば99座の山となったぞ
雲海を越えて大雪稜線をながく広げて真向かいにあり
トムラウシその三角点にタッチする来たものだけができる喜び
出会いたる若者二人山頂にエール交わして我下りゆく
縦走路戻りくだれば晴れていたヒサゴの沼に雲おしよせている
見下ろせばロックガーデン広がって霧雲(ガス)の覆えば死の庭となる
太古にも芸術家はいたのかも巨石の作品探して歩く
「ヒサゴ沼二泊目」
無事戻るわれをむかえて微笑むかエゾコザクラの淡いむらさき
チングルマ綿毛となりて秋きたる静まり返るヒサゴ沼にて
茜さす西の空みて妻を思う携帯とどかぬ山の上にて
雲湧けど雲より高く月ありて照らしているか小屋の孤独を
「下山」
二晩を過ごせし小屋を掃除してヒサゴの沼にさよならを言う
化雲から返り見すればトムラウシ別れ惜しむか姿みせない
トムラウシン登りて帰る下り道花を愉しむわれを笑える
来る時と違う景色を眺めつつ気持ち違えばのどかなる道
ベトコン道も長い道一人であればなおさら長い
天人峡4.5キロの道標が草に寝ているまだ遠い
黙々と一人歩きしこの時間空なる境地にわれはいたかも
下山届年齢書けばわれ一人最高齢のトムラウシかな 《67歳》
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