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2021年05月16日 18:13日本百名山の短歌全体に公開

短歌で詠う百名山38 皇海山

短歌で詠う百名山38 皇海山

皇海山のこんもりと頂きの鈍重とはかなり悲しい在り方ではないか
(自作)1992.11.「芸術と自由」

下野国日光の山並みに一座する皇海山は、百名山の中でも一番人気のない山だと、私の山仲間のYumeさんが云う。どこでそのような情報を掴んだのは知らないが、確かに言われてみればなるほどと思う。
皇海山を眺めたのは、1992年11月28日で銀山平ゲートから庚申山荘に泊まり、翌日庚申山から皇海山をめざしたが鋸山から皇海山を眺めて、その日のうちに帰るのは難しいと思い、六林班峠に出て帰ったのだ。11月と言う陽の短い時期でもあり諦めた。
深田久弥も歴史的に庚申山は信仰登山で一時期にぎわったと言う。確かに岩場だらけで、その修験場としての要素は明らかに見られた。そして皇海山が奥ノ院のように位置づけられたのだが、皇海山に際立つ特徴が無かったがために、奥宮として信仰は得られなかったのだと思う。

おそらくこの山が文学的な意味での対象になることは考えられない。派手さもなくきらびやかさもないのだ。
この山へのコースとしては庚申山から行くのが当時は一般的で、松木沢というコースも紹介されていたが、沢での一泊を強いられるほどのコースであった。
なぜかガイドブックが無い。
その後「新ハイキング」に根利村からのコースが紹介されていたので、そちらから単独で登り、二度目はYumeさんとAonumaさんと三人で登ったのだ。
皇海山については深田が紹介すように、小暮理太郎が、「山の憶い出」上巻に「皇海山紀行」20ページほどの文章を書いている。彼が登ったのが大正時代で、紀行文の中に明治12年の記録が引用されている。
まあ、ともかく語るも古い話になるので、短歌に絞れば、他者の歌が見つかるまでは探したいとは思いますが、かなり困難かもしれないな。

皇海山鈍重なるか県境の奥山なれば孤独なり
皇海山遠くに見えて山頂の丸い頂き二千の高さ

歌に詠みづらい山で、できもよくないが、5月14日に袈裟丸山の小丸山から眺めて詠んでみた。
小暮理太郎の「皇海山紀行」は雨の中で山中一泊したり、大変なようであったが、三角点があった場所は展望も得られたと書いている。
 
2016年に3人で登った時に、剣と三角点は確認したのだが、展望は得られなかった。小暮の皇海山に至った時の眺望を述べた一節がある。彼の説明を詠もう。

「一時三十五分皇海山の西峯に達しだ。西峯とはいふものの正しくは頂上西端の一隆起に過ぎないのである。黒木が繁ってゐるので眺望ぱない。切明けは頂上直下で経って、夫からは踏まれた路跡がある。東に向って少し下ったかと思ふとまた上りとなって、二時絶頂の一角端に着いた。此間に一隆起あったやうに思ふが、遠望には目立たぬやうである。
三角点の附近は木を伐り払ってあるので、四方に開かれた眺望が得られる。南を望むと鋸山から鳶岩を連ねる山脈が近く脚下に横たはり、鳶岩の右の肩に
は上州峠の頂上にある鉄索の小屋まで見えてゐる。次で根剔山続き袈裟丸山の峰頭が四つの峯頭を繋げ、千九百五十七米の三角点の櫓まで肉眼に映する。
其右には赤城の黒檜山が鈍いが著しく目に立っ金字形に聳え、右に曳いた斜線の上に鈴ケ岳がぽつんと鮫の歯をたてる。赤城と根利山どの間には、小川山から大洞山に至る秩父のま山脈が、大海のはての蒼波かと怪し圭れ、黒檀の上には白峯三山、赤石、悪言等南アルプスの大立物が庖に雪の姿を輝し、黒檜だ鈴ケ彷どの間に朝與、駒、鋸の諧山が押し黙って控へてゐる。
西から西北へかけて榛名、妙義、浅間、矢筈(浅間隠)四阿の諸山は鮮かであるが、四阿山から右は嵐模様の雲が立ち騒いで、近い武尊山も前武尊の外は、頂上が隠れてゐる。
燧岳は既に雲中に没してしまったが、三ケ峯、笠、錫の沿峯及日光火山群や、渡良瀬川対岸の夕日ケ岳、地政岳、横根山などは、雪間を綿る西日を浴びて半面が明かに見渡された。
奥白根は可なり雪が白く、峯頭を掠めて雪が去来する毎に、研ぎ澄した鏡のやうに光る雪面が曇ったり輝いたりする。
庚申山の如きは所謂俯して其の髪をとる可しといふ形だ。庚申講の先達が此山を開いて奥院とした訳が成程と肯かられる。脚の下から北に走る國境山脈は、三俣山(千九百八十米、上州方面の称呼である。
支脈東に延びて黒檜岳、社山等を起し、中禅寺湖の南を限る。)でも宿堂房山でも、黒木の繁ってゐるのはよいとしても、其間は一面の笹であるには驚いた。秩父の雲取山から金峯山に行く位の積りで、袈裟丸山から奥白根まで縦走して見やうかと思ったが、この笹ですっかり僻易してしまった。」

 もし、三角点の場所が此の時のように開けていたら、我々が登った時に、写真を撮らないでいられるわけがないだろう。ところが一枚もないのだ。つまり眺望が無かったのだ。この時代以降三角点の周囲は木立がの伸びて刈り込みをしていなかったからと言うことになる。
 この眺望を得られるようにしてあるのならば、皇海山は今以上に人気のある山になっているに違いない。百名山ハンターが歌を歌ったかもしれないのに、はなはだ残念だ。栃木県の観光課に要望でもしますかね。
これほどの眺望が得られたならば、栃木県内でも一,二を競う展望台になろうと言うものだ。
写真 1992年 鋸山から皇海山
写真2 3人で三角点タッチ2016年
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