日本百名山の山の中で、一番多く詠われているのは、富士山であり、筑波山であるが、この浅間山も多くの歌人に詠われていると山としてはトップ三山と言えるだろう。( )で括った歌は浅間山を直接歌っていないので、私としては対象外
43 浅問山
伊藤左千大
片寄りに烟は下る浅間根の雪いちぢるし有明月夜
長塚 節
芒野ゆふりさけ見れば浅間嶺に没日に焼けて雲立ち出でぬ
草木瓜の花さかりなり火の山の低きに下りて畳まる白雲
島木赤彦
夕晴れの空に風あれや著く浅間の山の烟はくだる
頂より烟をおろす浅間嶺の焼石原は青みたるかも 歌集「氷魚」
野に居いりあをげば高し浅間山いただきに登る道さやに見ゆ
川崎杜外
うづまきて白雲の上に乱れたる煙ながらにゆゆしき浅間嶺
土屋文明
日の暮にはづかに晴れし浅間嶺のふもとの宿に今宵寝むとす
茅野雅子
浅間の火煙にしるしわが胸の火は何にしもみとめたりけむ
杉浦翠子
久方の天に鎮まる浅間嶽まみに迫りて低山に見ゆ
浅間山に煙やたつと真日なかの照りの極まりに見入る寂しさ
浅間山暮れむとすらむ傾ける陽のおりどころの黒雲かがよふ
この國に冬早くして浅間嶺のいただきすでに雪を被ける
浅間嶺の曳く山裾はここに果てて陽の落つるところ障る山もなし
よべの雨嶺には雪とぞ降りけらしけさ見る浅間高山白し
小田切浪彦
高原にゆふべの靄のたなびけば浅間の嶺ろば昏れ沈み見ゆ
川上小夜子
ひむがしの浅聞か嶽に立つけむり嘆きを惹きていまも霞める
大澤雅休
冴え透る冬空さむしくつきりと浅間嶺は見ゆ煙はきつつ
大橋輝司
木枯やみてまだくれきらぬあかね空に浅間の煙は横なびきたる
浅聞の峯の岩間に座をとりて昼餉は楽し子等と食みつつ
山本露星
けむり雲とまがふ浅間の雲晴れの信濃追分に汽車着きにけり
渡辺隆之助
まなこもて捜せば自き煙揚りいくつ山越えて浅間岳間岳見ゆ
以上、まだ多くの歌がありますが、今回は此処までにいたします。やはり山名がないとどこで詠んだかわからないものになりますので、原則、山の名が無いのは捨てました。
しかし、浅間山が多くの歌人に知られ、眺め、その感動を31文字に表しているわけで、それぞれの言葉の使いようが美しくも思えます。
久しぶりに投稿しました。
川上小夜子の歌は煙の様と思いを重ねて、こういうつくりは好きです。
大橋輝司の歌は楽しいさまが浮かんできます。
浅間山は山友の青さんの故郷の山。何よりも早く投稿したかったのですが、遅くなりました。また少しずつ、日記に書きます。ただこの日記枠では字の表現に限界があるので、改めて私のブログにも投稿しようと思っています。
北アルプスも、歌の無い山があって苦労しています。ご支援よろしく。
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