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2023年07月31日 19:51日本百名山の短歌全体に公開

短歌で詠う百名山 99 開聞岳

短歌で詠う百名山 開聞岳
「日本山岳短歌集」
その肩に光るつばさと見るばかり白き雲立つ開聞が嶽    与謝野寛
吹きよせて峰にみだるる白雲のなだりくだればくもろ松原  松田常憲
しどみ並木すぎておりたつ枚聞の社にせまり開聞のゆゆし  千種 芳
如月のけふまぎれなき春霞開聞岳はほのぼのと見ゆ     牧 暁村
開聞嶽の麓のやどにくつろぐと便り記しつつ夜はふけにけり 古賀仁一郎

開門岳を詠った短歌
2016年05月02日 | 山靴の歌
開門岳 (924m)
開門岳を詠った短歌     
その肩に光るつばさと見るばかり白き雲立つ開聞が嶽    与謝野寛
     
 開聞岳はその昔より知られた山で、多くの歌人にも親しまれ、歌に詠われている山であろう。 与謝野寛・昌子夫婦が九州を旅をして、百名山にふれた歌を残している。鉄幹もこの開聞岳の姿には感動したに違いない。与謝野寛が九州周遊旅行をしたのは、明治四十年、この時の同行者が、北原白秋、木下杢太郎、吉井勇、平野万里だった。夫婦では大正六年、七年の二回旅をしている。昌子とは霧島山の歌もあるので、この歌は大正時代の歌であろう。
 円錐形の独立峰であるゆえに、雲をつばさに見立てられたのだろう。この山でなければ言いえないものがあ。昔の歌人がよく遠くまで旅をしていてくれたことをありがたく思う。年表を見て、与謝野寛が三回も九州を訪れていたことがわかって少し驚いた。

開聞の峰に夕日のひかりさし入海の波暗くいざよう     大田水穂

 大田水穂の歌は五十九才の時の歌。 開聞岳の陰がのびて、そのなかに港がかげっていく、変化をいざよう波にみている。水穂は昭和九年二十日間の関西九州旅行をし、歌集『螺鈿』に「薩摩大隅」のなかでこの歌を詠んでいる。題に「古江港を俯眼して」とある。おそなく長崎鼻のほうから見て詠んだ歌であろうと思われる。今回の旅では海上に盛り上がったような開聞岳の光景にはこの長崎鼻の岬からしか眺めていないので、その印象を強くしている。このとき、

眼の下に入海の曇りほの白く山すでに暮れて日をおとしたり

という歌も詠んでおり、この歌の「山」はもちろん開聞岳でなければならないだろう。水穂の印象派的な歌は、静かで落ち着きのあるなかに美しさがあって好きな歌である。

     如月のけふまぎれなき春霞開聞岳はほのぼのと見ゆ      牧 暁村

 牧暁村という歌人は知らないが、旧暦二月、薩摩では紛れもなく春ある。私のたびした五月の連休中でも、晴天ではあったが霞みがかって、透明な景色を楽しむことができなかった。この開聞岳を池田湖から眺めると、この歌の「ほのぼの」さがわかると言うものだ。     

     開聞嶽の麓のやどにくつろぐとたより記しつつ夜はふけにけり 古賀仁一郎

古賀の歌はその歌の通りで、開聞岳のふもとには小さな温泉などもある。いまも開けているが、関東の観光地には比べものにもならないほど全体の雰囲気はしずかである。穏やかな聞こうのもとゆっくりと宿屋にくつろげれば、その気分をだれかれなく伝えたくなるかもしれぬほど、この地はのんびりとしている。

     櫨(はぜ)並木すぎておりたつ枚聞の社にせまり開聞のゆゆし  千種 芳

千種が歌で触れる枚聞神社は薩摩一ノ宮の由緒ある神社で、朱塗りのきれいな格式のある社で、その社の背後に開聞岳がどーんと構えている。まさにこの歌の通りである。
 枚聞と書いて「ひらきき」と読む。古字は「開聞」と書いて「ひらきき」とよんだのだそうだ。もともとは「ひらき=平木」という地名から転じたという。それが現在では「かいもん」と呼ばれるようになったと、百名山の開聞岳の紹介に書かれている。また別名「海門山」とものまで生じているという。でもこの海門山=「かいもんやま」も捨て難い。事実錦江湾への入口にあって、海の門のようにも思える山であるから、言いえて妙なところがある。ギリシャ神話のロードス島の伝説の塔を思い浮かべるのは不適切だろうか。
 今回の旅で何も知らずに開聞町に入ってきて、一番驚いたのは、この薩摩半島の突端に国宮である一ノ宮の社があったことである。池田湖からきてガイドブックにある国道との交差点の手前の広い一角に、「なんでこんところに」という印象を受けたが、薩摩国一ノ宮として古くから崇められていたことを知れば、千種芳の歌の開聞岳がまた神々しくも思えてくる。


開聞岳へ 
2000・5・4 登山口 8:30 開門岳山頂 10:20~10:40 登山口 12:00
   
 五月四日。熊本から国道3号線で鹿児島に入り、南九州道という有料道路で目的の指宿スカイラインに入ったが、早朝なので有料道路の入口が開放されていて、ついに無料で走りぬいてしまった。このスカイラインは薩摩半島の天井を走り抜けているような印象をうけた。午前六時頃、スカイラインの出口をでて県道17号線を池田湖めざして走る。今日も天気はよい。県道17号線から、はじめて開聞岳を見た。富士山のような円錐形の美しい形ですぐに分かる。
 千賀平自然公園で車を止め休憩。午前七時頃だ。隣に山口ナンバーの車が止まった。同じように旅をしている人がいるんだと思った。我々のような夫婦二人旅らしい。先に公園に入って行った。ここがどんなところかも知らず、裕子をつれて公園を散策することにし手、先ほどの二人づれの後をおっていく。一段高い丘につくられた公園は、開聞岳の眺望が見事だ。
『これほど完璧な円錐形もなければ、全身を海中に乗りだした、これほど卓抜な構造もあるまい。名山としてあげるに私は躊躇しない』と、深田久弥は書いたが、この時、私もこの山を百名山に挙げたことに同意した。また実際に登ってみてもその感を強くした。
 千賀平自然公園はツツジの花の庭園もすばらしい。先ほどのご夫婦が写真を撮ろうとしているので、こちらから声をかけて二人をツツジの中にたたせてカメラのシャッターを押した。われわれも勧められたが裕子が妙に遠慮する。私たちよりまだ若いご夫婦だと裕子は言う。今日は開聞岳に登るのだそうで、後でお会いしましょうと言って別れた。
          みちのり
     はるかなる道程越えて我来たる開聞岳見ゆつつじ咲く丘

 池田湖は花畑が美しく、背後の開聞岳が千メートルの山とは程の高さに見える。色とりどりの花の賑わいと、菜の花畑の一面の黄色の美しさを楽しんだ。思わぬプレゼントをもらったような気分で池田湖の景色を楽しんだ。裕子も喜んでいる様子がわかる。ここでも先ほどのご夫婦と一緒になった。お互いに言葉を交わし、親しくなった。写真をここでも撮り、お互いにシヤッターをおしあった。奥さんも若々しく闊達そうに見えた。裕子に開聞岳に一緒にりましょうと誘われたが、裕子はのらなかった。山口のご夫妻もとても仲よしだ。「お先に」と声を掛けて開聞岳にむかった。

     菜の花の彩り添えるみずうみに開聞岳はくろぐろせまる

 裕子は午前中山川町にあるフラワーガーデンで時間を過ごすことにした。祖母山では林道のなんにもないところに置いていかれたと、ブーブー言うので、今日は多少ましな過ごし方ができるだろう。公園の開園時間が休日のため早く、すぐに入園できた。下山したら携帯電話で連絡するからと言って、私は登山口に向かった。登山口の下の駐車場にうまく車を止めることができた。午前八時半であった。上部に岩稜帯があるときいているので、登山靴を履いた。登山口から密林のなかの山路で、海のそばという雰囲気はまったくない。登りはじめてまもなく、千賀平で会った山口市のご夫婦に出会ったが、「あっ、どうも」と言うだけで、私は先を急いだ。十二時には下山したかったので、ともかく飛ばして歩いた。合目の道標があって、五合目から六合目の間が少しながかったが、またそこから九合目までの登りが螺旋状に路が作られているとは言え、結構急な登りであって、苦労する。

     軽やかに児は登り喘ぎつつ親登りゆく開門岳の七合目

 家族連れが多い。団体も多い。七合目を過ぎて、展望が得られるが、霞んでしまって海も青々とはせず、空と海のくべつがつきづらいほど白々としていて、今日も眺望はよくない。二時間かからずに頂上にたつことができた。裕子に山頂に着いたと電話を入れる。しかし、とんでもない失敗をてしまった。使い終わったインスタントカメラを持ってきてしまったために、山頂の記念写真が撮れなくなってしまった。百名山を全部登ったとしても、山頂の写真が開聞岳はないということになる。大失態だ。やむを得ない。山頂で二十分ほど過ごした。この山は登ってきて思ったが、アルプスの山のアプローチのような道筋もあるし、岩場や急俊な登りもあり、じつにバラエティに富んでいて、ゆっくり登ったらおもしろい山だと思えた。山頂の下に樹林に覆われた窪みがあり、これは火口であり、この山が火山であることがわかる。この山は九世紀に一度爆発市、その後千年休んでいる休火山だという。

     千年を眠りつづける火口底緑り色濃く樹木は隠す 

 山頂からは遠く桜島がうすく霞んで見える。長崎鼻と池田湖はわかったが、海は霞んでいて期待した南方の島は見られなかった。山頂も混んできたので下山することにした。下山は一気に駆け下ろうと思ったが、登ってくる人が絶えないので、待ち合わせに時間がかかる。あの山口の二人に出会うかなと思っていたが分からないまま、下山してしまった。
 携帯電話で下山したことを裕子に伝え、フラワーパークの入口で待つように指示した。十五分ほどして裕子と合流した。駐車場も満杯で観光客に溢れていた。さすがに連休期間であると思った。
    
知覧の武家屋敷
 下山するとすぐに携帯電話で裕子に連絡を入れ、公園の入口で待つよう指示した。
裕子は早く下りてきたので少し驚いていた。実際二時間半で往復してきたのだから、我ながら早いと思う。これからどうするか、指宿の砂風呂にも行きたいと思ったが、混雑していると思い諦め、ガイドブックにあった町営の流し素麺を食べに。池田湖への途中にあったが、昼時ということもあったが、超満員で一時間以上待ちますというアナウンスがあったので、ここも諦めてめて、知覧に寄ることにした。案内書には、高城庵という地場料理の店が武家屋敷のなかにあるということが書かれていたので、そこを目指した。
 結論的に言うと、寄って正解。知覧は特別航空隊の基地として、その歴史のなかに悲しい一面をもってはいるが、武家屋敷をめざした。
 武家屋敷は城跡の一角に形成されていて、昔の武家屋敷の庭園が開放されているのだ。家はすでに建て替えられたりしていて、昔の造りではない。その庭はそれぞれが見事なものであったが、正直そのよさは説明を受けないとわからない。その中の高城家の屋敷を料理屋に開放している店があり、薩摩の強度料理を提供している。ここは落ち着いた雰囲気で、隣には外国の学生と思われる四人組の旅行者が上手に箸を使っていた。私は開聞で食べ損ねたそうめんと薩摩揚げを注文した。味もよく是非お勧めしたいスポットである。
 武家屋敷の中に知覧の古い「曲がり屋」が保存されていて、そこの女主人のもう八十になるという婦人が大変ことば巧みに、また知的にユーモラスに曲がり屋の特徴を説明していたのがとても印象に残った。
 二人とも知覧を訪れたことにとても満足した。いい町であった。その後鹿児島市に出た。鹿児島の街はさすがに大きかった。健康ランドを探したがない。ラドンセンターで風呂に入り、休息したが、食事しそこねたのでコンビニですませた。その夜は霧島へ行く途中のモーテルに泊まった。行き当たりばったりの旅である。
開聞岳の歌


開門岳に登れる歌 
眼下に入海の曇りほの白く山すでに暮れて日をおとしたり
はるかなる道程越えて我来たる開聞岳見ゆつつじ咲く丘
菜の花の彩り添えるみずうみに開聞岳はくろぐろせまる
軽やかに児は登り喘ぎつつ親登りゆく開門岳の七合目
千年を眠りつづける火口底緑り色濃く樹木は隠す 

ネットで探した開門岳の歌
https://www.mokichi.or.jp/2018/01/11/1704/ 118回斉藤茂吉ポスト入選作
高々と大根を干し連ぬれば開聞岳の半ば隠るる 奈良県堀ノ内 和夫
ちゃおチャオブログ
https://comodore.hatenablog.com/entry/15084585
 開聞岳 今日を一歩の 五月晴れ  ちゃおさん
斉藤茂吉歌碑
https://4travel.jp/travelogue/10429851
開聞は円かなる山とわたつみの中より直に天に聳えけれ 斉藤茂吉 開聞岳登山口
https://www.mokichi.or.jp/about-mokichi/mokichi-monuments/
朝日歌壇 短歌&エッセー aozorahama.exblog.jp 
特攻の目印たりし開聞岳のひときは高し菜の花の中 久野茂樹 
吹上浜と開聞岳  HSD-10
https://blog.goo.ne.jp/ladoicevita1960/e/b2496fa9fa74e6639bf6690271acb9bf
開聞岳のうた  [1975・9・15に作成]
 開聞岳は    そこにある
 どこの誰にも  冒されず
 海に向かって  ただポツリ
 広いすそ野に  草生わせ
 その頂で    雲を切る

 ずっと昔の   この山は
 煙を吐いて   いたろうか
 時空を越えて  歴史をば
 じっと座って  見続けて
 千メートルに  あと少し
 
今日の一句一首(小林勇一)
http://musubu.sblo.jp/article/178262150.html
開聞岳春の夕日に染まりつつ船は去りゆく影そ濃くして

 
天野 翔のうた日記
https://amanokakeru.hatenablog.jp/entry/20170326
  南端の海しづかにて秋の日は開聞(かいもん)岳(だけ)のかたはらにあり    佐藤佐太郎
  開聞岳に挙手し機翼振り征きにしかけふ雨に来てその山を見ず        木下孝一
  富士に似たる開聞(かいもん)岳(だけ)を振り返り特攻隊員は飛び去りしとふ 羽田忠武
 
https://smcb.jp/diaries/8042958
再びの開聞岳姿見ず逝った益荒男海も哀しく    塩月隆

桜島
「日本山岳短歌集」
山と云へぽいとけなき日のおもひでに桜島山ゆ高千穂も山ゆ       輿謝野 寛
桜島すその山山松まじり咲ける椿にうぐひす啼くも           中村憲吉
さくらじまわが枕よりやや高く海に置かるる夏の月明          呉謝野品子
北海道の客に見せむと桜島蜜柑の山に深く入り来ぬ           村川千代乃

西郷どん」の旅 紀行
http://snmhaiku.web.fc2.com/segodon/sego.html
雲海の先にくっきり桜島煙りや招く旅の始まり
霧島の龍馬とおりょうの塩浸る温泉のどか一睡の夢
海神(わだつみ)を霧に取り込む山つ神大和の礎霧島神宮
宵闇に桜島かと見るばかり湯けむり高き霧島温泉
斉彬の夢やいまだ桜島昇る煙の薄くたなびく
西郷どんの秘めたる怒り桜島消ゆることなき煙にこめて
西郷どんの心は薩摩白菊か野に輝きて散る定めなれ
初めての熱砂に埋まる怖さ知り砂漠化進む地球を憂ふ
開門の先は浄土と飛び立たむ石蕗の花咲く知覧に泣けり
英霊や平ら成らむと冬の日に君に捧げむ永遠に咲く花
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