短歌で詠う百名山 霧島山
歌人の詠める歌(日本山岳短歌)
霧島山
朝まだきすずしくわたる橋の上に霧島ひくく沈みたり見ゆ 良踪 節
大きなる霧島山の抱く空にのこりて白しありあけの月 輿謝野 寛
霧島は峰多くして蔭の色日なたのいろの山のかさなる 輿謝野晶子
古事にこころ遠行き神々し見つつ吾が居り霧島の山 川田 順
新燃といふは火口の跡ならむ草山の緑そこに迫れり 土屋文明
夏がすみ青くながれて霧島の山のかひより桜島見ゆ 橘 宗利
木枯のままにくれゆく山の路根笹の雪はいまだあかるし 松田常憲
ここゆ見れば地平は遠く眼下になれり自動車は登る月夜の山を安永信郎
新燃の岸壁に立てば火口よりしぶき吹上げ面向けがたし 村田豊作
種馬場を過ぎしころよわ・暮せまる山嶺の霧は雨となりにき 木下和雄
韓國岳
山越しの遠いかづちの営すなり韓国嶽に雲しわける見ゆ 酋村光弘
霧島の韓國嶽に夕陽落ちあめのはたぐもかげろひて来ぬ 花田比露思
高干穂山 (みぞれ)
高千穂のすずのしの原うちさやぎなびくと見れば霙降るなり 八田知祀
焼太刀をまくらとなして高千穂の鬼の岩谷にこよひ宸にけり 海上胤平
高千穂の峰ほのぼのと青みだ」り紳の笑らぎも聞きぬぺきかな輿謝野寛
白雲の倚る高千穂をながめよと輿丁寝入りぬ薄の中に 輿謝野晶子
御代のごと逍く思ひし高千穂の高嶺近う来てわが立つものか 尾上柴舟
高千穂はおのれそそりて高天の真澄にさびし焼山のいろ 土屋文明
辷(すべ)り倒れそのまま居りて人なりしんしんとして深き山かも
斉藤 訓
おのづから霧ふきばれて雲かづく高千穂の峰は月夜となりぬ 松田常憲
霧島山に登れる歌 自作
高千穂峰
早暁の霧島宮に神おわすいずまい正し二礼二拝す
お竜つれ竜馬が登りし高千穂は新婚旅行のはじめと言う
我もまた竜馬に倣い妻口説き初夏の高千穂火口をめぐる
高千穂の大き火口は国産みの神降り立てるときの証しか
妻ともに登り来たれる高千穂の峰より眺める空は霞める
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