短歌で詠う百名山 祖母山
「日本山岳短歌集」
波野高原いろかはるところおのづから祖母ぞ起これり群山を裾に
持田勝穂
遠き野は見えわたりつつまな下の深谷に日のかげれる 同
祖母山を詠んだ歌は少ない。右の持田の歌のみしか見つからない。九州の歌人で山を趣味とした人をしらない。残念だ。祖母は奥山であって、町からすぐに目につくような山でない。そう思って深田の本を開いたらやはり同じことが描かれていた。九州では一番高い山なのだが、不運な山です。
祖母山に登る
朝空に九重の峰のひとつよりま白いけむりたちのぼりゆく
ふるさとの城荒れてなお祖母山は夜明けの空にしずまりてあり
汗音たてて落ちれば青春いまこの時にあるかもしれず
脇目ふらず一筋の路を追えば ぶなの若葉の陽に透けており
祖母山の頂にて白装束の神主が祝詞のたまう山開く朝
由布が嶽
蒲の葉は埓なく垂れて黄ばめどもあやめ花咲く由布院の秋 輿謝野寛
由布の峰稀れにこの朝雲無きを柳のかげの湯ぶねより見る 同
由布だひら雨を撒かねど雲を撒く夕風ありてうらさびしけれ與謝野晶子
ふりさけてみれば由布嶽鶴見嶽雲をかづきてならびひかれり 安部俊市
あかときの塞気すがすがし雪をもつ由布に竃むかい身はひきしまる 同
雨宵れて寥さもよほすこの朝け由布の裾浸の雪居洽しむ 持田勝穂
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