近藤篤氏の短歌
雪靄の空のあなたに白妙の越の白山浮き上がりみゆ p20
まれまれに晴れたる空や連なれる越の白山光る見ゆ
元朝の朝の光りを背に負いて越の白山ひょうに光る
(*うすい藍色)
岳樺林の深雪踏み上り仰ぐ越の白山
青霞む遠山の上に白山は浮き上がり見ゆ煌めきて
黄葉のせる峠の橅を透かし見る初冠雪の白山の嶺
白雲に紛れて今朝はおぼろなり越の白山春空に浮く
白山あたご坂登りついれば目交に越の白山連なり光る
坂の上の木立を空けて白山は白りんりんと連なりて輝る p91
元旦に妻逝きて八年の過ぎこもりつつ詠む西行の歌 p22
木曽駒は夕茜して漂える雲に浮かべりふりさけ見れば
ここぞより行く尾根超えて攀じむとす六本槍に仰ぐ峻嶺
おやまそば濡れつつ白く咲く嶺に稜骨あらき穂高を仰ぐ
見上げつつ昇り来し剣が峰を下に俯瞰し急坂を攀ず
荒島岳の短歌は、近藤篤著「歌集 荒島岳」より、以下の歌をいただきました。
<荒島岳の歌>
昇り来て片照らす明暗の荒島岳をあかむらさきに p30
ひと群れの鉾杉の上白妙の荒島岳は天に裾引く p31
朝光に浮かび出でたる荒島はほの明かりつ稜線長し p34
朝茜褪せつつ雪の荒島はおぼおぼと白し東の空に p38
荒島は雲の奥に寂びさびと雪を被きし稜線をひく p46
目交差ひに雪の荒島岳峻立す左肩下に小荒島添えて p86
落日の雪の壁光る突兀の嶺は荒島岳の奥 p90
一枚の大岩建てるごとし雪の荒島岳北に裾ひく p91
春の日の遍(あまね)き空に雲つみて神のごとしも荒島岳は p100
屏風を立てたるごとき荒島岳夕日にてりて雪かがやかす p111
以上10首、探し求めた荒島岳の歌です。
2年前に近藤様から歌集をメールでいただきながら、今日に遅れたことをお詫びいたします。
元旦に妻ゆきて八年過ぎこもりつつ読む西行の歌 近藤篤
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