雑誌『岳人』1971年1月号〜1976年2月号の表紙画と巻末コラムをセットにしたものですが、途中で手術入院のため5ヶ月分はブランクがあるので、全部で57の画文のセットになります。ほのぼの感がある画と懐の深い自然観を感じさせる文章が秀逸です。表紙をそのまま写真にして使っているので、当時の特集記事のタイトルなどが分かるというのも一興でした。(ちなみに、私が高校に入学した1973年4月号では、「特集/高校山岳部の現状」)
いくつかの文章ではとても共感しました。たとえば、
「登山にもし苦痛や苦労が伴わなかったなら、悦びは発見できないだろうとおもう」
「・・・というような自由が一体どんなことに役に立つのか・・・と、山を知らない人は質問するかもしれない。それが何の役に立つのかは私にも解らない。おそらく何の役にも立たないのかも知れない。しかし、それは人に健康な精神を与えるだろう。自分の穴からいつも覗き見するような、へんな眼つきで世界を眺めるようなことはあるまい」
「利用時間が長いほど値段が安く、短いほど値が高いというのは何だかおかしい気がする。そう忙しくない人々でも、高い金を払って急行に乗り、特急に乗り、新幹線に乗りたがる。」
など。
また、作者は、1976年2月号が発行される前の1975年12月に逝去されていますが、この最終号と直前の1月号は、画の雰囲気もまたコラムの文章も、それまでのものとは全く違っている点が異様でもあります。ご本人は死を意識されていたのではないかと推察されます。
これこそワーク(人が一生をかけた作品)だなぁ、と感じ入った次第です。
nomoshinさん、こんばんは。
初めてコメントさせていただきます。
「山からの言葉」この本で辻まことにはまりました、私。
それぞれそんなに長くない文章なんですけど、とても共感できる言葉がたくさんあるんですよね。自分にとって宝物のような言葉になりました。
図書館で借りて読んだのですが、もう絶版なのか書店にはなくて…。
気に入った文章は手帳に書き写しました。
ほんとうに「これこそワーク」だなあと思います。
その「ワーク」に触れることができて、私はラッキーだったなとも思いました。
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