私の生業は合成繊維の加工だ。
ニッチな仕事だ。
原料を仕入れて加工して、工賃を乗せて販売したり、顧客が調達してきた原料を工賃仕事で加工したり。
顧客に単価を提示すると「高い!」と言われる事が多々ある。
なぜなら同じような加工をしても単価に差が生じるからだ。
工賃は重量ベースなので、困った事に太い糸は安く細い糸は高くなる。
加工速度が一定だと、細い糸を1000m加工するのと太い糸を1000m加工するのは同じ経費が掛かる。
水揚げは当然太い方が良好なので結果、工賃が安くなる。
この事情を知らない顧客は細い糸を発注すると「同じ加工してるのに高くふっかけられた!」
と怒り出すのだ。
この事情は最終製品まで影響する。
UL規格のダウンシュラフやレインウェアなどは、とんでもなく細い糸を使用して極薄の布で仕上げてある。
薄くて重量軽いので原料費が安いはずなのに何故にこんなに高いの?思うユーザーも居るだろう。
理由は上記の通りだ。
糸の太さが10分の1になれば糸の加工賃は10倍、それを織物にすると織工賃も跳ね上がり(たて糸もよこ糸も数倍並べる必要あるからね)
技術的にも難度あがり歩留まりも悪くなる。
ここらの事情をコミコミで価格を見て頂きたい。
高いのは当然。
(余談だが私はカジさんとは無関係だ)
でも「一流メーカーと同等の性能があるのに価格は半値程度の良コスパ製品」ってあるじゃないって?
まあね、コストは見たまんまの金額だからその通りとして、問題はパフォーマンス。
例えばレインウェアで「撥水バッチリ、蒸れません!」って…新品を3時間着て散歩程度歩いて大して汗掻いてなけりゃねぇw
基本性能はもとより、重量、耐久性、アフターフォローなど含めて総合力高いのが一流。
基本性能を高めるために、重量や耐久性を犠牲にして価格を抑えて「良コスパ!」って言い張ってるのは二流かヘタすりゃ3.5流。
そこらを理解した上で「今回のヤマは短時間の藪低山ハイクだから破れても良い適当なレインウェアで良いし、行程短いから保温ボトルも重いので良いか」と選ぶのもアリだけどね。
実際私も二軍アイテムを活用してるし。
TPOってヤツですね。
物を作る側の立場としては「良い物は高いのは当然、なぜならば作るのに経費掛かってるから」って理解して欲しいのよ。
なので、「一流メーカー品と同等性能なのに低価格」って言ってる製品は、基本性能以外のどこかに犠牲にしている面がある事をわかって欲しいな。
こんにちは
安物買いの銭失いだったなと思うことがしばしばあります。
20年近く前、東京都内のS登山店にふらっと寄ったらバーゲン品として30L位の中型ザックが1000円で販売されていました。日本製で売れ残ったのでしょう山積みされていました。両サイドと背にポケットが付いていて、子供の修学旅行にいいなと、安価なので思わず購入しました。
何故売れ残っていたのか?多分デザインがミレーなど外国製に比べ、ダサイからか。
しかしながら、これは縫製が確りしていて頑丈しパッキングがしやすく、今も現役で使って」います。一方カッコはパッキングしずらく背負いにくい高価な有名海外メーカー品(私が持っているもの)。日本製の方が良いのに、名前で損しているように思います。
有名メーカーだから…と言うのはあてにならない場合が多々ありますね。
国内登山メーカー最大手のお店で「3000m級行くならウチの靴はやめた方がいいですよ」って言われたことあるくらいでw
各メーカー得手不得手あるのでしょうね。
上記メーカーの悪口ではないですよ、シュラフとかレインウェアとかは安価良品ですから。
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