30年ほど前の話、転職した小さな会社の中にたまたま山好きな人間がいた。
私たちは意気投合し、手始めに4月の雲取山に登る計画を立てた。
この山行で、お互いの経験・知識・力量を確かめ合い、私が隊長、彼女が副隊長という登山隊を結成した。
名称は隊長である私の名前に「隊」をつけた「IT隊」と呼ぶ。
しかしこの登山隊は、いつまでたっても隊長と副隊長のふたりだけである。
それでももちろん登山活動に支障は無いのだが、ヒラ隊員を募集して活動をもっと充実させようという事になった。
とりあえず身近なところで、職場のピチピチした若手を誘ってみる。
靴、ザック、雨具など最低限の装備を見繕い、奥多摩で3回トレーニング山行をし、4回目には八ヶ岳の赤岳を目指すことにした。
夏の終わりごろ、本格的山デビューにはふさわしい快晴の日である。
美濃戸口から南沢を行者小屋へと順調に進んだ。
本日の目標は赤岳石室、翌日は赤岳を目指す予定である。
休憩後、地蔵尾根方面へ登り始めてすぐに若手隊員から予期せぬ体調不良を訴えられ、急遽予定変更、赤岳鉱泉泊まりとした。
ご飯もいらないという若手隊員を休ませ、副隊長と小屋の外で夕食の準備をする。
3人分の肉を焼き、甘口ワインをちびちびしながら見上げた夜空には、今までに見たこともない広大なミルキーウェイ。
それが最初で最後、もう無理に隊員を入れるなんてことは考えないことにした。
ここ数年の大きな変化といえば、「IT隊」に大隊長が加わったこと。
いきなり大隊長が加わるなんてどうかと思うが、経験・知識・力量そして貫禄からして、まあ私の夫なので仕方なかろう。
今も「IT隊」は健在だ。
以前よりかなり軟弱になったが、自分たちの力量に合った登山を楽しんでいる。
メンバーは隊長と副隊長、そして大隊長の登山隊である。
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