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2022年10月17日 17:05未分類全体に公開

単独行〜北秋田 赤水沢から桃洞沢周回・秋

2022,10,15
今年は、度重なる休日の雨や、大雨の影響での林道の土砂崩れ、そして健康の理由から、計画していた山行は、ほとんど手付かずのまま秋を迎えることとなった。
今日は、待ちに待った山行となった為、どこへ向かうか悩んだが、久しぶりの山行は、今年最後の沢歩きを楽しむべく、毎年恒例となっている紅葉真っ盛りの桃洞渓谷と赤水渓谷へと向かうこととした。
今回は一般的な桃洞滝〜兎滝への反時計回りの周回コースを、遡行記録が見当たらない兎滝〜桃洞滝への時計周りで周回することとし、残置されている支点やロープ等の人工物、更に持参したロープや登下降器を使用した時点で敗退とする事をマイルールとした。

夜が明けたばかりの森吉山野生鳥獣センター駐車場には雨が降り続き、待ちに待った1ヶ月半ぶりの山行も残念ながら天気には恵まれず、雨の中での遡行となりそうだ。
車の中で空の様子を窺っていると、やがて雨は小康状態となった為、沢装備に身を固めていると、丁度先程タクシーで到着したパーティが渓谷の方向へと出発するのが眼下に見え、その後を追うように、6時30分、駐車場を後にした。
森の中には、キツツキが木をつつくカラカラカラ…という音が響いており、遊歩道脇には、期待した通りの美しく紅葉した木々が立ち並んでおり、見上げれば、空を埋め尽くすかのように赤や黄色、黄緑など様々な色の木葉で覆われている。
空からは時折パラパラと雨が落ちてくるが、頭上を覆う木葉が傘の代わりとなり、雨粒はほとんど体に当たることは無い。
ややぬかるむ歩道を進むと、少しして先行するパーティに追い付いた為、話しを伺うと、これから桃洞滝へと向かい、その後、桃洞・赤水分岐まで戻り、更に赤水沢を遡行して玉川温泉へと行き、今日は温泉に浸かり、ゆっくりと一泊するそうだ。
何とも羨ましい話しだ。
楽しげなパーティと雑談を交えつつ、暫く共に進んだが、やがて自分が先行することとなり、森の奥へと続く静かな歩道を一人歩き続けた。
7時8分、桃洞・赤水分岐へと差し掛かり、赤水沢の方角へと進むと、また雨が降りだした。
赤水沢左岸に続く遊歩道を進み、7時20分、何処までも続く一枚岩で形成された「天国の散歩道」と言われる赤水沢の遡行を開始した。
いつもより水嵩を増した沢の流れは、想像以上に冷たく肌にしみるが、滑床が続く沢の両岸には、色彩豊かに紅葉した大小様々な木々が所狭しと並んでおり、目を楽しませてくれる。
次から次へと現れる絵になるような美しい景色を前に、スマホで撮影しつつ遡行を続けるが、雨は進む程に強まり、水面に落ちる雨粒により広がっていた波紋は、いつの間にか小さな波の重なりとなり、沢床を覆い隠してしまった。
滑床とは言え、水中に無数にある沢床の落ち込みや、おう穴の確認が難しくなった為、仕方なく川岸に覆い被さる木々の下へと身を隠して雨の状況を見守ることとした。
レインウェアのフードをヘルメットの上から深く被り、ザーッ!と降り続く雨に耐えながら、このまま遡行を続けるべきか思考を巡らせるが、取り敢えず兎滝まで行き、兎滝を登ることが出来なければ、戻る事とし、再び遡行を開始した。
雨で沢床をハッキリと確認できない為、ゆっくりとした足取りで進み、怪しい箇所では、摺り足で足下を確認しながら進んだ。
それにしても、こんな日に沢歩きとは…我ながらつくづく呆れる。
この状況では、天国の散歩道ならぬ、もしかしたら天国に直行できる道となりかねない。
しかし、人気も無い秋の雨に濡れる紅葉真っ盛りの沢の風景もまた趣があり、良いものだ…。
こうして、今日この場所に足を運ばなければ、出会うことなどなかった一期一会の景色を楽しみつつ、雨が降りしきる赤水沢に一人遡行を続ける。
暫くして、8時2分、赤水・玉川分岐へと到着し、右手からの流れ込む赤水沢本流へと進む。
進む程に水嵩は増し、時折見えない深みへと足を取られつつも更に進むと、8時25分、兎滝の前へと到着した。
雨で増水し、ゴーッ!と轟音を響かせる目の前の滝は、既に兎の形を呈しておらず、山から溢れ出た大量の水を吐き出すその光景に、つい心を折られそうになるが、先ずはいつの間にか小降りとなった空の下で、兎滝の姿を眺めながら、落ち口へと登るルートを思案する。
そして、浅瀬を探りながら兎滝の右岸直下へと向かい、2メートル程登った場所から左岸へとバンド状に続く斜面に取り付くが、滑らかな岩はぬめりを帯びており、水量を増した滝の流れに数歩踏み出すと、水圧で足をすくわれ、滝下へと体ごと簡単に流されてしまう。
慌てて右岸へと戻るが、これでは滝壺に吸い込まれてしまう可能性が高い為、チェーンスパイクを装着して再度挑む。
今度は、冷たいシャワーを浴びながら一気に登りきり、更に左岸を直登して兎滝の落ち口へと上がることに成功した。
更に上流は、一枚岩で形成された小滝が続く連瀑帯となっており、小さいながらも深い釜を構え、行く手を阻む。
一段、また一段と小滝を越え、ふと振り向けば、滑らかな沢の流れは、紅葉で彩られた階段状の谷間を通り抜け、兎滝の落ち口へと吸い込まれていく様が非常に美しい。
雨は相変わらず強弱を繰り返しながら降り続いており、高さ10メートル内外の滑滝が次から次へと現れるが、沢登りの面白さを満喫しつつ、四肢を駆使して登って行く。
8時58分、二俣へと到着。
右手から流れ込むやや傾斜がきつい沢へと進んだ。
沢幅は一気に狭まるが、ここから先も次から次へと小さな滑滝が続き、飽きることはない。
どうやら前年までに沢に溜まった流木や枯れ葉などは、今年の大雨で下流に流されたらしく、意外にも障害物に悩まされる事なくスムーズに進むことができ、9時19分、分水嶺となる峰へと到着した。
ここから先は、桃洞沢への沢下りとなる。
チョロチョロとした沢の流れは、下る程に水量を増し、深さを増していった。
こちらの沢は、流木などの障害物が多く、時折小さく沢を巻きつつ下って行くと、9時27分、最初の滝の落ち口へと到着し、5メートル程の滝の右岸を三点支持にて下り、更に進むと、9時58分、流木により沢の流れが塞き止められ、ダム化している場所へと到着。
流石に今日は、この枯れ葉が堆積した底無し沼のようなダムには入りたくないので、左岸の斜面を草木にしがみつきながら巻いた。
10時15分、そろそろ体に疲れも出てきたので、一息つくこととした。
小雨が降る沢の脇にザックを下ろし、おにぎりを口に頬張り、水筒の熱いお茶で喉を潤す。
今日のおにぎりは、いつもの鮭をやめて牛釜飯にしたが、やはり山行中に食べるおにぎりの味は、格別だ!
せっかくの至福のひと時だというのに、まだ食べ終わらないうちに雨はまた本降りとなり、急いで残りのおにぎりを口に頬張り、ザックの蓋を閉じた。
どうやら今日の空は、少しの休憩時間も与えてくれる気はないようだ。
早速またザックを背負い直し、桃洞沢を下って行く。
10時27分、男滝の落ち口へと到着。
ゴーッ!と豪快な音を響かせるこの滝は、今日の山行の最後の難所となる。
落ち口からは、足下から下に続く滝の形状がよく見えない為、先ずは形状を想像しつつ、左岸から恐る恐るホールドを確めながら降りて行き、落ち口から一段下のバンドへと降り立った。
更にバンドを左岸へと伝い、端から岩壁を足の爪先でホールドを探りつつ、一歩一歩確実に下る。
そして滝の下に降り立ち、男滝の全景を眺めるが、残置されたロープがぶら下がり、岩壁に無数に打ち込まれているボルトがなんとも痛々しい。
全く見るに堪えない状況だ。
それにしても赤水沢や桃洞沢の周回路の岩には、無駄に打ち込まれたボルトが多すぎる…。
一枚岩に不必要に打ち込まれたボルトは、実に痛々しく、この美しい渓谷に全く似つかわしくないのだ。
ハンガーにぶら下がる何本ものシュリンゲやカラビナ、無造作にぶら下がる様々なロープ。
全くモラルに欠けている。
ここ数年毎年の事ながら、この光景にはガッカリさせられる。
やや気落ちしたところで、更に中ノ滝を通り過ぎて下って行くと、暫くして向かいから一組のパーティがやってきた。
午後にかけて天気は回復傾向とは言え、こんな雨降りで増水した日に、周回コースへと足を運ぶ者が他にいるとは思わなかった。
挨拶がてら、僅かな言葉を交わし「お気をつけて」と見送った。
そして、今日最後の滝となる桃洞滝の落ち口へと10時53分に到着。
滝の下からは、数名の方が三脚を立てたカメラを構え、滝を降りようとするこちら側を眺めている。
ここまで来て滑り落ちて醜態をさらさぬよう、滝の左岸の濡れた岩の上をやや緊張しつつ慎重に降りて行き、何事もなく滝の前へと降り立った。
そして撮影の邪魔をしないように、軽く挨拶を交わし、その場を後にした。
相変わらず空からは時折パラパラと雨が落ちてくるが、見上げれば空は高く、もう雨の心配をしなくてもよさそうだ。
後は森吉山野生鳥獣センターまでの遊歩道を一時間程かけて歩くだけとなり、心地よい達成感を胸に、紅葉で彩られた森の中に歩みを進める。
出発当初の悪天候が、嘘だったかのように明るくなった森の中は、風もなく穏やかな空気に包まれ、時折聞こえるサラサラと流れる心地好い沢の音だけが聞こえている。
希にすれ違う長靴を履いた観光客からは、ガイドの方ですか?と声を掛けられ、道を訪ねられるところをみると、どうやら自分はガイドのような出で立ちをしているらしい。
そして、観光客のチリンチリンと鳴る熊避けの鈴の音が遠ざかると、また辺りには静けさが戻り、一人静寂の中を歩き続ける。
さて、そろそろ出発地の森吉山野生鳥獣センターも近い。
毎年、山行後に雑談を交える顔馴染みのあの方は今年も元気で居るだろうか…。
11時50分、森吉山野生鳥獣センターに無事に到着。
事務所の窓越しに挨拶を交わすと、いつもの笑顔と共に、勝手口のドアを開けて迎えてくれた。
暫くご無沙汰にしていたが、何とか今年も足を運ぶことができ、お互いの無事を確認できて何よりだ。
さて、山行の最後、年に一度の再会を喜び、今年も山話しに花を咲かせようか…。
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