凝灰岩の石塀、若干風化

武蔵野・所沢航空公園付近を自転車で散歩していると、凝灰岩を利用した古民家の立派な石塀を見かけた。いつ頃造られたものだろうか、どのような方法で岩石を切り出した地点から運ばれてきたのだろうかなど思いを馳せた。

その石塀ブロックの一部にはタイルが貼られ、以下の記載があった。
支店/昭和石材店/本店/群馬県多野郡上野村/上尾市本町869/電話(71)5306

群馬県上野村から荒川を経て上尾市まで持ち込まれ、その後馬かトラックなどで運ばれたものなのだろうかなど推定できる。

一方最近「古地図散歩」というスマホアプリを知った。その場所の明治初期の古地図を参照することができた。かつては現在の東川桜通り沿いに集落が並び、その北側で農地に面した地区だった。何らかの方法で川も利用できたかとも考えることができる。

何か機会があれば持ち主に聞いてみたい気がするする。一方最近では風化が進み、倒壊の恐れもある石塀が目立ってきたようだ。

以下のページを参照すると、以下のように記されていた。無邪気に接触できない時代になった。
…
凝灰岩さらにはその中の大谷石と呼ばれる岩石は、昭和の時代に石塀として数多く使われてきたており、その寿命は20年～30年といわれている。最近高額リホームを薦める悪質業者もいるそう。

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劣化が進む”大谷石”の石塀・石垣でお困りの方へ｢その風化を抑え、お直しします｣
老舗石材店「石半（いしはん）」が再生を提案
https://www.townnews.co.jp/0107/2022/01/27/610429.html

写真:凝灰岩の石塀

写真:石塀に貼られたタイル

写真:付近の古地図

コメント

fengsan

kichichanさん

　最近では、風化の問題が起こっているようですね。
　名古屋でも昭和３０年、４０年代高級住宅地の邸宅の塀に大谷石が使われていました。いわば、一種のステータスシンボルで、そんな邸宅にはたいてい花崗岩の石垣であった印象が強い。今、こういう場所を歩いてみると、世代交代なのだろう屋敷とともに取り壊されて、分譲住宅や低層のマンションに建て替わっている。
　そういえば、犬山の明治村には、ライトの設計した帝国ホテル本館の中央玄関部分が移築されている。関東大震災、第二次世界大戦を生き抜いたこの建物は、大谷石がふんだんに使われていて、カフェで休むと往時の雰囲気を味わうことができます。

kichichan

fengsanさん

大谷石について改めて興味を持ちました。
改めて以下に記載された大谷石利用の歴史を確認すると、国内で広く利用され始めたのは「明治に入り、東京を始めとして関東一円にその販路を広めた」そうです。
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/sangyo/sangyo/ziba/1006777.html

また、以下によれば内装材としての活用はその後のようです。
「外装材として使われることが多い大谷石を、内装にも取り入れたのはライトが初めてだと言われています。」
https://www.yodoko-geihinkan.jp/2017/02/24/sb-30/

海成凝灰岩としてゼオライトなどの粘土を含んでいるため、内装材としての吸着効果などにも特質があるのかもしれません。
https://www.kanehon.jp/aboutoyaishi

以下などを確認すると、凝灰岩といってもいろんなタイプがあるようです。

日本には大規模な地質構造はないが地質構造の多様性には富んでいることを実感しました。


他山の石① 石川県の巻1
http://u-moa.jp/event/ishinomachi2017/2016/10/19/20161019/index.html

他山の石① 石川県の巻2
http://u-moa.jp/event/ishinomachi2017/2016/10/21/20161021/index.html

他山の石① 石川県の巻3
http://u-moa.jp/event/ishinomachi2017/2016/10/26/20161026/index.html

kichichan

大谷石は海成の凝灰岩ですが、阿蘇周辺には火山起源の溶結凝灰岩が多いようです。同じ凝灰岩でも性質は大きく異なるようですね。
大分・臼杵の街並みに石が頻繁に使われていることに気づき、Wikipediaで臼杵石仏を確認して溶結凝灰岩でできていることを改めて知りました。

石橋が多い阿蘇地域など、海成凝灰岩の大谷石と利用方法などにも大きな違いが出てきたのでしょうね。
年齢を重ねても気づきが多く楽しさを感じます。

…
磨崖仏は山岳仏教の衰退と共に忘れ去られ、1000年の風雨に曝され続けることとなった。元々阿蘇山からの火砕流が溶結した凝灰岩に掘られた石仏は脆く、また参拝者によって自然にできた道が大雨の際は川に変わり石仏を削り取った。現在、多くの石仏の下半身が切り取られたように無くなっているのはそのためである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/臼杵磨崖仏

kichichan

以下の論文は大谷石の利用がよく理解できます。

了解です。粘土鉱物の構造と特性は複雑ですね。

以下の論文は大谷石利用の現状がよく理解できました。

大谷石の紹介　J-Stage清木隆文 著 · 2017

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms/66/11/66_793/_pdf